「革命前夜」ペルシャ猫を誰も知らない juve0504さんの映画レビュー(感想・評価)
革命前夜
“アラブの春”がついにはリビアをも飲み込もうとしている。
次はシリアかバーレーンか、はたまた・・・。
今作の舞台となっているイランは、上記の国々とは多少環境的に異なるため、現在のところあまりきな臭い話は伝わってこないが、アラブの春が起こる以前から一部では革命が近いとも言われており、いつ不安定な状態になってもおかしくはない。
そしてこの映画からはそういった空気がよく伝わってくる。
逮捕を恐れながら細々と、自らを表現する術を見つけるか、規制を逃れて国を出るか。
夢など持たずただただ日々を生きるのか、夢の実現に悪戦苦闘するのか。
しかしその夢は叶うと思われたその瞬間に、その手から零れ落ちる。
映画全体としてはイランの国情をそれほど悲劇的には描いていないが、
曲中のインサートカットなどで、イラン国民の苦しみをユーモラスに捉えていて、秀逸。
自分はあまり“ロック”や“音楽”といったものにはあまり興味のない方の人間だが、それでも十分楽しめた作品であったし、個人的に挙げるとすれば、アラビア語のHIPーHOPを初めて聞いたが、意外なカッコよさにもっと他の曲も聴きたくなったものだ。
それでもあまり評価が上がらなかったのは、監督が「亀も空を飛ぶ」のバフマン・ゴバディなのだから・・・もう少しシリアスに?真面目に?描いてほしかった、といったところか。
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