劇場公開日 2010年3月13日

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「多いに泣かされた」時をかける少女 かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5多いに泣かされた

2010年3月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

楽しい

自ブログより抜粋で。
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 お話自体は大林版『時をかける少女』(1983年、大林宣彦監督)の続編といった趣。
 尾道を舞台にした大林版に対し、今作は明確に東京を舞台にしているので、純然たる続編というわけでもないのだが、いろんな場面に大林版の影響を感じる。

 なんというか、純粋に出来を判断するなら、かなり荒い。とくに脚本が稚拙に感じた。
 観ていればわかることをわざわざ「渡したい物があるって、なに?」とセリフで説明してしまう煮詰めの悪さにしても、医務室が閉まっているからといって女子高生を“お持ち帰り”する大学生や、在学生たちに卒業生の所在を訊ねるのに先生には訊ねない不自然さにしても、いちいち雑さが目に付く。

(中略)

 ただ、むげに切り捨てられない魅力があるのは事実。
 安田成美が演じる芳山和子の明るいキャラクターに大林版とのギャップを感じるのだが、それが違和感というより、大人になった彼女の成長に感じられたのは白眉。安田成美の好演の賜物だろう。
 1974年の芳山和子を演じた石橋杏奈も、大林版の原田知世には似ていないのに、大和撫子としてのたたずまいはそれを彷彿とさせる。さらに一本筋の通った芯の強さも、後の安田成美に通ずる彼女のありようとして違和感がない。
 序盤は空回りを感じた仲里依紗の熱演も、後半に向かうにつれ世界観に馴染んで、クライマックスはまさに独壇場。多いに泣かされました。

かみぃ