「おもしろいんだけど、孤高すぎておかしい。」孤高のメス Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
おもしろいんだけど、孤高すぎておかしい。
すごくいい映画で、評価高いのはわかるんですが、当麻先生はちょっと孤高すぎるような気がする。
人間離れしている。
一人だけ高くて、清くて、迷いがない感じ。
もうちょっと迷ってほしかった。
この問題は「ハーバード白熱教室」のテーマになりそうな問題なのに、自分は正しいと信じて疑わないところがおかしいです。
素人考えですが、本人の確認とったのかよ?と言いたくなる。
家族がかってに決めるのもおかしいし、臓器提供を決意した経緯もわからない。
後で後悔しないのか?と一言聞いてほしかった。
それにお金のことにまったくふれていないのもおかしい。
この手術、もちろん健康保険はきかないだろうし、リスクも高く手間もかかるので、莫大な費用がかかるはずなのに、その辺にはまったくふれていない。
臓器を提供する家族である母親が、お金をもらっているのかどうか描かれてないけど、もしもお金をらっているのであれば、かなりおかしなことになる。
それに、市長を優先的に助けていいのかも疑問。
以前、よく募金を集めて海外で移植手術する人がいたけど、その人が助かるってことは、移植してもらえなかったお金のない現地の人が、一人死ぬってことだと思う。
それを考えると、目の前にいたからといって、市長だけを助けるのは疑問。
他の臓器もあること考えると、他にも助けられる人もいたと思うし、その人の方が助ける価値があったのでは?
それに、もし市長が、浦沢直樹さんの書いていた「MONSTER」みたいな人だったら、この手術は人助けどころか大量殺人に近いものになってしまうけど、その可能性は考えないのかな?
もしそうだったら、当麻先生は責任とって市長を殺しに行くのかな?
見ている時はあまり考えなかったけど、見終わったあと、いろいろ疑問が湧いてきた。
その辺をなるべく気づかれないようにして、エンターテイメントにするための孤高キャラなんだろうけど、孤高すぎて何か変。
逆に生瀬さんの演じている、野本先生のような人は現実に見たことがある。
専門用語ばかりの説明で、素人には病名もわからない。
患者は長期の入院の末、死亡。
棺に手を合わせにも来ない。
もしかしたら、この先生に殺されたのでは?と疑いたくなるような人。
当麻先生に現実感がない分、野本先生とのからみが見たかった。(ほんとんどからんでいるシーンはない。)
関係ないけど、現在では技術的にできないのかもしれないけど、脳が死んだのなら、脳の移植という選択肢はないのかな?
この場合は脳を移植されて生き返った人は、いったい誰なのか?という問題が残るけど・・・・。"