「悪人は本当は、」悪人 ただの女子高生さんの映画レビュー(感想・評価)
悪人は本当は、
『悪人』鑑賞
私の大好きな作品、
『怒り』の李相日監督の過去作。
ずっとずっと観たくて、
でも観るのを躊躇してしまっていた作品。
何故か分からないけど、
とんでもなく凄い作品のような気がして
怖いと感じていた自分がいたから、
李監督の演出に関しては
何度か観たり聴いたり読んだりしていて、
本物のお芝居を、
芝居じゃなく本物を
というか
その一本の芯みたいなものが凄く好みで
そして憧れでもありました。
簡潔に表すなら、
名作、いや迷作
といえば伝わるかな、
終始胸が苦しくて叫んでた。
内容や空気感、湿度が自分好みであったのはもちろん、キャストの熱量、技量、語彙が無くなる感覚でした、、。
こんな映画があって良いのか、
こんなお芝居をする人がいて良いのか。
どちらも良い意味で、です
全員が全員、
想像をはるかに超える芝居をしていて、
分からなくて、震えた
どの瞬間を切り取っても隙がない
表情や表現の変化が突然で
それはもう、追いつけないくらいでしたけど、
私の記憶としてずっと残ってくれるだろうな
と、いった感じです。
題名の、悪人。
この言葉だけを聞くと、
とっても軽く聞こえてしまうけれど
この物語はそう簡単に扱えるものではないと
私は感じました。
もっと深くてもっと苦しくてもっと痛い。
何故、
こんな苦しい物語を作ってしまったのか
作ってしまう
観てしまう
移入してしまう
結局は客観視しかできないそれでも
踏み込みたい気持ちがあるから
きっとどこまでも
はまってしまうんだろうと思います。
嗚咽になる程
愛おしくて残虐で
代わりなんて見つかるはずが無くて。
大切な人がいない人間が多すぎる
失うものがないから、強くなった気になる
いつだって傍観者で
それを突きつけてくるから悔しかった。
誰が本当の悪人、?
罪を犯した人、
その人を生んだ両親
それとも、その人を愛した人
世間
マスコミ
横目で知らないふりをした人
嘲笑った人
一緒に苦しんだ人
罪を犯した人が本当に悪人なの?
誰の立場に立てば正解で、
誰の味方をして
誰のせいにすれば正解だったのか
愛してしまったら悪人
共感してしまったら悪人
じゃあ知らないふりをしている人は、
悪人じゃないの?
責任を押し付けて吐き出す場所にして
暴力
ナイフ
刺さる言葉にしかならないし
真意なんて誰にもわからない
謝れば良いの
悔やめば良いの
自分を壊して、
誰かの苦しみを笑えば楽になりますか、
傷つくのが怖くて
自分は強い人間だって思い込むために
踏み込まずに外から暴言を吐いて守って
そんな世界は嫌だな
だからこそ
二人の、二人しかいない
透明で冷淡な世界を救ってあげて欲しかった。
できればあの時、鍵を掛けて
誰も入れない
踏み込む事ができない
騒音も雑音もない
紛れもなく綺麗な世界に