海角七号 君想う、国境の南のレビュー・感想・評価
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ビンランを咥えて、台湾の人になった気でいた。
僕が初めて行った外国が台湾だった。夏に行ったので、物凄く暑かった。それでも、不快な暑さには程遠く、日本にはない匂いが漂っていた。
ビンランを咥えて、台湾の人になった気でいた。その後、海外へは色々な所へ行ったが、阿里山の頂上から見たゆい山(ニイタカヤマ)の姿と合わせて、忘れられる外国ではない。
映画の内容は兎も角、中孝介さんのファンで、コンサートへも一回だけ行っている。多分、最後の標題曲も彼の作曲だと思う。
『セディックバレ』の監督、故に台湾と琉球と日本の関係には、ナーバスにならねばならない部分がある事を、この演出家が知らない訳が無いと思っている。だから、ここで語られるストーリーはファンタジーな寓話だと思う事にして、この作品を評価したい。
追記
岩井俊二監督をリスペクトしているとは思う。
追追記
台南でいただいた台南担仔麺が忘れられない。酒は明洞でいただいたトンドン酒だけれど、お酒は止めなければならない羽目になってしまった。
また、一歩『PLAN75』に近づく。若者の負担にならぬ様にこの世から『おさらば』しなけりゃならぬのか?
『やなこった!』火星や月に行けなくとも、世界には行きたい所がまだ沢山ある。少なくとも、良い日本映画よりは沢山ある。死んでたまるか!
【黑電影】海角七號。(2020)
留下來,或者我跟妳走。 沒錯啊、大家都跟著魏導走了,這一走,就走了十二年至今,當年初次在電影院裡看到這部電影的我,從未想過其背後原來藏著更遠大的理想與夢想,不但是「賽德克.巴萊」的驍勇、不僅是「KANO」的熱血、也不純是「52Hz I Love You」的翩翩飛舞,而是今年正式啟動的「豐盛之城」。 回到二零零八年八月的電影院,「海角七號」(Cape No. 7)就這樣開始攢入我的心中。 那年之後,電視台播了不知幾次的「海角七號」,每每都能讓我停下腳步看一小段,但說真的,我從頭到尾看完這部電影的次數不超過五次,以我對這部電影的喜愛,次數是少了;但以我向來極少重複看同一部電影的習慣,這又多了。 更別說,這是唯一一部讓我寫下第三次分享的電影。 我喜歡把初次看電影的感觸留在記憶裡,因此,即便喜歡的電影也少有重看的時候,「海角七號」是很闖越我所謂堅持的電影,可以說是唯一,然而,八月底在Youtube上的首次網路全片首播,我雖沒法重頭到尾以視覺觀賞的方式看完,卻用聽的,聽過了大半部電影,意外的是,居然從聽覺裡得到截然不同的感受。 不得不說,「海角七號」的電影配樂實在很美,美到會讓我忘記那是一段交錯的時代。 然而,過了十二年的現在再次重新聽完與看完這部電影,我發覺自己並不是喜歡劇中的人物情感、而是喜歡電影架構的氛圍,在那想像中與被影響中的南國浪漫底下,彷彿跟著體驗過那段匆促又慌亂的演唱會熱場;我不是崇拜魏導、而是欣賞在那個時間點堅持拍出這作品的他,或許部分生長在台灣的人無法面對曾被日本統治的歷史,同時也有一部分人懷念那個時期,而且,我們都能在長輩身上卻又清楚看見時代留下的痕跡,文化與憧憬的痕跡,我才真正感受到,一部電影可以如何穿越時空給予不同時期的自己多麼不同的震撼。 