告白(2010)のレビュー・感想・評価
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「告白」映画としては素晴らしいが、後味は人様々
松たか子、岡田将生、木村佳乃、
そのほかのキャストはみな若い、本当の中学生らしい。
**
ある中学校、3学期の終業式で担任の森口悠子(松たか子)が語り始める。
森口悠子は娘を保育園に預けるシングルマザーの教師。
遅くなるときは学校に娘を連れてきていたが、ある日、愛美が学校のプールで溺死した。
事故死として処理されるが、森口はクラスの生徒に殺された、と告白する。
彼女は犯人の名を語らないで、少年AとBと呼ぶ。
クラスメートはすぐに誰が少年A、少年Bなのかを知る。
*
そして、どんどんと思惑から外れて曲がっていき、
やがて驚愕の結末へと突き進んでいく。
**
いきなり、事件の告白。
自分の口からはあえて名指しはしないものの、犯人をあかし、
事件の真相を語る。
この時点ですでに、この映画が謎解きの物語ではないということが示される。
そこから事件の真相を共有したクラスメートと犯人の二人の少年の神経戦。
追い詰められていく少年たちの物語か、と思わせておいて、
実はそれぞれの事情があり、考えがあり、思惑通りにいかなかった真実がある。
そして、最後にすべてが示されて結末を迎える。
ちょっぴり、楳図かずおの「おそれ」を思い出した。
*
なかなか凝った構成で、途中に入る「告白」も効果的だった。
原作は知らないが、原作の読者感想を読む限り、
作者の意図はかなりの部分でうまく映像化できているように思える。
登場人物のそれぞれが別々の背景、過去、思い、思惑を持ち、その考えに沿って行動するが、
全く噛みあわないまま接点を持ち、人生は目論見通りには進まない。
そしてほんのちょっとした行き違いが、物事を思わぬ方向に進めていくが、
その代償は大きい。
キャストの演技力も素晴らしいが、監督の力量に感服。
告白
松たか子さんの全て見抜いたような行動・言動・雰囲気に怖さを感じました。誰もハッピーにはなれない結末だったと思いますが、最後の松さんの生徒に対しての一言に教師としての側面が出ていたのではないか?と解釈しました。
決して救われないけど・・映画としては面白かった
他人を一切信頼出来なくなった時に、人は声を荒げたりしなくなってしまうのだなと思った。
松たかこさんの演技は、小さな笑みを浮かべるほどの冷静な語り口であった。森口先生に起こったことを自分の立場に置き換えた時に、上記の様になってしまうのかと感じさせる演技であった。
人に裏切られるから、声を荒げたり興奮するのであって、最初から何も期待しなければ良いとなった後の悲しい行動であったのではないだろうか。
森口先生の行動が、実は犯人の生徒を想う気持ちが背景にあったとは、私には思えない。
そう開き直って感じることで、この映画を見終わっても、悶々とした気持ちにならかった私は奇人なのだろうか。
なお、映画としては非常に展開が練られた面白い映画だったと想う。
復讐という更生。
予告を観た時点で気味の悪い話だと想像していたが、
それは鑑賞後でもまったく変わらない気持ちだった。
そこいらのホラー映画よりはるかに恐ろしい、
虚実入り乱れた独白形式をうのみにすればするほど、
とめどない復讐の連打を見せられ陰鬱な気持になる。
ネガディブながら最後まで目が離せないストーリーを
今回は派手から遠のき、地味ながら的確な映像美で
淡々と紡いで魅せた監督の手腕には脱帽する。
愛娘を教え子に殺された女教師。
少年法に守られたその13歳を犯人A・Bと名指しし、
復讐を仕掛けたと言い放ち、教職から降りていく。
それまで騒然としていた教室は静まり返り、
すぐに犯人探しのメールが飛び交い始める。
冒頭からショッキングな場面となるが、この話は
犯人が判明してからのそれぞれの告白が主となる。
若年層が引き起こす猟奇犯罪は、未だに減らない。
今作の中でも似たような犯罪や、そこに辿り着くまでの
心の軌跡が明かされるが、私から見ても、なぜ殺人を
犯さなければならないのか明確な理由が見当たらない。
有名税が欲しいからとスクープ目当てで起こす犯罪。
通りすがりや成り行きで関係ない人々を巻き込んで
大量殺人の果て死刑になりたいなどと身勝手な告白。
また今作の中でも描かれるように、ほぼ犯人の誰もが
世間の注目を集めたいという部分に集中している。
なぜ自分を過小評価し、世間を過大評価するんだろう。
有名になった自分を世間が忘れなければ満足なのか?
