バグダッド・カフェ 4Kレストア版のレビュー・感想・評価
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「結婚してくれないか」「ブレンダと相談するわ」
映画「バグダッド カフェ」(パーシー・アドロン監督)から。
1987年製作の西ドイツ作品。
太ったドイツ女性のジャスミンの行動が、
周りの人たちを意識を少しずつ変えていくのだが、
私の気になったところは、ちょっと違う視点。
彼女のスーツケースには、男性用の衣装ばかり。
子ども達が不思議がって「どうして男物?」と訊くと
「後で話すわ」と言いながら、結局は種明かしはない。
結局、モヤモヤが晴れることなく終わるのだが、
私の推理では、彼女は同性愛者で、男役だったのかな。
その裏付けとなる台詞が、
「結婚してくれないか」「ブレンダと相談するわ」
ある男性画家のモデルにもなり、良い雰囲気になった。
ラストシーンは、彼からプロポーズがあり、
苦労したけれど、ハッピィエンドなのかな?と思いきや、
「バグダッド カフェ」オーナーのアメリカ黒人女性
「ブレンダ」の名が飛び出してくる。
そうか、それが「男性衣装」の原因か、と理解したが、
当たっているのかどうかも、わからない。
でも、この作品を思い出すには、この会話しかないな。
地味な映画に感動の嵐
なんという映画だろう。
物語は、砂漠で地味にたんたんと進むのに、
激しく感動を呼び、見ている間中この恐ろしく地味な物語に夢中になる。
私は、こんな映画が大好きだ。
これでドイツ映画だとは思わなかった
総合:70点
ストーリー: 65
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 75
音楽: 85
けだるい名曲「Calling you」だけはやたらと耳に残ってかなり昔から知っていたが、ようやく映画本体を見ることが出来た。しかしこれはイラクの首都バクダッドを舞台にした映画でもなければ、アメリカを舞台にしているけれどアメリカ制作の映画でもない。寂れた何もない砂漠地帯で、なんともけだるいやる気のない生活空間だけが登場する。それなのに必ずしも美しい色ではないありふれた空や薄汚れた建物や何もない砂漠を映す映像が、場面場面を切り取った芸術写真のように綺麗なことがある。
物語は特に面白いとも思わなかった。駄目人間が集まる場末の客もろくに来ないし、来てもまともな応対も出来ない幹線道路沿いの食堂が、事情は抱えていてもまともな人物の偶然の登場によって変わっていくというだけの話。だが人間関係を織り込んだその描き方には独特の感覚があり、平凡では終わっていない。決して成功物語を描きたいのではなく、冒頭に数多く登場した、見ていてこちらも嫌になるようなぎすぎすした人間関係の変化の様子を描いている。
Calling youの歌詞が言っている。コーヒーマシンも心も修理が必要だけど、変化は近づいていて、優しい解放があるのだ。店を切り盛りするブレンダはやたらと怒鳴るだけで経営者としてはひどいものだし、ジャスミンと旦那との間に何があったのか想像するしかないけれども、彼女たちに訪れた変化が全く彼女たちの表情を柔らかくしている。はっきりしないけれども幸せがゆっくりと近づいてきている予感がした。
ちなみにこの映画におけるバグダッドはカリフォルニア州の砂漠地帯にある地名でもあり、この映画の撮影をした近くの場所である。しかし原題は「Out of Rosenheim」で、バクダッドという名は使われていない。
主人公のジャスミンが最初に空に見る二つの輝く点と、その後の絵にある二つの輝く点はなんだったのだろう。自然現象としては変なものだし何か意味があるようだが、結局意味がわからなかった。
自立した女たち
よかった。夫はどうなった。
白人と黒人の交流。
といっても白人目線の上からガッと行く感じでなくて
お互いに対等な立場でやりあっているのが、とても良い。
自然な発想から出た言葉
「手の中は白いのね」
とか、さらっと言ってしまって素敵です。
♪ 珠玉の名作・名曲がココによみがえる ♪
予告編で耳にした
主題歌「コーリング・ユー」。
映画を観ていないのに
曲とフレーズを聞いた覚えが。
この映画の主題歌だったんですね!
新作はバンバン観ているくせに、
旧作に弱点を持つ小生の弱みが出てしまいました。
映画好きとしては、
旧名作を観ていくのが今後のテーマですね。
劇場は小生の同年代から
やや上の世代までで半分ほどの入り。
早めに着いたので前の回で出てくる人の表情、
声に注意していたのですが、特に女性の表情が明るい。
さらに、受付前にはパンフを求める列ができていました。
当館で、こんな列ができるのは非常に珍しいできごとです。
うれしい予兆に期待を膨らませ上映開始を待ちました
(開始時に映写機にトラブルが起きましたが迅速な対応で大丈夫でした)。
☆彡 ☆彡
そりゃ、みんな笑顔で出てくるよな
ラスト、クライマックスなんて劇中の
カフェのお客さんと一緒に手拍子しちゃいましたもん!
