イエローキッドのレビュー・感想・評価
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凄い才能の持ち主が現れた
これは色々な意味でヤバい映画だ!
チラシに黒沢清が、「ポン・ジュノの映画を初めて観た時のように、動揺した」…と有るが、あながち的外れとも思えない。
確かに主役の若手ボクサー役の遠藤要は、韓国人っぽい顔立ちをしてはいるが、そんな冗談が通用しなくなる位に、映画の中身はストーリーが進むにつれて、どんどんと異様なパワーが少しずつ増幅して行く。
観終わった時に、この作品が僅か200万円で製作された事実を知り、更に驚いた。
本当にこれはヤバい。200億円で製作されるハリウッド大作よりも、遥かにパワーを感じる作品なのだから…。
新進アメコミ風コミックを書く男に岩瀬亮。彼は元世界チャンピオンの波岡一喜とは親友で有るばかりか、彼の婚約者とは昔同棲していた間柄。
波岡一喜をモデル化したコミックでの、悪のダークヒーローを倒す新作コミックのアイデアと、新たなキャラクターを探す目的で、ボクシングジムで取材をしていたところ、主人公の遠藤要と知り合う事になる。
波岡との対戦を熱望し、実は密かに岩瀬亮の描くコミックに強い憧れを抱いている彼は、いつしかコミックに描かれているストーリーに即した行動に出る。
この作品には主人公が2人居る。
若手ボクサーと、新進のアメコミコミック作家。
この“2人”が出会う事で、お互いに心の内に煮えたぎっていた《何か》が湧き上がって来る。
それが沸点に達する瞬間が、遠藤要が突然《覚醒》する場面だ!
この瞬間を絶対に見逃してはいけない!
実は映画を観ていて、本当の“真実”にはなかなか気付かない。
岩瀬亮演じるコミック作家のキャラクター。
映画が始まり、作品が進んで行くに従い、観客側はこのキャラクターにはなかなか付いて行けなくなる。どう観ても苛々させられるキャラクター像なのだ!
しかし、彼の描く(実際には別の人の手による)アメコミ風コミックのキャラクターの描き分け方が、なかなか秀逸に描けているので、ついつい考えが廻らなくなるのだ。
全ては完全に映画が終わった瞬間に気が付く…。
凄い人が出て来たものである。実に頼もしい。
まさか「本気出してないけどね…」って事無いよね(苦笑)
(2010年2月1日ユーロスペース/シアター2)
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