バグダッド・カフェ 4Kレストア版のレビュー・感想・評価
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35年経った今でも印象深い80年代のミニシアターブームを牽引した代表作
1989年の日本公開から35年。 『バグダッド・カフェ』が 4Kレストア版になって再上映されているとのことで、クリスマスのイルミネーションが眩しく煌めくYEBISU GARDEN CINEMAさんへ。 『バグダッド・カフェ』(1989) ジェヴェッタ・スティールが歌うテーマ曲「コーリング・ユー」と黄色い給水塔をブラシで清掃する主人公のキービジュアルが35年経った今でも印象深い80年代のミニシアターブームを牽引した代表作を久々に鑑賞。 舞台はイラクの首都ではなく、アメリカのカリフォルニア州の砂漠地帯にあるモーテル兼カフェ「バグダッド・カフェ」。 ドイツから旅行に来た夫婦が道中で喧嘩別れ、夫人・ジャスミン(演:マリアンネ・ゼーゲブレヒト)が「バグダッド・カフェ」に滞在する中で、女主人ブレンダ(演:キャロル・クリスティン・ヒラリア・パウンダー)たちの警戒を解きつつも徐々に心を通わせ、夫の荷物にあった手品セットで手品を習得し客前で披露することでカフェが大繁盛するハートウォーミングでファンタジーな作品。 久々に鑑賞すると映画の作法を無視した斜めの構図や独特の色彩調整、粒子の粗いざらついた映像など「バグダッド・カフェ」自体を浮世と離れた理想郷、ユートピアのように描いているのではないかと感じましたね。 常軌を逸したブレンダのジャスミンへの拒絶が、徐々に相互理解と尊敬、友情が芽生えるストーリーが実に素敵で、ジャスミンに恋する老人ルディも名優ジャック・パランスがペーソスの漂う演技が見事です。 作品内容も映画史に残る名作ですが、やはり「コーリング・ユー」の楽曲ヒットと、黄色い給水塔のキービジュアルの世間へ浸透、ミニシアターブームのなかで、本作品が流行の最先端のファッションのように洗練、昇華されたことも大きいですね。 昨今、映画オリジナルのテーマ曲のヒットや、ポスタービジュアルが部屋で貼られるぐらい認知と人気を獲得した作品は随分と減りましたね。 特にポスタービジュアルは配信会社によってデザインがカスタマイズされるので「この作品ならこの絵柄」とすぐに想起することが難しくなって「バグダッド・カフェ」みたいな成功例が減ってくるのは寂しいですね。
スクリーンで観れて嬉しいな
初公開当時は田舎の中学生で知る由もなく、この映画を知ったのは18歳ごろ。『ニューシネマパラダイス』や『ベルリン・天使の詩』と並ぶミニシアターブームのパイオニアながら、リバイバルに出会えず観たことはなかった。 サンフランシスコには同じ名前のカフェがあって、そこのミートローフが好きでよく行ってた。 名曲Calling Youにのせて初めての『バグダッドカフェ』は、なんだかつかみどころがなく不思議な空気感。ポットはドイツらしくてカワイイ、デザイン的には東ドイツっぽい印象。 朝から晩まで怒鳴ってるブレンダうるせーと思いつつも、あの有名なタンク掃除!なんか嬉しい。 はじめは謎のヤスミンに訝しげだった人たちも、次第にヤスミンの人柄に惹かれ、カリカリうるさいブレンダも表情が柔らかく笑顔になる。 オシャレ映画の金字塔は、ものすごい多幸感に溢れていた。 ヤスミン役の女優さん、『ある一生』のおばあちゃんだった!今もご活躍でなにより。
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 映画によるマジックの様な至福の108分間。
①やって来た「余所者」によって壊れかけた家庭やコミュニティが再生するという内容の映画はこれ迄にも何作もあった。 それをドイツ映画がアメリカのモハーベ砂漠の道路沿いにポツンとあるカフェ兼モーテル兼ガソリンスタンドを舞台に描く着想が面白い。 ②
映画で詩を謳う
動く絵と一緒に音楽を合わせて紡ぐ散文みたいなものなのかな。語らない余白部分を鑑賞者にガッツリ委ねられた結果、号泣するしまつ。 コーリング具合を最大限に訴求するためには、恋人でも家族でも親子でも駄目だったんだな。きっと。 にしても、映像の画角と彩色は今見ても圧巻の神センス! 素晴らしいで賞🏆
あの景色に再会した!
