あの日、欲望の大地でのレビュー・感想・評価
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すごかった
スマホが出ないし変だなと思っていたら時系列の違う物語だ同時に進行していた。それが重なり合った時にはとてもびっくりしたし、なるほど〜と思ったのだが、ちょっとズルな感じもする。
お母さんが、娘に会ってうろたえて逃げてしまう場面は胸が苦しくなった。絶対にやってはいけないことだ。
不倫で焼死も悲惨だし、その火をつけたのが彼女であるのも悲劇極まりない。
母よ、娘よ、あの日の憎しみと過ちと愛を求めて…
連日のリア多忙で、見ながら何度も寝落ち…。
何となく夢うつつで見てそのままスルーしても良かったけど、何か話に惹き付けられ、やっと4~5日かけて鑑賞。
高級レストランのマネージャーの傍ら、行きずりの男と関係を重ねるシルヴィア。
遠く離れた国境沿いの町で、不倫に溺れるジーナ。
その娘、マリアーナ。
シルヴィアの前にとある男と少女が現れた事から、3人の女性の愛や人生、ある罪を背負った過去が交錯する…というもの。
最初は設定や登場人物たちの関係図を把握するのに一苦労。
母娘は別として、シルヴィアとはどんな関係?
別場所同時刻? それとも?
3人の女性の他に、シルヴィアの前に現れた男と少女や、国境沿いの町である事故で父を亡くした少年も。
とにかくこんがらがった。
しかし、やっと見て整理すると、何て事無い、ああ、そういう事か、と。
シルヴィアは、マリアーナなのだ。今は名を変え、暮らしている。
彼女の前に現れた男は、サンティアゴという男の代理。サンティアゴというのは、シルヴィア…つまり、マリアーナが昔関係を持った相手。唯一愛した男と言ってもいい。
一緒に現れた少女は、実は二人の娘。父サンティアゴが事故で意識不明。初めて母に会いに来たのだ。
が、シルヴィアは過去を振り返ろうとしない。
何故なら、ある罪を背負っていた…。
マリアーナの母の不倫相手が、サンティアゴの父。
数奇な運命で子供たちがそういう経緯で知り合い、いつしか惹かれ合う。
ある日マリアーナは母を尾行して、母の不倫現場を目撃する。
母を愛しながらも、激しく嫌悪する。憎悪する。
ほんの悪戯のつもりだった。それが…
マリアーナは、自分の手で母を殺めてしまった…。
マリアーナはサンティアゴに妊娠を告げる。
子供の元を去る。
母を殺めてしまった自分に子供を育てる資格など無い。
しかし再び運命が交錯したかのように、過去と向き合う。
家族が手を差し伸べる。
シルヴィア役のシャーリズ・セロン、母ジーナ役のキム・ベイシンガー、ヌードも辞さぬ熱演。
ベイシンガーはかつてのセクシーな魅力を彷彿させつつ、不倫に苦悩する主婦を体現。
公開時はシャーリズとベイシンガーの2大オスカー女優共演が話題だったろうが、今となっちゃジェニファー・ローレンスのブレイク前の注目作として印象に残る。
複雑な役所を演じ切り、大輪の予感。
そして、このから頃すでに、変わらぬナイスボディ。
彼女はトラウマと向き合う
並行して進んでいると思われた話が、実は過去だったという映画。
要するに、ただの回想なのだが、これは紛れもなく「群像劇」だ。
映画の回想といえば、もっとわかりやすい導入があるはずだ。
なぜ、そういう演出をする必要があったのか。
物語に意外性を持たせるための演出と言ってしまえば元も子もないのだが、僕は別の意図があるように思う。
まるで、同時代に生きているかのように描かれる女性たち。
物語的に言えば、マリアーナが経験する出来事は過去でしかない。
だが少なくとも、画面上では間違いなく「現在」なのである。
つまり、現代のマリアーナ=シルヴィアにとっては、過ぎ去った出来事ではなく、今でもずっと苦しめられ続けている「現在」でしかないのである。
だから彼女は自らの戒めのために、現代まで残る「消えない傷」を付けたのだ。
過ちを忘れないように。過去を過去にしないように。
自分の皮膚を炎で焼いて「あの日」の匂いを忘れないように。
苦しみボロボロになる彼女は、どれだけ情事を重ねようと救われる事はない。
「情事」には忘れたい思い出しかないのだから当然だろう。
苦しみから逃れようと、男と駆け落ちしようとしたり、自殺を試みたり、さらには娘からも目を背ける。
だが、本当の意味で過去と向き合い、過去を過去にして現在へと向き直った彼女には、おそらくこの先、幸福が待っているだろう。
現在と過去を交差させる手法で語られた映画はいくつもあるが、この作品における現在と過去の画面の連なりはとても美しく、素晴らしい。
窓の使い方が抜群に上手い。映画のいたる所で、窓を介した視点が印象的に使われている。
ラストで、目を覚ました「現在」のサンティアゴとマリアーナが会う場面を見せないまま終わっているのが、とても良い。
あそこでもし挨拶でも交わして、はたまた抱擁なんかして映画が終わっていたとしたら、ものすごくがっかりしたかもしれない。
決して「善人」やら「悪人」を作ろうとしていない所に好感を持った。
現在と過去を衝突させた傑作。
母達、娘達
幼かったから、幼稚なことをして母を失った。幼かったから、恐かったから、娘を捨てた。
母の孤独を理解した今と娘の孤独を目にした今。ずっとずっと忘れられず、それでもずっとずっと母と娘。
幼かったあの日があったから、大人になってこの日が来たんだ。あの日は辛かったけど、この日からはきっと逃げださない。
