バレンタインデー : 映画評論・批評
2010年2月9日更新
2010年2月12日より丸の内ルーブルほかにてロードショー
短編小説集を読むような、楽しい恋愛群像劇
バレンタインデーに夢中なのは、チョコレート会社に踊らされている日本の女の子だけかと思っていたが、この映画を見る限りアメリカ人もかなり熱い。小学生から70代のおじいさんまで、誰もかもがバレンタインデーに愛を確認しようと躍起になるのだ。その愛のエピソードを人気スターのリレーで見せて、短編小説集を読むような楽しい映画になった。素顔のままの可愛いさが出たジェニファー・ガーナー。ちょっとやりすぎてしまったアン・ハサウェイ。シャーリー・マクレーンもやりすぎだが、劇中で上映される昔の作品の彼女が可愛いので帳消しetc、小さなパートに対する俳優の気分の乗り方をチェックするのも面白い。
エピソードの完成度にはムラがあるが、飛行機の中で座っているだけのジュリア・ロバーツとブラッドリー・クーパーのパートは、意外なオチがついてキリッと締まった。俳優がたくさん集まりすぎて一人割りを食ったのがジェシカ・アルバ。同棲中の恋人からプロポーズされて逃げてしまう役どころだが、その本音が少しも描かれていないのは可哀想だ。愛について考えるというほど深い作品ではないけれど、ほほ笑ましくて、暖かい気持ちになれるのは間違いない。
(森山京子)