「革命家孫文の物語ではない」孫文 100年先を見た男 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
革命家孫文の物語ではない
総合:65点
ストーリー: 65
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 75
音楽: 70
孫文は清廉潔白で志高く正義感の強い不屈な人間だった、少なくともこの映画の中では。中国映画ではよくあるのだけど、有名人物をとにかく欠点のない完璧な人として描きたがる傾向があるし、この映画もそうだった。革命って暗殺の危険に怯え、もっと失敗や困難の重圧や不安に押しつぶされそうになりながら、泥をすするような生活をしつつ進めていくようなものではないかと思う。だがここでは豪華な屋敷で気品あふれる人々によって物語がすすむ。
どうも現実路線を追求した革命を中心に描いた映画ではないようだ。革命の準備の最中に孫文が過ごした日々を、周囲の人々の利益関係や恋愛を絡めながらとにかく綺麗に描いた耽美な雰囲気を持つ作品だった。むしろ革命家の生活の中にひっそりと咲いた儚い恋愛物語が中心なんだろうか。革命家・思想家としての現実の孫文をここではあまり期待してはいけないが、しかし映像の美しさや文学的な雰囲気は好感が持てて、そのような作品として見れば悪くなかった。
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