3人の女性が横に繋がっているのかと思いきや、過去と現在の縦に繋がる脚本に一気に引き込まれました。とても素晴らしい作品です。
3人の女
それぞれにいろんな事情があって、いろんな心境があって、突き詰めればこの時間じゃ足りない。
ラストの真実が見える走馬灯が印象的。
最初、ベールに包まれてたのが一気に脱げる感じ。
それでも各人の本心までは分からなくて、人間って分からないなあと思わせる。
脚本が凄い。
あとこの時系列がごっちゃになってても見やすいし、引き込まれるのが凄い
抑制の効いた映像と空気感がいつまでも心に残る
素晴らしい。監督・脚本ギジェルモ・アリアガと主演のキム・ベイシンガー。メキシコも絡み個人的に好きなテーマ。私の心の中にいつまで残る不思議な印象を持つ映画。過去と現在が錯綜して出てくるが、家族と不倫、愛、娘・・辛い面を心に抱えて生きる。
劇場で見たがWOWOWで再度見る。見入ってしまいあっという間であった。私のベスト5に入る映画。
娘の気持ちもわかるが母の気持ちはもっとわかる
旧作が500円で観られる素敵企画at京都シネマ
今回は、あの日、欲望の大地で、を観ました。
前情報はほぼ無し。シャーリーズセロンと若いジェニファーローレンスが観られるということしか知らずに観ました。
現在のシルヴィアのパートと、過去の不倫事件のパートと、農薬散布パイロットとその娘のパートと、不倫事故の後に恋に落ちたふたりのパートとが交錯する構成です。
はじめはわからなかったですが、シルヴィアと、不倫事件の結果、母を失った少女(ジェニファーローレンス)とがどうやら同一人物らしいと読み取れてからは理解が深まりました。
マリアーナが母の浮気を許せない気持ちはよくわかります。許せるわけがないですよね。
でも母の気持ちもわかってしまうのです。
1度目の胸を触られたくないというシーンだけで、彼女の胸には傷があって、おそらく乳ガンだったのだろうと、ある年齢以上の女はわかるでしょう。乳房を失った妻に夫は情熱を失い、受け入れてくれない孤独を焦げ付かせたゆえの不倫ではと、早い時点で察しました。それは当たっていたようでした。
不倫相手が失った乳房を見てなお美しいと言ってくれたことがどれほどうれしいことだっただろうと思います。
子供たちや夫に後ろめたいがどうしようもなくはまる逢瀬…
母のしたことは間違っていますが、正しいことだけをして生きていくことはできなかったのでしょう。
気持ちは母に寄り添いつつ、若いマリアーナにも感情移入しながら見ました。せつなかったです。マリアーナに捨てられた娘やカルロスが良い人だったです。
マリアーナのパパ、やりきれないですね。
妻が不倫相手と死に、娘が不倫相手の息子とできちゃったってね。怒りに任せてサンディエゴを殴ったりせずに泣き崩れる優しい父がせつなかったですが、母にとっては苦々しい。
清濁併せ持つ人間の姿がよく描けていたと思います。みんないい人でみんなダメな人でした。
ところで、大人のシルヴィアが冒頭でベッドを共にした男が、セックスアンドザシティのエイダンでしたね。久々にエイダンに会えて嬉しかったです。あと、若いサンディエゴを、わたしはずっとガエルガナルベルシアが演じてると思ってました。が、別人なんですね…似てません?めちゃくちゃ似てません?
ラストで、起きてるサンディエゴとマリアーナが会うところを見たかったですが、マリアーナが娘とサンディエゴと向き合おうとできたことでよしとするのもありっちゃありです。
若いサンディエゴが見た目も素敵でしたが、人柄も素敵だったです。
感慨深い
シャーリーズ・セロンとキム・ベイシンガーの圧倒的な演技力と共に
緻密で繊細なストーリーに引き込まれました。シーリーズ・セロンの大胆な役が話題ですが、
やるせない雰囲気が物凄く感じられて、静かに心に沁みてきます。
年齢を重ねても女性はいつでも女なのかと、実感した作品です。
激しい愛ゆえにおかした過ち、その深い闇からの再生を、時を越えて描き出す感動のドラマ。
静々と登場する人物が相手の想いの外で痛んで行き、
葛藤と相克を繰り返した末に再生して行く様は共感出来ずとも目を背ける事は出来ない内容です。
最初は二つのストーリーが交互に映ってるものと思ったのですが、後半になり、
実は現代と過去が交互に映っていることが分かりました。
そこを理解しているともっと面白く観られると思います。
前半はシルビアの行動ばかりが目立ちましたが、終わってみればかなり奥が深い作品だと思います。
時系列が織り交ざって演出されて工夫が凝らされており、心情描写にも長けている作品だと感じました。
女性には必見の作品だと思います。始まってしまえば静々と登場する人物が相手の想いの外で痛んで行き、
葛藤と相克を繰り返した末に再生して行く様は見物。
彼女たちの行動は一言で表せるようなものではありません。
単純な善悪では問えないですが、そんな心の闇の葛藤を深く考えさせられました。
激しい愛ゆえにおかした過ち、人はその深い闇からどうやって再生していくのかを問う作品です。
切ない
時代が交差して描かれてるから、飽きることなく見れるし、若干謎めいている。配役の問題で、繋がって見えないところも、逆によかったのかも。最近、邦画も含めて、家族による負の連鎖みたいな作品をよく見てる気がする。
どこかで、断ち切れるといいけど・・。
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