孤高のメスのレビュー・感想・評価
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繋がる
とても良かった。開始20分くらい当麻先生の手術で「この映画は間違いない」と思った。
臓器だけでなく人と人とも繋がって行く美しい映画だった。
病院物は手術シーンが苦手で目を背けたくなるのだけど、初めて手術って芸術というかナレーションでもあったけど、他人の臓器と繋がって一つになった時グッと来た。
あと30分長くても良いから当麻先生がどういう人生を送って来たのか見たかった。
だけど、プライベートがなかったから当麻先生の天才ぶりが際立ったのかもしれない。
堤真一始め俳優全員が心揺さぶる演技だった。
僕だったらラストは当麻先生がドアをノックして、振り返った成宮寛貴の顔のアップで終わるかなと思いました。
王道の安定感。
原作を大胆に改変している様で…。
原作は文庫本を3巻まで買っていたが、1巻目を読み終えて「さぁ2巻目…」って時に、どこに行ったのか解らず、結局1巻分しか読んでいない状態。
映画は、ピッツバーグの部分を省略。主人公である当麻の人間性や、地域の医療問題と、大学病院とのしがらみも大幅にカットした事で、上映開始約20分程度で早くも1巻分を終了するハイスピードで展開する。その為、1巻目のハイライトと言える宗教問題を含む手術場面は完全に削除となっている。
一番驚いたのは、映画全編を堤真一演じる天才外科医当麻を慕う、ナース役夏川結衣の日記による回想で展開している事。その事で、医療問題を提示している傍ら普遍的な恋物語になってもいる為に、観客側は彼女目線による肩入れをしてしまう。
その結果として、「先生は嘘つきです…」と言うセリフの場面では、ついつい胸に迫る感情が押し寄せてしまう。
映画としては、時折視線が入れ替わるのが若干違和感を感じはするのですが、この大胆な変換が巧く作用している様に見受けられました。主人公が都はるみの歌を熱愛している設定も面白かったですね。
脇役陣も余貴美子はいつもながらの演技で見せば充分。徳井優や安藤玉恵それに、出番こそ少ないが堀部圭亮等もしっかりと存在感を示す。
逆に悪役としての存在で、活き活きとして描かれる生瀬勝久だが、原作のキャラクター設定では1巻目だけを読んだだけですが、その悪役としてギラギラした存在感は、とても原作には及ばない様に感じた。もっと厭らしい存在感が在る人物像だったのだが…。何だか単なる小物と言った描かれ方だったのが実に残念でした。
医療問題を扱いながらも、1人の女性による恋愛感情を描き、娯楽性にも優れた秀作だと思います。
(2010年6月10日TOHOシネマズ西新井/スクリーン8)
『孤高のメス』
おもしろいんだけど、孤高すぎておかしい。
すごくいい映画で、評価高いのはわかるんですが、当麻先生はちょっと孤高すぎるような気がする。
人間離れしている。
一人だけ高くて、清くて、迷いがない感じ。
もうちょっと迷ってほしかった。
この問題は「ハーバード白熱教室」のテーマになりそうな問題なのに、自分は正しいと信じて疑わないところがおかしいです。
素人考えですが、本人の確認とったのかよ?と言いたくなる。
家族がかってに決めるのもおかしいし、臓器提供を決意した経緯もわからない。
後で後悔しないのか?と一言聞いてほしかった。
それにお金のことにまったくふれていないのもおかしい。
この手術、もちろん健康保険はきかないだろうし、リスクも高く手間もかかるので、莫大な費用がかかるはずなのに、その辺にはまったくふれていない。
臓器を提供する家族である母親が、お金をもらっているのかどうか描かれてないけど、もしもお金をらっているのであれば、かなりおかしなことになる。
それに、市長を優先的に助けていいのかも疑問。
以前、よく募金を集めて海外で移植手術する人がいたけど、その人が助かるってことは、移植してもらえなかったお金のない現地の人が、一人死ぬってことだと思う。
それを考えると、目の前にいたからといって、市長だけを助けるのは疑問。
他の臓器もあること考えると、他にも助けられる人もいたと思うし、その人の方が助ける価値があったのでは?
それに、もし市長が、浦沢直樹さんの書いていた「MONSTER」みたいな人だったら、この手術は人助けどころか大量殺人に近いものになってしまうけど、その可能性は考えないのかな?
もしそうだったら、当麻先生は責任とって市長を殺しに行くのかな?
見ている時はあまり考えなかったけど、見終わったあと、いろいろ疑問が湧いてきた。
その辺をなるべく気づかれないようにして、エンターテイメントにするための孤高キャラなんだろうけど、孤高すぎて何か変。
逆に生瀬さんの演じている、野本先生のような人は現実に見たことがある。
専門用語ばかりの説明で、素人には病名もわからない。
患者は長期の入院の末、死亡。
棺に手を合わせにも来ない。
もしかしたら、この先生に殺されたのでは?と疑いたくなるような人。
当麻先生に現実感がない分、野本先生とのからみが見たかった。(ほんとんどからんでいるシーンはない。)
関係ないけど、現在では技術的にできないのかもしれないけど、脳が死んだのなら、脳の移植という選択肢はないのかな?
