「天命について考えさせられる」孤高のメス harizoさんの映画レビュー(感想・評価)
天命について考えさせられる
「脳死肝移植」
それは、法律ではまだ認められていない医療制度。
助けて欲しいと願う患者と限界に挑む医者。
その助けたいと思う信念が“絶望”を“希望”に
変えていく感動作。
医療問題を丁寧に慎重に描いてただけあって、
内臓の仕組みをありありと描写。
その手術シーンの多さに気合いを感じました。
個人的にはお腹が切られる度にこわばる思いで
力入ちゃって、ちょっと体力消耗。。。
出演者は(堤真一)(夏川結衣)(余貴美子)。
この3人のどっしり、がっつり、しっかりした
確かな演技がとてもスバラシかったです。
(余)さんが脳死の息子の臓器提供を決断する
下りなんかもう、、、うぅ。。。(涙)
さすがアカデミー女優!胸がつまります。
“目の前の患者を助けたいだけ”という思いに
揺るぎがない当麻先生(堤真一)。
彼の真摯な態度に周囲の空気さえ変えてしまう
魅力的なお方。世のお医者さんが皆ああならいいのに。。。
対照的に楽して出世したい嫌な外科医長(生瀬勝久)。
処置に自信がなくて助かる可能性のあった患者を見殺しに
するような嘘つきドクター。
きっとこのような人も現実いなくもないと思うと
患者側としては先生選べないわけだし、
運しだいでは怖いなぁと思う。
※関係ないけど前日見た「トリック」でふざけた
矢部警部見てたせいでギャップがぁ。。。
(どっちもベストは尽くさないタイプだったなぁw)
ウマイねこの人も。
医療問題としては医者も患者も考え方や倫理的にも
いろいろ賛否はあるだろうと思います。
与えられた命の結末をどう納得していくかも人それぞれ
結局は生きている人のエゴだったりするのも否めないです。
この作品では、そんな複雑な思いをどう締めくくるのかと
不安に思ったけど、提供者も収受者も満足&感謝する形で
優しい気持ちで終われたトコが良かったです。
硬派な骨太作品。重いテーマですが見て損はないです。