「海角七號」不是完美,劇情銜接上有很多如今來看不明所以的斷點,其所架構出來的氣氛,卻相當符合回憶似水年華的感觸,連每個鮮明生動的人物也漸漸融入成只是這部電影的一部分,而不是某個特別的明星,我這樣感覺可說是錯覺、當然也不見得美好,但電影累積出來的能量,確實教我窺見這塊土地的美麗與哀愁。 「海角七號」就像個開關,撬開台灣人對南國的想望。 尤其是我這個北部人。 我對恆春與墾丁不算不熟,二零零八年那時,劇組在恆春刻苦拍片的那時,也曾入住當時家裡在恆春購置套房的小社區,就那麼巧,只是這事過了幾年我才知曉;在那之前,因為家裡有個小套房,偶爾偶爾會到南台灣走走,當時的我,以為墾丁就是台灣尾端的那一部分。 殊不知墾丁只是恆春鎮的一個里,而我以為的最南端,其實是鵝鑾鼻。 我理解魏導想說的並不侷限在北部人感受上,他說的是歷史走過的脈絡,台日文化與人情複雜且密集交會的那個年代,我們沒法躬逢其盛,透過電影鋪下的劇情,似乎也一點一滴收納了整片土地乃至角落小處的迴盪,海角七番地所代表的意義,不僅是票房上的成功、不僅是開啟台灣新電影的契機,更重要的是,幫助我理解了原來那就是台灣電影拿手的小清新,而這份小清新,其實蘊含大大的能量。 我不是說電影裡的大大,愛到不怕死。 而是,台灣電影第一次的或者我跟妳走。 魏導確實在這部電影裡寫下許多經典名句,在Youtube播映那晚,許多網友都在每段名句出現之前搶先敲出,那種互相喜歡與同享的樂趣,我是第一次體驗,或許這會是將來電影重新放映的又一次新浪朝吧? 「海角七號」早就是國片的里程碑,更是長達十二年的國片票房冠軍,短期內恐怕還不會有其他國片能夠打破紀錄,魏導帶給觀眾的,或如他所說,這部是自己寫劇本都會被感動的作品,所以能吸引同類人的支持,這樣說是比較謙虛了,在我看來,「海角七號」的成功除了有當年的時空背景,更多的,是從未改變的純樸人心。
台湾人ですが方言盛り放題の台湾人向け映画
台湾人の友好的な対日感情が伺える映画の一つです。北京語よりも台湾語たくさん使われたので台湾人にとって知る人ぞ知るぞぐらいすごくヒットでした。台湾と日本の戦前戦後を超えたラブストーリー、中国人によると公開禁止の映画です。まぁ植民美化といわれる本作ですが、同じ監督の次作は台湾原住民による抗日映画だったですけどね。
ダブルのは歴史か現実か
台湾の南の街恒春での出来事。とても面白く拝見しました。最初はバラバラな感じの人物たちが纏まって行く感じ。特にラストのライブで最高潮に達するのがとてもとても良いと思いました。 日本語の手紙を読みながらストーリーが展開するのですが、登場人物たちが自分勝手な生活感を出しながら時にはコミカルにあるいは南国流なのかいい加減に生きている姿が手紙の淡々とした流れに不思議にマッチしていると思います。議長、爺さん、小学生、警察官、修理工など個性的だけど台湾のどこかにいそうな人物たちも光ります。 又主人公の阿嘉の郵便配達のひねくれたいい加減さや真面目だがイライラしているバイリンガル日本人友子。この二人の出会いが一見不自然なようですが、手紙つまり大きな流れを媒介して化学反応するのも納得です。 結局国と国との関係は不自然ですが、台湾と日本の関係、特に人と人との関係は自然で力強いと感じました。
南国的でユルい映画だが心に残る
今となっては個人的ベスト映画の一つで,リバイバルのたびに観に行っている. 演出は南国的でユルいが,台湾のひとが日本(とちょっとだけ大陸)に対して抱いている複雑な感情が見て取れる.恋愛映画としても直球過ぎるきらいはあるが悪くない.