残念ながら、どんな事件も時が経てば忘れ去られるし、
陰惨な事件で有名になった自分を世間が思いだすのは
次の陰惨な事件が起こったときでしかない。
本当の本心はそうじゃなくて、たった一人でもいいから
自分が願う人に振り向いて欲しいんじゃないだろうか。
親(これがいちばん大きいが)でも恋人でも友人でも。
ありのままの自分を認めて受け入れてもらいたい願望。
受け入れて貰えないからと反発するのは、子供じみた
我儘にとれるが、それを大人になってもやり続けるのは
子供時代からその安心感を味わえてこなかった証拠だ。
どの人間にもどうしようもない欠点があるものだが、
それを受け入れ貴方が大切なんだと、自信を持って
愛してくれる存在が人間には必要だ。心の拠り所は
自分が有名にならなくても、いつでも傍にあったはずで、
自分が手を伸ばせば必ず親身になってくれたのである。
今作でいうなら、犯人の親たちがそうなるべきだった。
Aの親にもBの親にも欠点はある(というか多い^^;)
でももしこの親たちが、子供に対して溺愛ではなく、
放任でもなく、体罰でもなく、怯えや遠慮でもない、
態度がとれていたら、子供側が抱く不安が少しでも
減ったという可能性はなかっただろうか。
離婚で母親が去っても、友人にバカだと言われても、
なんのこれしき!と大胸を張れる強さ。
逆境に負けない強さが養われるのは、逆境に強い
環境に育つことだと私はいつまでも思っている(爆)
松たか子のさすがの演技には目を見張ったが、
この先生の果たす復讐を観たままで終わらせたくない。
監督が最後に入れた台詞が、観るものの予感を刺激し
真実はそうだったのかと気付かせる行いであって欲しい。
生徒の目線と価値観まで降りて命に対する授業を行い、
もはや不可能と思われた更生を試みたと受け取りたい。
目には目を。歯には歯を。では何の解決にもならない。
(この先生は最後まで先生であったと私は思いたいので)
人間の感情
「キレイごと」とかじゃなく、人間の感情が素直に表現されていたかなと思います。
なので、重くて怖いのに、後味が悪くない映画になっていると思います。
あとは、演技がすごくイイので、「上手いな~、よく作ったな~」というような視点でも楽しめました。
劇場で使われている音楽もいいです。
劇場が凍りつきました!!
個人的には、満点です!
しかし、なんという映画なんでしょう!
ジャンル分けも難しい・・・
決して楽しい映画ではなく
涙を誘う感動作でもなく
ただ言えるのは、単純ですが
〝問題作〟です。
今までの中島監督作品のような
ファンタジー色があるのは、冒頭の
1曲目だけです。
原作は、めずらしく、ハードカバーが出た
時点で既に読んでいました。
主人公を始め、主要の登場人物が、順々に
独白(告白)をしていくのですが、
全て、真実を述べていません。
なぜか?
それは
それぞれが、ある対象に向けて語っているからです。
表現する手法は違いますが、完全なる独白ではなく、
聞かせる(読ませる)相手がいるから、
本当の気持ちではなく、時には都合良く、
時には、同情されようと
時には、強く見せようと
脚色しています。
今まで、こんなに悪意に満ちた映画が
あったでしょうか?
そして、
こんなに、セリフに溢れた作品があったでしょうか?
