「ごった煮パラダイスへ、ようこそ!!」私の優しくない先輩 ダックス奮闘{ふんとう}さんの映画レビュー(感想・評価)
ごった煮パラダイスへ、ようこそ!!
主にアニメ作品の分野で活躍してきた山本寛監督が、人気急上昇中の女優、川島海荷と、お笑いコンビ「はんにゃ」の金田哲を主演に迎えて描く、何でもありの直球青春物語。
初めて、目の前におもちゃを差し出された子供の気分・・といえば、分かりやすいか。使い方は、分からない。遊び方は、分からない。それでも、好奇心の趣くままに与えられたおもちゃをぶん回す。そんな雰囲気で、この作品は作られている。
アニメにミュージカル、ダンスに回転。とにかく「楽しい」「奇妙」「珍しい」をキーワードに集められた素材をごった煮のように分量無視で混ぜ合わせ、その化学反応を楽しむ。
熟考に熟考を重ね、一ミリ足りとも余分を許さない厳格な演出を持ち込んだ映画作品もあれば、こんな滅茶苦茶な、その場の勢いで突っ走る映画だって、あって良い。本作で声高に叫ばれているのは、「意味不明」「理解できない」を決して良しとしない現代の風潮を笑い飛ばすことの愉快さ、生きる事を純粋に楽しむ難しさと、気持ち良さだ。
川島の奇跡的な美しさ、危うさ、魅力を前面に打ち出し、上映当時人気絶頂にあった金田の人気に寄り掛からない絶妙なる甘酸っぱさに心が躍る。素材がよければ、どんなに無茶しても画になることを、良く分かった作り方だ。
作り手がのめりこみ過ぎて、画面の異常な揺れ方に酔いを覚える方もいらっしゃるかもしれないが、まあそれもご愛嬌。大目に見てやって欲しい。
きびしい毎日に疲れて、明日が暗く思える貴方。本作を思う存分味わって、気分爽快の意味を身体で感じて欲しい。
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