時空を超えて。
DVDで鑑賞していましたが、スクリーンで再会。 友子と阿嘉が惹かれ合う軌跡が、私にはイマイチ良く分からなかった(少しひっかかる)のですが、登場する人達のキャラがとても良くて。 ラストのカタルシス、ライブシーン(特に國境之南、野玫瑰)かなり好きです。
「野ばら」の歌声、タンバリンのオジさん
予告編で気になったレトロ調な映像、「野ばら」の歌声、それにも増してタンバリン振ってる面白そうなオジさん。でも台湾の歴史も今の姿も知らないしと二の足を踏んでたんですが。 観て良かったです。ごちゃごちゃしてて勢いがあって、楽しくて切なくて。60年前の追憶が全体の色調を調えてくれていて。いい映画でした。 ミュージシャンのファン・イーチェン主演、彼や中孝介の歌声、素晴らしかったです。でも、情けない顔でタンバリン振ってたボーじいさん、彼も主役級でしたよ。やっぱりね。 台湾語を母国語に日本語、中国語の時代を生き抜いて、飄々と自分の音楽をやってきたボーじいさんの野望…。かなりカッコいいです。拍手!です。 知子役の田中千絵もがんばってました。中国語の合間に日本語でボヤいてるの、そこだけすごーく理解できておかしかったです。外国語の中で聞こえる母国語の愛おしさ、何度も感じました。
2010年に見た映画ではダントツでした
とにかくすばらしい。 日常的な舞台設定。 ここち良い展開。 無駄のない複線。 変に大作感は映画にはいらないんです。 これまでの台湾映画のイメージが変わりました。 もっとがんばれ日本映画!! 抜かれるぞ。
起承転結が整ったいい映画です
ざっくり言えば、主要人物一人一人が少しずつの不運や不幸せを抱えているけれど最終的にみんな小さいながら幸運や幸せを手に入れる、というお話です。 田中千絵や中孝介の演技や、台湾の俳優の日本語の台詞に疑問符が多少つくかもしれませんが、脚本がいい。ところどころくすりと笑える処もあり、上映後ほんわかと心が温まる映画でした。
海角七号 君想う、国境の南
台湾で大ヒットして1年半、やっと日本で観ることができました。 私の場合、中孝介の「それぞれに」をYouTubeで視聴して、初めてこの映画 の存在を知り、上映の日を心待ちにしてました。 映画の内容は、ストーリーが多少強引な所もあるかもしれませんが、台湾のミュージシャンを多数出演している所からでしょうが、劇中音楽や最後のコンサートの場面、そして中孝介を登用しての「それぞれに」「野ばら」の場面等、音楽が映画に違和感なくあっていて良かったと思います。 各出演者の個性の多様性が、現代台湾を象徴していて、すばらしい音楽とも相まって、この映画が台湾で大ヒットになったのではと思います。日本で観る場合、少し、現代台湾での背景を知っていれば、楽しめる映画だと思います。
見るとといい映画
公開初日に見てきました。最初のどたばたからどうつながっていくのかと思っていたら最後のコンサートシーンの盛り上がりで泣かせる。 ノスタルジーを強調している予告編が流れているが、あまり本編の展開と関係はない。年配の人がそれを期待してもはずれかも! 此れもありかなと思う反面、台湾の現代若者にとって昔の日本への知識はかなり希薄なのだと感じさせられた。台湾人の監督の演出のためか、友子役の田中さんの日本語がちょっと不自然、語り口調で話すべきところが文面を読むような表現だったり、アガの自宅に夜中にやってきて、靴で家の窓をわって怒りをぶつけるシーンはあまり考えにくい。窓ガラスを割るにも日本人の心情的にはもっと葛藤が表現されていいのではないかと思う。話し方も、甲高く不自然、田中さんはいい演技をしているので田中さんの部分のアフレコをやり直せば日本人が見てとてもよい作品になるのではないかと思う。日本女性はカリカリ怒りっぽいというイメージもいた抱けない。文頭に書いたが、ノスタルジーを期待してもだめ、60年前と現代との因縁めいたものはせいぜい、60年前の台湾少女と現代生意気日本女性の名前が「友子」で共通することくらいである。 宿泊先のホテルのメイドの祖母が60年前の台湾少女であったと言うことがわかるのだが、伏線が無く唐突な感じがする。現実とはそんなものかもと思うが。いいテーマなので日本と台湾でリメイクしても良いかも?。中さんの演技は、「素」な感じでよかった。
1年間。ずっとこの日が来るのを待ち焦がれていた