ファーストカットから、ラストカットまで、
異常なまでの緊張感が漂い、鑑賞する側も
かなりの、パワーが必要に感じました。
私はほぼ身動きしないまま、
過ごしてしまいました。
上映中、劇場内が、こんなに静まりかえっていた
記憶はありません。
これは、決して大袈裟ではありません。
そして、エンディングロール中も、誰も一言も発せず
場内が明るくなっても、静かに劇場を後に
する人たち・・・・
なにか異様なムードを感じました。
何か、スゴイモノを観てしまった・・・
これは賛否がハッキリと分かれてしまう
映画なのかも、知れません。
もしかしたら、キライな人が
いるかも知れません。
この映画は
〝素晴らしい〟と
思える人が映画通だとか
そういったリトマス試験紙的な
事も、この作品には、言えません。
たぶん、嫌いな人は結構
いるでしょう。
そういった次元では
ない気がします。
松たか子の演技は完璧でした。
原作のイメージを崩すどころか、
更に広げています。
原作に忠実ですが、一部付け足して
いるシーンが2つあり、
その2つのシーンにより、
原作を超えました!
原作では全く見ることのできない
主人公の内面が描かれているのです。
そして、やってくるラストシーン。
原作を超えたオリジナルな
ラストシーン。
この時の松たか子の表情!!
観た人、それぞれ
感じ方が違うかも知れないので、
書きませんが、
この表情は、衝撃的でした!
この人は、ホントに上手い!
もう、松たか子以外に
考えられません!
そして
いつものように、原作を上手に構成しなおした
脚本!(中島監督スゴイです!)
文句なく、
今年ナンバーワン映画です!
この作品は、観た人に是非、感想を
聞いてみたいです。
痛みを恐れる子ども達。 痛みを恐れた大人達。
今年劇場で観た映画40本中で間違いなく最高の一本であると同時に、最も恐怖を感じた映画。
映画の子ども達はまるで怪物だが、少々の誇張を除けば紛れも無く現実の存在だろう。
少年Aの犯行の究極的な目的は『母親に愛される事』だが、彼が要求しているのはそれ以前の事。
『僕を見てほしい』
『僕に構ってほしい』
母親は彼を見ることも構う事も拒絶した。彼女は自分しか見ていなかった。
Aは親の気を引こうと泣き喚く幼児と同じだ。
幼児は自分の欲望を満たす為なら他人など顧みない。
彼はいわば、人殺しを覚えた幼児だ。
他人と繋がる術を学ぶ以前に、親と繋がる術を学ぶ機会すら与えられなかった赤ん坊だ。
生徒Bの家庭はどうだ。
父親と姉がいる筈なのに、画面には母子2人しか登場しない。この母がどれだけ息子に依存しているかという事か。息子に必要とされる事に彼女は人生の価値を見出している。だから、
息子に拒絶される事を文字通り死ぬほど恐れる。
息子の行動をひたすらに肯定する。
息子の責任を他人に転嫁する。
それすらかなわなくなると……ぷちん。さよなら私の美しい人生。
何が言いたいか? 結局、彼女もAの母親と大差は無い。自己実現の場が『科学』だったか『息子』だったかというだけだ。程度の差はあれ、自分が一番大事なのだ。
他人と繋がるには自分のエゴを押し殺さなければならない。他人と繋がる事は苦痛を伴う。
映画の生徒達はその苦痛に慣れていない(Aに関してはその耐性が皆無だ)。
本心を晒してそれを否定される事に怯えている。他人と繋がる際の喜びだけを求めている。
それは“痛み”を教える立場にあった大人達自身が苦痛を被る事を恐れたからではないのか。
しかもネット等が発達した現代は、他人と極力接触せずとも生きていける。痛みを避ける術が、逃げ道が多すぎる。
松たか子演じる森口が我が子を殺した生徒に苦痛を与えるには、まず苦痛を教育する必要があった。
だからAがそれまで築き上げてきたものを徹底的に否定・破壊し、彼を赤ん坊の状態にまで戻したのだ。
彼女は復讐者であると同時にAの代理母でもあったと言えないか。
ところでAの母親は本当に死んだのだろうか。森口の行動によってBの母親が死んだ以上それを否定する事はできないように思えるが、できれば未遂だったと信じたい。人間性を教える為に人間性を捨て去るだなんて、あまりに救いが無いじゃないか。
