「問題が複雑すぎて?」キャピタリズム マネーは踊る αさんの映画レビュー(感想・評価)
問題が複雑すぎて?
マイケル・ムーア、なんだかどんどん勢いを失っていく気がする。彼の映画の面白いところは、それがドキュメンタリーとして公平か、良いことか悪いことかは別として、明確な突撃取材の対象となる敵がいて、彼らがマイケル・ムーアのアポなし取材に対して苦い顔をしたり、痛いところをつかれて困った顔をするところにあると思うのだけど、『シッコ』あたりからそういうのがなくなっている気がします。
問題提起の鋭さは変わらないけど、そういうところがなくなると、ただの真面目なドキュメンタリーになってしまう……。『シッコ』を見た時はマイケル・ムーアも丸くなったな、ただ悪者を作って攻撃するだけでなく、被害者側に寄り添う優しさも身につけたのだなと思い、それはそれでよかったのだけど。
今回はウォール街に突撃…といって本当にウォール街に乗り込んでいるけど、ウォール街全体を敵にしても漠然としすぎた感。問題が複雑すぎて、なかなか分かりやすくまとめることは難しいんだろうけど……。切れ味が鈍った刀のような印象。これならアカデミー賞ノミネートされなくても仕方ない。
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