劇場公開日 2010年8月7日

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ペルシャ猫を誰も知らないのレビュー・感想・評価

全10件を表示

3.5☆☆☆★★ ※ 鑑賞直後のメモから 以前に、『亀も空を飛ぶ』で衝撃...

2020年1月2日
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☆☆☆★★

※ 鑑賞直後のメモから

以前に、『亀も空を飛ぶ』で衝撃を喰らったバフマン・ゴバディ監督作品。

イランを飛び出て海外で音楽を目指す若者が、ナデルとゆう男に様々なミュージシャンを紹介され…。

イランで活動する色々なジャンルのミュージシャンが画面に登場して来る。
ナデルのオートバイに跨り、彼等を訪問して行く。
一見するとロードムービーの様な作りにも感じるのだが。何となくロードムービーとも言い難い雰囲気がある。
その為に、映画が何を訴えかけているのか…をなかなか理解出来ずにいた。

すると突然、画面にはナデルが探していたイランのラッパーが現れる。
彼は言う。「俺はここを離れない!」…と。
その後、このラッパーの歌声と共に。PVの様な映像が画面から流れて来る。
すると、その映像の背景で。ラッパーと同時に映るのは、イランに於ける貧困であり。朽ち果てた残骸の映像だ!
それまでにも、様々なジャンルのミュージシャンが登場しては、PVらしき映像が画面には映ってはいた。
但し、それらのミュージシャンには。主人公が歌うバンドのメンバー募集とゆう理由があった。
このラッパーが登場する辺りから、何となく映画の方向性がはっきりと。彼等ミュージシャンを通してのイランの現状を訴えかけている様にも受け取れる。

何をするにも〝許可〟〝許可〟〝許可〟が必要なイランの現実。
コンサートを開くには何故だか女3人が必要…とか。犬を外に連れて行くには許可が必要…等。
全ては当局の監視の元に、がんじがらめになっている現状に抗議している様に感じられた。
特にナデルが当局に対して、口八丁手八丁で泣き付く場面は。思わずゲラゲラと笑ってしまう事間違いなし。

そして映画はラストへ。
『亀も空を飛ぶ』のラストには、思わず脳天をバットで殴られたかの様なしょかを受けたが。今回はシンプル且つ単純でありながらも。やはり観ていて鬱に陥ってしまうが如くの締め方で、軽い衝撃を受けた。

全編で、当局からの許可を得ずのゲリラ撮影を敢行…との事でしたが。ワンカットだけだが、パトカーの内部からのショットがあった事実から考えると、多少は眉唾物かな?…と言ったところ。
勿論、全部ではないでしょうけど。

2010年8月27日 ユーロスペース/シアター1

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松井の天井直撃ホームラン

4.0ロックってある時代までは、体制と戦う武器だったんですよね。

2015年7月28日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

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さぽ太

3.5自由のない国

2012年9月23日
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鑑賞方法:映画館

 日本もどんどん息苦しくなってきていて、特にそれに対する反対の声もないのが空恐ろしいと感じている昨今、イランには厳格な宗教があり、イスラム教に反する表現も非常に規制されているようだ。パスポートの取得も大変そうで、北朝鮮ほど不自由ではなさそうなものの、映画も好きに見れなさそうで、日本との違いがとても興味深かった。

 そんなイランの音楽事情のカタログ的に紹介しつつ、規制だらけの中でとてもエネルギッシュに音楽に取り組む姿勢が素晴らしかった。表現とは、自由とはと非常に突きつけられるものがあった。

 主人公のアデルがよく喋ってよく動き、見ていて元気が出るキャラクターでとても魅力的だった。

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吉泉知彦

4.5イラニアン・アンダーグラウンド

2011年9月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

悲しい

知的

イランは検閲が厳しい国である。欧米はそれを”イスラム”だからと考えたがるが、それは偏見というもの。日本人も欧米の情報を元にそう思いがち。
イランは革命からすぐイラクとの戦争に突入し、しかも欧米と険悪な関係にあった。そんな中で体制転覆を恐れるあまり、今までずっと戒厳令、国家非常事態体制の状態なのである。革命国家にはこうした負の面があることは歴史が証明している。
フランスは革命後の混乱と外国からの圧力により恐怖政治に陥った。ロシアは革命から独ソ戦、冷戦、ソ連邦崩壊まで非常事態体制国家のままで終わった。イギリスの清教徒革命後におけるクロムウェル体制は、ほとんど戒厳令体制である。宗教や思想は案外関係ないのだ。ただ、抑圧の大義名分に使われているのだ。