舞台はずっとあのカフェ兼宿屋で、ストーリーがあるような無いような時間が流れ、これがあのコーリング・ユーで有名な映画なのか…と思い始める頃から物語にいざなわれる。 身を委ねて心地良かったと感じる人、物足りないと感じる人がはっきり分かれる映画かな。 昔レンタルで観たお気に入りの映画が4Kレストア版で映画館鑑賞出来たのはとても嬉しい。
名作は何年たってもあせない
35年ぶりに映画館で鑑賞。 また映画館で観れると思っていなかった。 俳優は知らない人ばかり。 出だしは、なんだかよくわからず、ラストが全く読めない。 動画配信だと、最初で消してしまう人が多いのはなかろうか。 映画館は、とりあえず最後まで観るのがいい所。 モハヴェ砂漠、昔ドライブで通った事があるので、乾いた空気感がより感じられる。 アクションやラブコメが好きな私の好みじゃない作品なのに、静かにハマった作品。 どう面白いのか、簡単に説明できない。 主題歌の「Calling You」はマジックだ。 私の映画人生、音楽賞はこの曲で、この先も変わる事はないだろう。
不思議な映画
名前は何度も聞いたことがあるけど、今まで一度も見た事が無かった映画。 最初は女ボスがずっと怒りまくっていて何だか不遜でヘンテコな映画だと思っていたが、だんだんと面白くなって行くところが良かった。 ただラストはかなりあっさりとした終わり方でちょっと残念だったかな。
生きる喜びを再発見する物語
モハーヴェ砂漠の乾いた風が吹きすさぶ寂れたモーテルを訪れた場違いな観光客。 吹き溜まりのような人々が暮らすその地で起きた、ファンタジーです。 停滞した閉鎖的なコミュニティを変えるのは若者、バカもの、よそ者という言葉通り、異質な観光客の滞在に触発されて、ただ息をして生きているだけだった人々の感情が呼び覚まされ、活き活きと人生を謳歌するようになる小さな奇跡。 有名すぎる主題歌のリフレインと映像の美しさは言うまでもありません。 若き日に観た名作が最近続々と再公開されて嬉しい限りです。 過去を美化していたのではないかと一抹の不安を抱いて鑑賞しましたが、やはり名作でした❗
ブレンダブレンダブレンダ
イギリスだっっけ?フランス? 例えばどっかの国じゃ蛾と蝶々を区別しないらしい、どっちもパピヨンだ。 そんくらい区別しろよ!とか思うけど、俺ら日本人だってクロコダイルもアリゲーターも同じワニって言うし、コングもモンキーもエイプもヒヒもサルやん。 で、英語圏じゃ魔法も手品もマジックらしい。 良いね、人が人を驚かせたり喜ばせたりする行為は魔法なんだな、魔法を掛けていた者が魔法に掛けられてたり、種明かしまで気づかなかったり。 もうそこにも区別は無いんだな、数十年ぶりに見たけどステキな魔法が掛かった映画だった。 大きな穴が空いた乾いた何も無い砂漠に少しづつ水を注ぎ、魔法とユーモアと愛でいっぱいに満たす話しだ。 当時はVHSで見たけどブルーレイ買っても良い? うん、ブレンダに相談してみるよ。
夕暮れに舞い続けるブーメランを見て、急ぎ過ぎている自分に気がついた。
名作として名前は知っていたが観たことがなかった作品。 特に大きく劇的なことは起きないが彼らの生活が少しづつ変わる様子が心地よい。 夕暮れに舞い続けるブーメランを観て、急ぎ過ぎている自分に気がついた。 ちょっとした人との交流によって状況は大きく変わるということを考えさせられた。
公開当時に観ていたはずだが、若かった私の心には響かなかったのか、ま...