もちろん、他のお客様に迷惑にならないようちっちゃくですけど(苦笑)
序盤は
カフェオーナーのブレンダの行動に
イライラさせられっぱなしでしたが、
終盤は対照的にブレンダとジャスミンの行動に
笑顔で気持ちもリズムもノリノリで、まるで、
本当に自分もバグダッドカフェにいるみたいな
気分で楽しませてもらいました。そのシーンの
雰囲気は『ヘアスプレー』に、少し似ていました。
“終りよければすべてよし”
とは、上手くいったもんで、
中盤から終盤にかけて、劇場に笑い声が
わき上がるシーンも増え、これならみなさん、
後味爽快で気分良く、映画館をあとにすることが出来たでしょう(笑顔)
◇ ◇
《 音楽 》
《 色彩 》
《 ブーメラン 》
〈 「どうして出て行くの?家族同然じゃない」「仲が良すぎるの」 〉
「コーリング・ユー」
やはりこの楽曲抜きには語れません。
オープニング、エンディング、そして
作中でも、実にタイミングよく哀愁漂う
メロディーが映画館を満たしてくれます。
なんなんですかね。
この曲を聴くとうっとりさせられてしまうんですよね。
しかも、色彩。
今回、ディレクターズ・カット版を作るにあたり
オリジナル版とは変えたそうですが、こちらもさらに
うっとり感を倍増させるほど艶やかなんです。心に残ったのは、
合間合間に挿入される全景を引き気味に映した、少し濃い目のピンク色。
ピンク来い!はやくピンク来い!!
身構えて待ち構えている自分がいました(苦笑)
場面もワンカット、ワンカットが非常に美しく芸術的で
あるシーンだけを写真にしてポストカードにしてみたり、
あるシーンを集めて写真集にして出版できるのではないか。そう思わされるほどの美しさ。
“見惚れてしまう”
美しい女性に対してだけかと思っていましたが、
まさか、映画のシーンに対し、そのような感覚が
呼び覚まされるなんて、まったく想像もしていませんでした。
先に記したピンク色だけでなく、
ただブーメランが飛んでいるだけ。
文章にすると、たったの一行なのに
ブーメラン一個だけで、実に様々な表現方法が
あるのだと、改めて映画の奥深さに、気づかされました。
スクリーン表面上では
ヒッチハイカー、ブレンダの娘、ジャスミンが
親交を深めているだけにすぎませんが、前後の
シーンの繋がりを観るに、ブーメランが遠くに飛んでいき、
やがては元に戻ってくる姿に「あなたがみんなに提供した幸せは、
必ず提供者のもとへと帰ってくる」そんな人生における教訓のようにもとれました。
終盤、
全員が幸せに満ち満ちているのに
上記の心に残ったセリフが、まるで異質なものとして登場。
単に監督がベタベタのハッピーエンドにしたくなかっただけなのか、
それとも、ジャスミンの登場により自分の居場所がなくなったように
感じたのか、そこは監督に直接聞いてみなければわかりません(苦笑)
余韻を残す
ラストの幕引きもGood。
あそこで終われば、あとは、
お客さんの趣向で好きなように、
ストーリーの続きを広げられますからね(笑顔)
☆彡 ☆彡
スクリーンの外に出ると、
小生の上映回でも受付に
パンフを求める列ができていました。
小生は、
幸せに満ち溢れた心とは裏腹に、
懐具合が寒々しく、列がひいたあと
パンフのサンプルを立ち読みしてしまいました。
後日、パンフを購入しようかなと思っていますので、
もちろんA+満点をつけさせていただきます(満面の笑顔)
人生をたのしむ「コツ」を教えてくれる映画♪
主題歌「コーリングユー」があまりに有名なこの映画。
パートナーを失ったふたりの中年女性の、
それぞれの人生の物語。
同じような状況下におかれていても、
人生をたのしむ「コツ」を知っているかいないかで、
こんなにも違ってくるんだ、そうだよなぁと思わされます
どんなときも、嘆くより楽しむ工夫をしていたいもの。
そんな気持ちを忘れてしまいそうな時にはおすすめ★
若干、抽象的?と思わせるシーンがいくつかあって、
個人的な好みとしては、そこがもう少し繋がっていてほしかったです。
残酷さや派手さではなく
上手に観客の心を揺さぶりながらの見せ方はよくできているなぁ、と思いました。
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