劇場公開日 2010年5月22日

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「パンチが効いてる、けど優しさも溢れてる」パーマネント野ばら スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5パンチが効いてる、けど優しさも溢れてる

2016年3月3日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

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正直終盤に差し掛かるまではちょっと微妙かなと思いながら見ていたのですが、菅野美穂が演じた主人公なおこのとある秘密が明かされてからは様相一変、今まで見ていた景色がガラリと変わる演出には、思いっ切りしてやられました!
ずっと違和感は感じていたんですよね、何か微妙に変だなって。
しかしなおこの秘密がアレならば、それまでの違和感もなるほど納得、全てのエピソードや台詞が、最後は見事に集約って感じでしたね、お見事でした。
さすがは吉田大八監督ですね、途中まではやらかしたかなと思ったけど・・・。

それにしても、作品の舞台となった寂れた港町(高知県なのかな)の女性達のパワフルさと言ったらもう・・・引くぐらい凄かったですね(苦笑)
特に美容室パーマネント野ばらの常連のオバちゃん達の会話が、ほぼ下ネタと言うのがまた何とも・・・。
トンデモ女性ばかりが住む田舎町、主人公のなおこは内心では毛嫌いしていましたが、それは見ている側も思わず納得でした。
でも秘密が明かされた最後には、町の印象は全然違ったものに変わってましたね。

なおこの親友2人も、おばちゃん達以上に個性的でパワフルでした。
小池栄子が演じた男勝りなみっちゃん、池脇千鶴が演じた強烈に男運の無いともちゃん、2人の生き様は笑っちゃうぐらい悲惨なものでしたが、それでも恋する乙女心には・・・自分に正直に生きている姿には、妙に清々しい気持ちにさせられました。
どんな恋でも無いよりマシ、最初は見ていて痛々しかったけど、終わってみれば格言だなぁ~と、しみじみ。

一方のバツイチ子持ちのなおこは、江口洋介が演じたイケメン教師カシマとラブラブな模様、でもどこか違和感、そして2人の恋の結末は・・・。
江口洋介が、今回はいつにも増してカッコいいなと思いながら見てましたが、そう言う演出にしたのも、結末を見れば思わず納得でした。
全て分かった上で優しく見守る夏木マリが演じた母親がまたいい味出してましたね、そして菅野美穂の受けの演技も本当に素晴らしかったです。
切なさたっぷり、でも優しさもたっぷりな良作映画でした。

スペランカー