約1年間 この日が来るのを ずっと待ち焦がれていました。 ①2008年アジア海洋映画祭イン幕張で見逃す(泣) ②“逃した魚は大きいぞ!” その後、台湾で社会現象化するほど記録的大ヒット。 最終興行収入は、台湾映画史上2位を記録。どんだけスゴイかと言うと 1位は『タイタニック』だけで、『ロード・オブ・ザ・リング』とか『ハリポタ』の シリーズなどを上回ってしまったこと。更に付け加えておくと、2005年の 台湾映画マーケットシェアの95%がハリウッド作品なんです。この作品が 公開された2008年、台湾内製作作品に明るい光は見えてきていたようですが、 それでもマーケットに劇的な変化はなかったでしょう。つまり、ほとんど注目されない シェア5%の中から、台湾映画史上2位を記録するなんて、まさに“奇跡”なんです!! 当然のことながら公開初日2回目にダッシュで駆けつけました。 上映館のシネスイッチ銀座。 1回目、行列が道路にはみ出しているのをチェック。 2回目、行列が道路にない。なんと、道路に並ばすのは危険と 劇場側が判断したのか、もうヒトツのスクリーンがある3階に並ばせていました (注意:この映画館は、シネコンのような指定席でなければ、ミニシアターのように 整理番号順でもないため、徹夜組さながらに早めに来て並ぶしかないのです) 2回目の先頭集団にいた人は、 1時間以上も前からならんでいたそうで、 当然、1回目も2回目も、立見が出る盛況。 それには、先に書いた話題性だけでなく、 公開初日・2日目、全部の上映回で舞台挨拶開催と、気合の入りかたが半端じゃない。 チケット半券を係員に切ってもらうや否や、 自由席ですから、座席を求めて、猛ダッシュ。 前から2列目、中央よりを無事にゲット!! まずは、上映開始前の舞台挨拶スタート。 主演の、田中千絵さん。感極まって涙ぐむ場面もありました。 私の回はメディアが入っておらず、次の回にマスコミ取材が入っていました。 「(次の回で、同じように泣いてこそ女優だぞ)」と思っていたのですが、 翌日のWEB上には、感極まっていた、と記事が載っていたので無事に泣けたようです(苦笑) ☆彡 ☆彡 なるほどね こういう作品だったんですね(フムム) ウェイ・ダーション監督。 ・台湾と日本の人に観てもらいたいと思い作った ・新聞に載っていた記事がラブレターだったらロマンチック ・一番作りたい作品(現在製作中)に誰も資金を出してくれない だったら、自分が“商業映画”を作れることを証明してやる、と今作を製作した 待ち焦がれていた作品ですので、 他にもありとあらゆる情報を仕入れて鑑賞をし、 上映終了後に頭に浮かんだ感想が、冒頭の2行。 実は、ちょっと複雑な気分でした。 それは、“日本のテレビ映画”に、 ストーリーの運び方、音楽が似ている気がしたからなんです。 日本の映画関係者って “テレビ映画”って、今上映されている作品だと 『のだめカンタービレ』とかを、見下すと言ったら言い過ぎかもしれませんが、 小バカにする傾向があるじゃないですか。でも興行成績を見れば、例えば、 2009年の1位は『Rookies-卒業』ですよね。バカにしてはいますが、 お客さんが一番観たい作品は、テレビ映画だって、ことになりますよね。 “商業映画” あえて括ったのは訳がありまして 台湾製作映画って、“芸術性=アート性”作品によりすぎて、現地の人に 敬遠されていた面があったんです。現在それを見直す機運が高まっており、 “商業性=現地の人に受け入れてもらう”に非常に気を使い始めているんです。 とは、いいつつも、『台北に舞う雪』は未見ですが、直近の『お父さん、元気?』とか 『ヤンヤン』とか、『九月に降る風』とかって、アート性=わかりにくさが残っているんです。 おそらく、どこかに映画人としてのプライドが残っているからだと思うのですが、 今作、そのプライドを完全に取っ払ってしまっている、かなぐり捨てているように感じたんです。 BGMには、ラストのコンサートシーン以外では、日本のドラマっぽさを感じましたし、 ストーリーのラストの演出には「さぁ、ここが感動所だよ」韓流映画のクライマックステイストを 色濃く感じさせられました。次回作には、韓国スタッフ・日本スタッフにお願いする部分があると コメントを残しているくらいですから、韓国・日本の作品を、相当嗜んでいるような気がします。 監督自身が表現したいことを入れつつも、 台湾のお客さんがもっとも望んでいるシナリオにする。 台湾内でのセールスプロモーションも、これまでの台湾映画にない 型破りな方法だったそうですが、シナリオについても、もしかしたら 台湾内のヒット作の分析にとどまらず、事前にマーケティングもしたのではないでしょうか。 ですので、日本で公開する映画館も、 シネスイッチ銀座のようなアート系の聖地ではなく、 本当なら、メジャーなシネコンで上映すべきだとおもうんです。 