劇場公開日 2009年10月24日

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「邦題に100点」きみがぼくを見つけた日 asicaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5邦題に100点

2023年10月3日
iPhoneアプリから投稿

「タイムトラベラーの妻」
日本語にするとぶっきらぼうに聞こえるのかそれともそんなものなのか。
「きみがぼくを見つけた日」って付けた人は上手いなあと原題を見た途端に思った。

しかも「きみ」も「ぼく」もひらがな。
それは彼女がまだ幼い頃だったとわかる。

それがタイムトラベラー物だというのだから 面白そうだと思うに決まってた。

内容は、これはもっと原作は科学に重点の置かれた(海外SF特有の)作品だったろう事は、この彼の 病(!?)を研究し治療しようとしている医師が出てくる事でわかる。
本当はどうか知らないけれど。

時間軸は彼女の側の人生で見ていく。

ただ 私たち日本人(私だけか?)には彼が若いとか老けてるとかあんまり いや ほとんど わからないのが困る。

突然 生身の姿 お金も携帯も身分証もそして洋服や下着さえ持って行けずに時空や場所を行き来 させられてしまう。
突然に。

六歳からだというそれが、思春期は如何に過ごしたかは全く描かれない。
母親が事故死し、その場にいたにも関わらず自分は違う場所の違う時間に行く。
テレポーテーションと言えばいいのか。

学校にいて 突然に服だけをおいて教室から姿を消すって
そういう暮らしが 自分のコントロールの出来ない状態で起こるならそれはもう 全く 病気に違いない。

とそこで 彼の職業はなんだろうか?
という疑問。
料理人?
でもどこかに勤めるとか、自分でお店やったりとか
無理なんだから。

ロトで 暮らしてるとか?
まあ 好きな時空にいられないので簡単とも言えないだろうけれど。

最初は彼に会えた喜びで夢中になる彼女。
勢いで結ばれ結婚するのだけれど、クリスマスもニューイヤーも 帰って来る事が出来ない夫を待つ妻。

ここが全く タイムトラベラーの妻 そのものである。
ある時突然 前触れもなく忽然と消える。
いつ戻って来るのか、戻って来る事が出来るのかさえ わからなくなり不安になるだろう。
目の前にいなければなおさら、それをぶつける相手もそこにはいない。

更にそれが顕著になるのが lost baby.
たぶん 何人も何回も流れてしまった嬰児。
はて?それらの子はどこへ?

母親になる事を心から願うも もう叶わないと 喧嘩する二人を見つめる少女。
そこで 我々視聴者は 娘が生まれてる!と希望を胸にする。
だが彼は手術をしてしまうわけで いったいどうなるんだ?

だが そう。
彼。彼は手術前の体で彼女の前に現れる事が出来るのだ。
浮気じゃないわよね。
ないでしょうね。

そして 彼よりも更に上級者のテレポーテーションガールとなって成長するのだ。

彼がこの不自由な病気のせいで、心を残すような人は作るまいと思いながら生きて来たのはたぶん 成長期に起こった様々な出来事(事件)によるものである事がわかるが
彼女に出会った途端にそんな矜持は弾け飛ぶ。

いったい いつ どんな状況で
自分は自分の意思とは無関係に煙以上に消えてしまう
儚さなんて言葉は甘い!と言い切れる程の過酷な人生。
その辛さがわかっているからこそ 彼は遺伝性と思われるその性質を受け継ぐ我が子を望まないのだ。

このように 考えると この映画作品は 非常に 不完全であるのかもしれない。

遺伝だと言うなら 彼の前世代にもそれが現れているはず。
父は?母は? 祖父? 祖母?

そして子に受け継がれたこのストーリーは
連続ドラマにするしかないのかな。

asica