パレード(2010)のレビュー・感想・評価
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セリフが好きです
行定監督を再評価
一見華やかでにぎやかで楽しそうなパレード。この若者たちの生活がそれ。でも、表向き楽しそうなだけで、実はそうではない。それぞれの日常を深く突っ込むわけでもなく、淡々と描いて病んだ現代の若者像を浮き彫りにしていく。
この映画は行定勲監督が以前から企画として温めていたものだとか。行定監督といえば『セカチュー』のヒットで現在のTV局映画のブームの基盤を作った人でもあり、その後もその手のヒット作を手がけてきたのに、再びこうした小さいけれど野心的な作品をキチンと作り上げたところに作家としての矜持を感じた。そういう意味でも評価されるべき1本だと思う(まあ、この作品もWOWOW製作という意味でTV局映画かもしれないけど)。
そういえば行定監督、今年は『今度は愛妻家』も良かったね。
善悪とは
良作です。
最近の「泣ける映画」だとか「純愛映画」だとかに対するアンチテーゼのようにも感じたよ、このクールな映画。
アパートで共同生活をする4人の若者。
そこにあるのは、近すぎず遠すぎずな関係。
共同生活といえど、結局は他人。
だけどなんか心地好いし、それぞれが頼り合う。
4人+1人に起きるありそうでなさそうな出来事を通じて、
人間の猜疑心や信頼感や絆を描いている。
と僕は感じました。
それぞれ個性豊かなキャラクターなんだけれど、
ナイスなキャスティング。
みなさんハマり役です。安定感あった。
みんな自然体で。
香里奈は強気な女性が似合いますね。
貫地谷しおり、今回はじめてまともに見ましたが、かわいいね。というかフツウね。そこらにいそうなこの感じ、スキ。
脇役の中村ゆりさん、可愛すぎるー。
てな感じの「パレード」でしたよ。
心地よい緩い繋がりだからこその、恐さ。
☆
マーチではなくパレード。
楽しいからと誘い込んでみたものの、
楽しそうなんで軽い気持ちで飛び入り参加してみたものの、
そろそろ抜けようかなと思っても、
そのパレードの流れから逃れるのは困難だった。
冷たい視線を浴びせられ抜けるに抜けられずに一緒に歩き続ける。
グルグルと回るメリーゴーランド。
冒頭のシーンのニュースでの
連続通り魔がこのメンバーの中にいるんだろうなと思って、
アイツが怪しいとか、
一番怪しくなさそうだからアイツかなとか予想しても、
意味が無いとは言わないが、描きたかったのはそこじゃなかった。
ある意味、犯人は誰でもいいし、そのように描いている。
若者の日常のような、非日常のような日々を、個別に描き、
ルームシェアしている者たちが繋がっているようで、
繋がっていないような、心地よいような、
ぬるま湯に浸かっていてウトウトしていたら熱湯になっちゃうような、
気持ち悪いような関係性を、
いや気持ち悪いと感じない人もいるのかもしれないが、
監督は丁寧にこちらを引き込んで、時には面白可笑しく、
淡々と描きながらも、何故だか不安感を、居心地の悪さを感じさせる。
行定勲監督にこのようなテイストの作品を依頼した方も、された方も、
ちょっと冒険だったんじゃないだろうか。
いいかもしれないと思った。もっとキツめの作品にも挑戦して欲しいかな。
役者陣も皆よかったが、好きな女優だというのがあっても、
貫地谷しほりが、ホントに眉毛無くなっちゃうよ、と思いつつ、
いつも以上によかったな。
よかったからこそ、恐かった。
☆
各々が身を寄せ合うターミナル
「嫌なら出てくしかなくて、居たければ笑っていればいい」
朝「おはよう」と言える相手が居る。「ただいま」と帰れば「おかえり」と返事が返ってくる。互いの深層には踏み込まない距離を置いた生活。自分をさらけ出さない若者達にとって、この一室は居心地がいい。共同生活の場というより、各々が身を寄せ合うターミナルだ。
誰もが隠れた性癖や悪癖を持つ。悩みもあり、それなりの過去もある。同じ屋根の下で暮らしていても、誰も互いの実態は解らない。見えてるものがすべてという言葉が言い得て妙だ。
ラスト、ひとりが自らの心の歪みを吐露しようとしたとき、残った4人の目は行進の足並みを乱した仲間を冷たく見下ろす。
サトル役の林遣都がいい。どんな役でも起用にこなすし、存在感がある。身体能力も高いので、これからがますます楽しみだ。「ゴールデンスランバー」の濱田岳と共に注目株。
ベルリン映画祭国際批評家連盟賞受賞おめでとうございます。
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