劇場公開日 2010年5月22日

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「悲しくて、怖くて、愛しい。そしてお下品。」パーマネント野ばら ちはれさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0悲しくて、怖くて、愛しい。そしてお下品。

2012年1月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

笑える

育ちは横浜、暮らしは京都。利便性と人混みに囲まれて生きてきた私は、「田舎」というものがさっぱり分からない。大学で田舎から出てきた友人の話を聞けば、「コンビニの種類がない」だとか「1時間かけて山を下りて学校に通っていた」だとか、驚かされることばかりである。しかし、その話をする彼女たちの口調はどこか愛情を含んでいて、恋人の文句を言っていても何だかんだでノロケ話をしている、恋人の話をする女によく似ている。

映画「パーマネント野ばら」は、実にリアルな「田舎くささ」を感じることができる作品であった。ダサくて、下品で、あたたかくて・・・そんな世界観を作る映像には、都会育ちの私さえ懐かしさを覚えてしまう。

この映画を端的に言えば、「ホラー映画」だ。世界観や演技のリアルさの上に成り立つ人の心が作り出すホラー。爽やかな広告からは想像しがたいが、監督が吉田大八、主演が菅野美穂の時点で「何もない」はずがないのだ(鑑賞するまで原作者西原理恵子の自伝映画だと勘違いしていた私が言えたクチではないのだけど・・・苦笑)。この「ホラー」を成り立たせるために作り込まれている「リアルな世界観」が、さすがだなぁと感心してしまう。全員パンチパーマのおばちゃん達の会話や、見ていて恥ずかしくなるような菅野美穂と恋人役江口洋介のからみもすごくリアル。あぁこういうことするする・・・と見てて本当に恥ずかしくなった。

私の評価は☆3つ。
配役も映像も良かったけど、期待しすぎたかな。同監督の前作品「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」ほどの新しさもなく、全体的に及第点。良かったけど、特別すばらしくもなかった。
しかし、「腑抜けども・・・」がスカッ爽快に終わるのに対し、「パーマネント野ばら」はじわじわくる。また見たくなる。そういう意味では、見る度に評価が上がっていく作品なのかもしれない、と感じた。

あと、音楽がすごく良かった!福原まりさん、要チェックだなぁ。

ちはれ