劇場公開日 2010年2月20日

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パレード : 映画評論・批評

2010年2月16日更新

2010年2月20日よりシネクイント、新宿バルト9ほかにてロードショー

平和主義ではなく、保身主義の若者たちによる共同生活

映画が始まってしばらくの間、登場人物たちの関係がよく掴めない。こいつら何者で、ここで何をしているんだ。ただ彼らの行動を見せ、会話を聞かせるだけで何の説明もしない演出が、逆に興味を増幅させる。そして一人一人を追いかけているうちに彼らの日常にスルリと入り込んでしまう。まるで昨日の自分を見るような馴染んだ感覚だ。

狭い2LDKのマンションに、恋人でも幼馴染でも仕事仲間でもない男女が4人で暮している。現実にはありそうであり得ない状況だが、4人が共有している空気は実にリアル。それは違うと思っても、軽く受け流すだけで、口に出して否定したり拒絶したりしない。いや、もしかすると、違うと感じることさえしないのかもしれない。この一見平和主義のように見えて、実は、ことを荒立てて責任をとらされるような損なことはしたくないという保身主義は、今の日本をべったりと覆っている空気だ。その空気が、現実にはあり得ない共同生活を成立させているのかと思うと薄ら寒くなる。

日和見のいい子でいることに苛立っても、相手と正面から向き合う訓練ができていない彼らに出来るのは、暴力で壁を破る衝動的な行為だ。楽しげにゆらゆらと揺れている表向きの彼らと、風穴を求めて奇妙な行動をとる彼らの落差が悲しい。おとなしくて危険なサトルを演じた林遣都が出色。

(森山京子)

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