そんな中で検閲の目をかいくぐって広げられるイランのアングラ音楽。その知られざる音楽に触れることのできる貴重な映画。自由にやれない分、楽しく真剣に音楽と向かい合っているのが伝わってくる。しかも、皆さん逞しい。ナデルと警官のやりとりなんて最高。ネガルやアシュカンと違ってイランに残る決意をしている人々も、自分なりに将来を見据えている。仲間、連帯感のようなものがある。音楽をやりたい飢餓感、必然性、それらが彼らをより魅力的に見せていると思う。

アメリカや日本は自由である。だが、若者を中心とした虚無感は何なのか。つまりは、ハードに監視されなくても、ソフトに都合よく監視されているののだ。都合の悪いことは”自粛”しろということだ。メディアなどを通じて、反抗心はやんわりと去勢される。冗談と笑いがあふれ、怒りの感情は巧みにスポイルされていく。宴の後の虚しさが社会を覆い、今が大事で将来が見えなくなる。つかの間の宴、つかの間の人間関係。連帯は無く孤独が支配する社会である。こういう国ではロックの役目は終わっているのかもしれない。日本は自由だというが、自殺者3万人で自分探しが流行る国ってどうなのよ、と自問したくなった。

ちなみに、ネガルが可愛い。アシュカンがちょっと羨ましかった。

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辛子ニコフ

4.0革命前夜

2011年8月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

楽しい

興奮

“アラブの春”がついにはリビアをも飲み込もうとしている。
次はシリアかバーレーンか、はたまた・・・。

今作の舞台となっているイランは、上記の国々とは多少環境的に異なるため、現在のところあまりきな臭い話は伝わってこないが、アラブの春が起こる以前から一部では革命が近いとも言われており、いつ不安定な状態になってもおかしくはない。

そしてこの映画からはそういった空気がよく伝わってくる。

逮捕を恐れながら細々と、自らを表現する術を見つけるか、規制を逃れて国を出るか。
夢など持たずただただ日々を生きるのか、夢の実現に悪戦苦闘するのか。
しかしその夢は叶うと思われたその瞬間に、その手から零れ落ちる。

映画全体としてはイランの国情をそれほど悲劇的には描いていないが、
曲中のインサートカットなどで、イラン国民の苦しみをユーモラスに捉えていて、秀逸。

自分はあまり“ロック”や“音楽”といったものにはあまり興味のない方の人間だが、それでも十分楽しめた作品であったし、個人的に挙げるとすれば、アラビア語のHIPーHOPを初めて聞いたが、意外なカッコよさにもっと他の曲も聴きたくなったものだ。

それでもあまり評価が上がらなかったのは、監督が「亀も空を飛ぶ」のバフマン・ゴバディなのだから・・・もう少しシリアスに?真面目に?描いてほしかった、といったところか。

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juve0504

4.5マグマは、夜空の夢を見る

2011年6月11日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

興奮

幸せ

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ダックス奮闘{ふんとう}

4.5ナイス音楽

2011年5月26日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

楽しい

イランの不幸なアングラ歌手たちの話。
まぁストーリーもそれなりに考えさせられるものではあった(検閲とかやってるんですね~)。
しかしそれ以上に、乾燥したテヘランの街並み、その濃厚な香りを漂わせる映像でした。
微分音豊かなイランポップスもとてもよかった。

イスラム系の映画が好きなのかもしれない。
これから2週間ほど、東欧系の映画をいっぱい見る予定です。

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amiishka

4.0実在に基づいたフィクションでありドキュメンタリー?

2010年8月24日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

悲しい

映画を見れば明らかですが、イランではヨーロッパ的な色彩の強い音楽や映画等の表現にたいする当局の規制がかなり厳しいのが現状。それもこの映画のように政府の方針を批判するような映画であれば撮影許可がでないのは当たり前で、インタビューによればゴバディ監督は無許可で撮影を敢行したそうです。撮影が発覚し当局に拘束されればどれだけの処罰を受けるかわかりません。そんな状況でこの映画を撮り切り、世界中の映画館で公開されるところまでこぎ着けたこと自体に、日本やアメリカで作った映画では決して持ち得ないような大きな意義があると思います。

 内容面では中盤が退屈であるとかラストシーンが唐突であるとか批判的な意見もありますが、この映画を見れば作り手の「なんとしてもイランのミュージシャンや映画人がおかれている状況を世界の人に知らせたい」という熱い思いが伝わってくることは間違いないです。

見に行って損はない映画だと思います。

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s'il vous plaît!

