今日からヒットマンのレビュー・感想・評価
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ヒットマン < サラリーマン
空前のお笑いブームだ。若手芸人の中には、女性ファンからアイドル的な扱いをされている者が多くいる。今、モテる男は「カッコいい人」ではなく、「カッコよくて、面白い人」。“2枚目”という言葉が死語になりつつある昨今、映画の主人公も「カッコ悪いけどカッコいい」のがイケてる時代だ。
平凡なサラリーマンが、ある日突然ありえないトラブルに巻き込まれ、カッコ悪さを前面に押し出しながら、自力でトラブルを解決していく姿が、カッコいい(演じる武田のイケメンぶりが最大の条件だ)。さて、この主人公、口八丁の営業マンとしてはかなりデキる男なのだが、仕事以外では、奥さんの尻に敷かれていたりと、いまいちパっとしない。それなのに、何故か伝説のヒットマンの後を継いで、プロの殺し屋とやりあうハメになってしまう。トラブルに巻き込まれる都度、その心情の独白がナレーション形式で挿入されるのだが、これが何とも情けなくてカッコ悪い。しかし、その心情とは裏腹に、ハッタリをきかせて、プロのヒットマンに成りすまし、危機を脱する姿が、なかなかカッコいいのである。このカッコ悪いカッコよさに、女たちはメロメロになり、男たちは憧れる(はず)だ。ここで重要なアイテムとなるのがインターネット。主人公は接待先の社長の趣味の釣りや、はたまた拳銃の扱い方まで、全てネットで情報収集する。現代のビジネスマンの必須アイテムのインターネットが、裏社会でも役立つことが、ネット社会の闇をそれとなく示唆している。
人気コミックが原作とあって、荒唐無稽なストーリー、怪しいキャラクター(それを演じるアクの強い俳優陣に注目)満載なのだが、本作の主人公はヒットマンではなくあくまでもサラリーマン。自分が殺されそうになっているのに、取引先や上司からの電話には必ず出る仕事人間なのだ。本作はヒットマンが主役ではない、サラリーマンにエールを送る、サラリーマンのための作品だ。
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