そこで『のだめカンタービレ』とか『ワンピース』とか 観に来たけど満席だから、これでも観てみる?とフラッと 立寄ってもらって「期待してなかったけどよかったじゃん」と クチコミで評判を広げてもらうべき作品じゃないかと。 現在の上映館を主に訪れるお客様の趣向とマッチしていない。 イコール、評判は落ちてしまいますよね。順次全国公開されていくのが 決定していますが、その辺りを配慮してもらえれば、今作の評判だけでなく 日本国内における、台湾映画のポジションも上がってくる気がします(笑顔) ☆彡 ☆彡 日本人お二人の演技は、正直イマイチ。 台湾語・北京語・日本語が入り混じりますが、 同じく日本語を含めた複数の言語が入り混じる 『新宿インシデント』の完成度の高さと比べると・・・って感じでした。 最大の驚きと疑問は、7通の手紙の日本語。 脚本のクレジットには、ウェイ・ダーション監督の名前が 出ていましたが、日本人じゃないと書けないだろうと思われる表現もあります。 上映終了後のお客様には明るい表情が目立ちました。 作中のセリフにならい「私の中国語も、あんな風に思われてたのかなぁ」なんて、 そこに喰いつくんだ、なんて突っ込みたくなる感想を笑いながら話していた人も(苦笑) これだけ熱く語ったのですから、 私の中での衝撃度はA+ではとても足りませんが、 あくまで、作品単体での評価をつけるとA-です。 現在製作中の作品は、 今作の大ヒットを受けて資金提供は増えたものの、 足りず、監督が自腹を切るなんて話も耳にしています。 最新作も、楽しみにしています(笑顔)
等身大の登場人物が魅力的
バイクに荷物を積みバイクに跨ったとたんに、肩にかけたギターが落ちる。 拾い上げたギターを叩き壊し、「台北なんか嫌いだ!」と叫ぶ。 夢破れた主人公の阿嘉。 しかし、想い、悩み、迷い、苦しんでいるのは彼だけではなかった。 悩みや迷いは万国共通。 それぞれの思いが、どこか皆、共感を覚えます。 それぞれのキャラクターがみな微笑ましく思えるのはそのせいでしょう。 挿入歌もとても効果的で 特に茂さんの月琴で歌う『野ばら』は、印象的でした。 范逸臣と中孝介。歌手の起用のより、その歌唱力も確かなもので、感動を呼びました。 実際に、映画の中で結成されたバンドのライブを、生で聞いてみたくなりました。
台湾最南端の素朴な風景と人々には「野ばら」がよく似合う
この作品、台湾で大ヒットしたらしいが、前半、バックの音楽が大きすぎたり、安直に人間関係が出来上がってみたりと、演出の雑さが目について、意外にもデキの悪い映画を見させられているのかと最初は思っていたのだが、無理やりに地元の人間ばかりを集めた即席ロックバンドを結成するあたりから、物語の面白さと台湾の田舎町に暮らす人々の素朴さに惹き込まれていった。 この作品の物語の核になるのは、大戦直後に台湾から日本へと強制的に送還された男が、台湾の娘に残したラブレターの文面だ。愛する人を残して海を渡らなければならない男が、胸が締め付けられる思いで切々と綴られたラブレターには、彼らにとって忘れられない思い出と悔恨の情があふれでている。それが現代に生きる若者たちや中年、老人たちの生き様に投影されていくのが、この映画の大きな見どころだ。 そのラブレターに心うたれた、挫折を経験した台湾の若者と日本人の女性が、どのようにして心を通わすようになるのか。ややご都合主義が鼻につく脚本なのだが、ドタバタとしたバンドの連中たちとその二人とのコミカルな関係もあって、切ないラブ・ロマンスが面白おかしく演出されているところが、台湾で大ヒットした要因ではないかと思う。さて、果たして日本では受けるのか、どうか...。 あくまでも私個人の印象なのだが、この作品、若い人よりもシニア世代のほうが受けはいいと思う。シニアに向かって宣伝すれば、台湾ほどではなくとも、案外ヒットするかもしれない。 シニア世代に受けると思う理由のひとつは、ときおり唐突に出てくる、日本語で歌われるシューベルト原曲の「野ばら」が、台湾の自然や風土にあまりにピタリと合っていることだ。「野ばら」がスクリーンから聞こえてくるとき、台湾南端の風景や人々の雰囲気が、昔懐かしい日本の原風景のように見えてくる。それは若い人には感じられないことと思う。大戦中、台湾が日本の占領下にあったことを少しだけでも知っていれば、若い人でもこの作品の心が理解できるかもしれない。
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