ヤンヤンのレビュー・感想・評価
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日本公開ならアート系に分類されるんだろうな・・・
東京国際映画祭“アジアの風”部門
☆彡 ☆彡
なんだか、ユーロスペース上映作品っぽいなぁ
台湾の作品です。
監督は、チェン・ヨウチェさん。
上映後、ティーチインの予定でしたが、
奥様が出産を控えられているとのことで、残念ながら不参加でした。
東京国際映画祭オフィシャルガイドの写真を拝見すると、どこかで見覚えがある。
『九月に降る風』こちらに警察官役で出演されていました(終盤に出てきます)。
同作のトム・リン監督と親交が深いようで、今作には助監督としてクレジットに載っているそうです。
『九月に降る風』もユーロスペースにて
上映されていましたが、今作も、作品のテイストは、とても似ていました。
《 芸術性と商業性の両立を目指した 》
ティーチインにて今作でプロデューサーを
務められたアン・リー監督の弟さんが誇られた言葉。
台湾では商業的にも大成功を収め、
映画祭の賞レースでも、ほとんどの部門にノミネートされているそうです。
ただ、申し訳ないのですが、
日本で公開をされるとしたら、
アート系(単館系)になってしまうんだろうな。
台湾の人って、映画に対しての眼が肥えているのかな、なんて感心しました。
おそらく鑑賞者が一番抵抗を感じるのは、
手持ちカメラを多用した点にあると思います。
『白夜』小林政広監督。
こちらも手持ちカメラを多用し、
心の揺れを表現したかったと、意図して、映像を揺らします。
今作、それに加え、臨場感や躍動感を
出したかったのかもしれませんが、映像が揺れています。
ヤンヤンとは主人公のヒロインの名前ですが、
その揺れにより伝わるものはあります。クライマックスでは
こちらも監督の演出でしょうが、ここは映像から揺れがなくなり、
主人公のセリフ、そして感情氷解表現で、観客を一気に感動の世界へと誘います。
揺れて、揺れて、揺れてきたのに、まったく揺れない。
もう、それだけで、観客の眼はスクリーンに釘付けになりますよね。お見事です。
☆彡 ☆彡
最悪期は抜けたが台湾の映画業界は、まだまだ厳しい。
映画監督だけで食べていける人なんて、まずいません。
そんな台湾の苦境も吐露されていました。
ティーチインの予定時間を10分オーバーするほど、
作品のことだけでなく、台湾の現状を熱く訴えていました。
某映画愛読誌を読むかぎり、
『海角七号』(2009年12月26日日本公開)など、
記録的大ヒット作が出ていると聞いていたので、まさかそこまで厳しいとは衝撃でした。
『九月に降る風』も同じですが、
このような若手有望株を埋もれさせないためにも、
日本の配給会社の皆さん、どうか良質な台湾作品を、日本のお客様に提供をしてください。
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