<2010/6/5鑑賞>
原作、監督、演者のスゴさを感じます。
開始同時に、トイレ行きたいかも…なんて思っていたら、最後の「なーんてね」のセリフまで、すっかり忘れてしまっていて、作品に引き込まれてしまいました。
中学生が主題のひとつなのに、R指定になったのも、ちょっと納得出来ます。
淡々とした森口役の松、過保護で子供生きがいの母親の木村ともに、怖いくらいの演技力でした。
しかし、ホントに怖かったのは、犯人A,Bではなく、他のクラスメート。笑顔が怖いって何だろ。
ラストで、森口が犯人Aに言う「更生への第一歩だと思いませんか」で、原作は終わってますが、映画では「なーんてね」と付加。この一言がついただけで、森口先生の印象が凄く変わりました。
ただ、雨の中で涙する森口が、本当の姿なんだと、人間らしさを感じた。
とにかく、スッキリ明るい気分は皆無ですが、映像美を含めて、是非劇場で観てほしいです。作品がいいか悪いかは、観る人の感性のみ。
見るんじゃなかった
とにかく気持ち悪かった。
見終わった直後、心の奥底に不快感の大きな塊がズーンと残った。
午前中見たため、その不快感は私の1日の気分を決定してしまった。
『下妻物語』『嫌われ松子の一生』は素晴らしかった。
きっと『告白』も構成や展開などの観点から考えれば良い映画なのかもしれない。
しかし、難しいことや理屈は抜きにしてとにかく鑑賞後感が悪すぎた。
1,800円というカネ、時間、丸1日の気分、何だかずいぶんと損をした気がする。
今思い出しても不快、失敗した、見るべきではなかったと思う。
アタシ的、今年のアカデミー賞!!
主演は松たかこさん。
監督は、『嫌われ松子』や『下妻物語』の中島監督です。
原作は昨年の本屋大賞をとられているそうです。
原作を読まずに最速試写で映画を観ました。そして原作は映画を観た後に読みました。
なんとなくアタシにはその順番で正解だったと思います。文庫版にある監督の解釈には脱帽。さらに色々かきたてられました。
そして、再度映画館で鑑賞。
映画は内面に激しいものを持ちながら表面的にはたんたんと進んで行きます。
一つ一つのシーンがとても美しいです。
そして一歩間違えたら邪魔になりそうな言葉は、うるさく感じることなく、すぅ~っと入ってきました。
監督はいつも撮影中太るそうですが、この映画で10kg痩せたそうです。
「人間」のエゴな部分が顕著に見えるので人によっては辛いかもしれません。
特に思春期のお子さんをお持ちの方には。
他人事と考えるかもですが、他人事では無い気がしました。
いつか自分にも起こるかもしれない。
大なり小なりどこかで起こっている、起こりうる出来事だと思いました。
その時自分はどうなるか・・・どうするか・・・・
なーんてねっ。
復讐劇ではない、身を削らせて命の尊さを教える教育劇だ
今年上半期のなかで、最も良い出来栄えの作品に出合えた。
それは「告白」。
湊かなえの原作小説を実写化したものだが、中島哲也監督の天才肌な演出が
冴えまくり、「嫌われ松子の一生」や「下妻物語」で手がけた煌びやかな
様子をごっそりと割愛してしまっている。
松たか子だけでなく、岡田将生、木村佳乃。
こんな演技が出来たのか、と思わず唸ってしまう場面も数々。
岡田は内心の不安を明るさでひた隠そうとする若き教師を、
木村は物語が進んでいくに従って狂気を秘めていく殺人犯の母親役を、
実に繊細に演じている。
ストーリーを丹念に追っていけば、クライマックスの矛盾(というか謎)は
解消される。松たか子演じる森口は、結局のところ殺人犯にはなっていない。
しかし、そんなことはどうでもいい。
久し振りにエンドクレジットが流れるまでスクリーンに釘付けとなり、
筆舌に尽くしがたい余韻を残す作品に出合った。
今年の賞レース、本命が出現した。
告白
「ざまぁwww」
〈チラ裏〉
キャコ迷いました。
沢山のざまぁwwwが集まった作品だと思います。
是非ね、共感して…
ざまぁwwwされてください。
原作でおさらいしてみようと思いました。
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