この場合は脳を移植されて生き返った人は、いったい誰なのか?という問題が残るけど・・・・。"
人間ドラマと医療現場の問題提起をうまくまとめた
総合:80点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 80
ビジュアル: 75
音楽: 65
医療現場の実態にあるたくさんの問題。医師を確保するための系列構造、病院内での権力争い、患者をたらいまわしにする制度、倫理観に欠ける医師は部下にも患者にも態度が傲慢なだけでなく自分の不正を隠し、その中で臓器移植という大きな主題まで扱う。そのようなたくさんのことが詰め込まれているのだが、物語の流れの中で滞ることなく自然にそれらを練りこんでいたと思う。一つ一つのことにあまり唐突な感じがしないまま一連の事柄として次々に登場させられていた。
看護婦を通して見た医師の人柄の描き方によって、医師が生き生きと魅力的な存在になった。それと同時にその看護婦もまた、ただ仕事だからしていたものが生甲斐を持って仕事をするようになり、存在感が出てきた。また手術の場面をはっきり映して臓器や患部に手を下していくのは、ただの「医療行為をしている」から、「技術を持った医師が患者のために汗を流している」という雰囲気が直接伝わり良かった。取り出されたぼろぼろの臓器が健康なものに取り替えられ、それに血液が流れ機能していくのは、生命というものを感じさせる。
ただ登場人物は「白い巨塔」同様にあまりにいい人と悪い人がはっきり分かれすぎていると感じる。また法律施行以前の臓器移植にたいしてもっと悩んだり問題に直面する部分を描いて欲しいとは思った。下手すると医師免許を取り上げられて刑務所暮らしになるかもしれず、自分だけでなく周囲の人も巻き込んで多大な迷惑をかけ、さらに手術に失敗すればもっとひどいことが待っているだろう。そのあたりの事情は多少は描かれているものの、ちょっとあっさりしていたように思う。
医療に関して考えされられる作品
医者、もしくは目指す人はこの作品を観るべし!
孤高のメスは崇高のメス
同じ監督の作品「八日目の蝉」から逆行してこの映画を観た。「ミッドナイト・イーグル」も良かったのだから、もっと早く観ておくべきだったと後悔している。「八日目の蝉」の時にも感じた法律の外の善と法律の内の悪。この映画でも、医師の当麻(堤真一)は法律を犯して、生体肝移植を行う。違法ではあるが、人として、また医者として、一人の人間の命を救おうと考えることは決して誤りではないと思う。何故なら実際に人を救えるのは、金や法律ではなく人なのだから。リスクのある事に対して、自分のために“やらない”ことよりも、他人のために“やる”ことを選択することは、気高い選択なのではないか、そしてまたその気高く崇高なメスを周りのスタッフが支える。そして同じ目標を目指す。いやいや良い映画でした。これからの日本映画、成島出監督と園子温監督からはきっと目が離せなくなるのではないだろうか。
孤高のメス
みいってしまった…
堤真一は舞台の方がいい
留学帰りで田舎の市立病院に赴任した医師。
彼は患者のことしか頭にない。
彼を呼んだ市長は彼に惚れこみ、自分の娘と見合いをさせる。
しかし、市長から「これは見合いだ」と言われても、
「どなたとどなたの見合いですか」と言う彼。
医療以外目に入らない。そんな医者いるのかな。
彼はオペ中に演歌をかける。「手術は忍耐強く、
コツコツやらなければならないから、演歌があっている」と言う。
「それに都はるみは日本の宝だ」と。
看護婦に「オペに集中できないからやめてくれ」と言われ、
多数決の結果、オペ中の演歌は禁止となる。
脳死肝移植のとき、演歌禁止を提案した看護婦から
「思う存分どうぞ」と言われ、医師の選んだ曲は都はるみの
あんこ椿は恋の花。
みんなには曲が聞こえていたのだろうか。
おそらくオペに集中して聞こえていなかっただろう。
その歌は音波として体を包みこんでいればよかったのだ。
オペシーンをみるとやっぱり病気はしたくないと思う。
素晴らしい拾い物。
拾い物でした
地方都市の市民病院での現実を衝いた映画でした。
町医者と大学病院との狭間にあって地域医療の現状を巧く現しています。
堤 真一が相変わらず好調です。
でも、手術のときに何故に演歌なのでしょうか。
こぶしがまわったら力が入らないでしょうかね。
回りの人々も理解有る人が多くて安心して観ることが出来ました。
ナースの成長が巧く表現してあります。
人の成長も付き合う人によって、度合いが違うことが良くわかります。
子供は親の鏡と言いわれますが、確かに思える。
人間は近くにいる人に多大な影響を受ける。
一人の大事な子供を亡くす母親役に余貴美子が熱演です。
この人は、何をやらせても巧いですね。
カタツムリの時も良かったですよ。
ラストも最初の伏線から考えさせて、本人の顔を出さずに好い幕切れの印象を受けまた。
本日の試写会は関係者席が多かったですね。
医療関係の人が多く招待されていた感じです。
感動しました
医療制度の現場を描いたベストセラー小説の映画化。看護士をしていた母(夏川結衣)が亡くなり、遺品の日記を息子が読んでいく形で、物語が進行する。
冒頭からとてもリアルな肝臓手術のシーン。順天堂医大肝膵外科が医療監修をしているので、納得。医療現場を描いた映画としては、海堂尊原作の「チームバチスタの栄光」「ジェネラル・ルージュの凱旋」があるが、この映画はまったくタイプが違う。あくまでも真摯に、忠実に描写しているような感じがした。
命を救ってほしいと願う患者の家族、目の前にいる患者の命を救いたいという医師、医師の思いを叶えようとするスタッフ、なくなりかけている息子の命のともしびを誰かにつなぎたいと願う母の思い。それらが交差する大手術は、感動的だった。医療の問題も考えさせられるが、何より感動で胸がいっぱいになった。ラストもいい感じ。
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