4.0イランの反骨精神メランコリック・ロック

2010年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

イランのアングラ・ミュージックの豪華長編PVを見ているような感じがする。
民謡あり、ロックあり、ラップあり。
どれも現状に対する怒りや焦りや希望がこめられた魂の音楽だった。

この21世紀にロックが厳しく規制されている国は、おそらくイランだけではないだろう。
信じられないような話だけど、だからこそ生まれる音楽もあるのだな。
まさに反骨精神ロック。
そこには抑制から生まれる才能、またはつぶれてしまう才能のふたつがあるのだけど。

でもこれ、ただの青春音楽映画じゃない。
覚悟の上でゲリラ撮影に挑んだ映画出演者&製作者は国を負われたし、ラストには体制に対する監督の辛らつなメッセージがぶっこまれてる。

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ikuradon

4.0こんな国、ありえないでしょ

2009年11月30日
PCから投稿

怖い

第10回東京フィルメックス、審査員特別賞受賞作品

好きな映画評論家が同作を推奨。
これは観ねば、と当日券を購入し鑑賞してきました。

☆彡     ☆彡

 カンヌ映画祭「ある視点」部門で特別賞受賞
 たしかにコレを公開したら国にはいられなくなるだろうな

上映前に
バフマン・コバディ監督のメッセージがスクリーンに出ました。

「この作品を撮影したことで国にいられなくなりました」
「現在のテヘランを映しました。ナデル役だけプロの役者、あとは本物」

今作を観る前、ある作品を思い出しました。
『オフサイド・ガールズ』(06)こちらもイランの映画で、
ワールドカップサッカーの観戦の禁止されている女性たちが
スタジアムに入ろうと悪戦苦闘するコメディっぽい作品です。

「女性がサッカースダジアム観戦できないなんて、ウソでしょ」

そして、今作、
「コンサートができないなんて、ウソでしょ。
 えっ、コンサート会場で400人が逮捕された?
 女性ボーカルが犯罪になるなんて、ありえないでしょ」

イランでは
特に西洋音楽に対し、規制が非常に厳しく
国からの許可がおりないとコンサートが開けない。
もっとも、それ以前に、国から許可がおりないそうです。

そのため、
インターネットなどを使い、
闇でコンサートを開催する。
そして当局に見つかった場合は逮捕されてしまうそうです。

今作を作るキッカケになったのは
監督自身も音楽が好きだったことと、
そんな抑圧された環境を抜け出し、自由に音楽ができる環境を求めて、
海外に行こうとしていたミュージシャン2人との出会いがあったからだそうです。

作中のセリフにもありますが、
今作、バフマン・コバディ監督は無許可で撮影をしています。

厳しい状況の中でも
懸命に音楽表現をしようとする人たちに
触発された、そして勇気をもらったのは間違いないでしょう。

監督、その2人を軸に映画製作決定。
フィクションとドキュメンタリーを融合させる形をとりました。

監督が記されていた通り、
たくさんのテヘランの風景が映しだされます。

厳しい環境の中、作り出された音楽に乗せながら、
まるで、そんな環境がウソのような力強いリズム。
まるで、一本のビデオクリップのような映像が次から次へと。

そこには
音楽を演奏する困難さだけでなく、
海外へ行くことの難しさ、ペットに対する法律など、
日本では考えられないようなイランの現状が盛り込まれます。

“表現の自由”
そんなものは、まったく存在しません。
わたしたちが、普段の生活であたりまえのようにしている、
音楽を聞く、音楽を演奏する、犬の散歩をする、そんなことまでもが、
国の法律によって禁止されている日常。繰り返しになりますが、日本では想像もつきません。

そんな衝撃的な事実が、次々に
我々の目の前に突きつけられるのです。

☆彡     ☆彡

変な話ですが、
日本に住んでいてよかった、と心の底から感じました。

どこまでがノンフィクションなのか
わかりづらい部分はありますが、それを
軽々と凌駕してしまう力が、この作品にはありました。

作品の性質からして、
日本でのロードショー公開は難しいかもしれません。
あとは、配給会社の監督にも負けない勇気と英断に期待します。

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septaka