公開当時に観ていたはずだが、若かった私の心には響かなかったのか、まるで覚えていない。 そのため、初めて観るような新鮮な気持ちで向き合えた。 年齢と経験を重ね、ようやくこの映画を味わえた。 日本公開は35年前らしいが、まったく色褪せていない。
後光がさしてるジャスミン
絵や編集のインディペンデントなアート作品みたいな作りが面白いだけでなく、特に大きな事件が起こるわけではなく、キャラ設定の妙味で物語に引き込む脚本がうまい。 太った中年おばさんのジャスミンの愛の光が、人々を癒し、さびれた砂漠のカフェを多くの人が集まるオアシスに変える。クスクス笑いながら癒される作品。
面白くはない
80年代後半のミニシアターブームを代表する一作ながら、あのあまりにも有名なテーマ曲「コーリングユー」以外特に見るべきとところはない。 ガチャガチャとうるさく、なんとなく良さげなところに着地はするが、なぜ当時あんなに受けてたのか理解不能。だって別に面白くはないし、奇妙な味わいも意図されたものとしか思えない。時代の徒花とでも言うべきか…
人は変えられる。変われる。
なんとなく以前から不思議系の作りを想像して敬遠してましたが、思い切って見てみたらちゃんとハートウォーミングないい話でした! 互いの「短所」ばかりを罵り合い荒む人々 そんなところに現れた自然体のジャズミンは各人に眠る「長所」を素直に捉え、開花させ、そして上手く出会わせる かくして人々は明るく変わり カフェ全体も呼応する 砂漠とジャズミンはかけ離れた対局の象徴だったのだと思いました。そのくらい客観視してみなさいよと ネガな先入観ばかり膨らむ情報過多の現代、 ゆったりと素直な気持ちで人の長所を見直してみるいい機会をくれたような気がしました そんな中、白人の兄ちゃんが毎日変わり映えもせずにブーメランを投げ続ける姿はやや滑稽に見え、皮肉として対比させてるのか?と感じずには要られませんでした。皆さんはどう思いましたか?
♪コーリング・ユー♪‼️
この映画を観ると友人に会いたくなる‼️落ち込んだ時に観ると、すっかり元気になる‼️そんな映画ですね‼️砂漠の真ん中にある寂れたモーテルにたまたま辿り着いたドイツ人の太っちょおばさん、ジャスミン。ろくでなし夫に愛想をつかして追い出したモーテルの女主人ブレンダ。二人が友人になる過程を、日本でもヒットしたジュベッタ・スティールの歌う主題歌「コーリング・ユー」の素晴らしすぎるメロディと、砂漠の埃っぽい乾いた空気感の映像美で綴った心優しきファンタジーです‼️カリフォルニアのモハベ砂漠をアメリカではない、ヨーロッパの片田舎のような異風景に捉えたカメラもホント素晴らしい‼️やはりジャスミンを演じるマリアンネ・ゼーゲブレヒトの可愛らしい魅力‼️その人柄で周囲の人々を魅了し、手品でモーテルの集客に貢献し、労働許可証がないので働けないというピンチもジャック・パランス紛する画家の求婚でめでたく解決するラストまで、とても微笑ましい人情味に溢れた秀作ですね‼️やっぱり人間って素晴らしい‼️
この世界観
若い頃に観て、音楽と映像はずっと心に残っていたけれど、どんな内容だったかは忘れてしまっていた。 ヤスミン、こんなに魅力的な女性だったか!(豊満なボディが好まれるということも、実感として理解!) それはさておき、この世界観、今は忘れられたものがたくさん詰まっていると思いませんか?
タイトルなし
BGMについて考え直すきっかけになった。 車のシーンはカースピーカーから流れる音楽がそのままBGMだった。 カフェの中ではピアノを弾く人がいて、その弾いてる音がBGM。 その他、ヘッドホンから漏れる音楽だったり、ラジオから流れる音楽だったり。 この映画は安易にBGMを映像に後乗せしていなかった。 BGMが全くないシーンは、どうゆう氣持ちで観るか強制されない自由さがあって好き。 時々、印象的なシーンで素敵な”後乗せBGM”がかかる。 矛盾してるようだけど、その時ちょっと嬉しくなる。 映像も超氣に入っている。 古いアメ車、バイク、ノスタルジックで素朴でオシャレ。 黄色いポット、コーヒー、黒人、赤ん坊、ブーメラン、手品、絵、虹など意味もなく登場させているわけではないだろうから、その意味について考えるのも面白い。 本作はオリジナル版(91分)と異なり、追加シーンがある108分バージョン。 オリジナル版では二人の主役女性のレズビアン説があったが、男女の恋愛シーンが追加されたので曖昧になった。もしかしたら両性愛者かもしれない。答えが視聴者に委ねられている感じで大好きな映画。
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