パレード(2010)のレビュー・感想・評価
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吉田修一vs朝井リョウ その1
「パレード」と「何者」は、なんか雰囲気が似てるな、と思ったのがそもそもの始まり。 どちらも原作を読んだことはないし、「パレード」を観たときは「何者」は未見だったわけで、完全にイメージの問題なのだが。 若者の空気感を「外から観察する」吉田修一と「内から暴く」朝井リョウ、どっちが心にヒットするのか?という純粋な好奇心が目覚め、両方観てからレビューを書こうと思い立った。 ファッションはTPOが大事、と言うけれどその究極形態が「パレード」の5人なんじゃないだろうか。 みんなあの部屋の中で、あの空間にフィットする自分を身にまとう。お気楽な大学生を、恋人を待ち続ける女を、酒乱の芸術家を、堅実な社会人を、根無し草の少年を。 そこに個人の葛藤や闇は許されない。 私は常日頃から、「みんなモブを求めているよな」と思う。生まれてから出会う全ての人を、イチイチ掘り下げていたら身が持たないからだ。 自分が主人公の世界で、繋がりの濃い人たちは「家族」「恋人」「親友」にカテゴライズされ、「親族」「同僚」「知人」になると重要度が下がり、「通りすがり」くらいになると個性は必要とされなくなる。 「通りすがり」レベルの人は無個性で喋らない「モブキャラ」でいてくれないと困るのだ。 だから、モブキャラが目立った行動をすると不愉快になるし、モブキャラに「ポテサラくらい作れ」と言われるとショックが大きい。 こんな事言うようなヤバい人、という「構え」をとる余裕も与えられず、いきなり理不尽な攻撃を受けるからだ。主役がモブに脅かされる、下克上が起こってしまうのである。 「パレード」の5人は親友ほどの友達でもなく、恋愛の対象でもなく、ましてや家族でもない。かといって通りすがりと言うには多くの日常を共有しすぎているし、依存している部分もある微妙な距離感だ。 その距離感を保つために必要なのが、「マルチバース」と直樹が表現する、多面的な人格の使い分け。 あの部屋でのキャラクターは不可侵であり、そこから逸脱することは「良い悪い」に関わらず「ご法度」なのである。 新参者のサトルが、部屋の面々をバカにしたような話を別の友達にするシーンがある。サトルはぬるい距離感で繋がる「仲間」を持たず、孤独だけれどタフに生きてきた。 そのサトルをもってしても「あの部屋はなんだか心地良い」と、独特のぬるくて真実味のない仮面の生活にからめとられていく様は、傍観者として「パレード」を観ている私には恐ろしいことに思えた。 その極めつけがエンディングのシーンに現れていると思う。この部屋を抜け出すきっかけは、皆それぞれ持っているハズだ。なのに、そのきっかけには乗らない。 延々と続くパレードから抜け出さないように、お互いを見張るような目線。 それを「怖い」と思う気持ちは、やっぱり5人のことをあからさまに「違う世界」の事象として見る、吉田修一の目線なのだろう。
何故あらすじを覚えていなかったのか?
見始めてすぐ、BGMを聞いて大昔機内で観たことを思い出した。通り魔事件の犯人も覚えている。しかし色んなこと(貫地谷しほりの恋の行方とか、隣人の職業とか、サトルのバックグラウンドとか)が気になって結局最後まで観てしまった。見終えて何故この映画が記憶に残っていないのかが分かった。感情移入出来る登場人物が1人もいないから、なのだろう。いる(面白いと思ったことはない)。主要の登場人物は全て気持ち悪いが、特に林遣都の気色悪さ派際立っている。
やっぱり寂しいのかな?
『ウザい』『興味ない』を口癖にしてる、人と関わりたくなさそうに見える人達でも、やっぱり人と関わりたいんですね。SNSでクールを装いながら他人に粘着してしまう人や覗き見もその類。よっぽどお金に困っていない限り、寂しくなかったらシェアハウスには住まない派なので、孤独な闇深い話でした。
雰囲気が凄く好き。 5人の組み合わせのバランスが良い。 事件のこと...
雰囲気が凄く好き。 5人の組み合わせのバランスが良い。 事件のことを忘れていた頃にまさかの急展開。驚いた。 5人の仲の良さや関係性は、このままずっといて欲しいと思うけど、そうはいかないんだろうなという儚さがある。 それぞれ個性がしっかり立っているけど誰かが突出してるわけでもなく誰かが薄いわけでもなく良いバランス。 一緒に暮らしている人の事を知らない怖さ。 見えてる部分と見えてない部分。本当は知られているのか、知られていないのか。 知っているけど言わないことってやっぱあるしな……。 うん、恐ろしい。
様々な意味のパレード
5人の男女がマンションの一室で営む共同生活を5人それぞれの視点から描いた作品。 全体的に薄暗い映像の中、良介、琴美、未来、サトル、直輝の順にそれぞれが抱える悩みが明かされていく。 まずキャストが◎。 琴美役の貫地谷しほりのあざとい可愛さが爆発笑。ちょっと待ってちょっと待ってのシーンメチャ可愛かった笑。 個人的には直輝役で藤原竜也がもうドツボ!出来る男感出ててよかった!伝統芸のあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛を抑えた演技かと思いきや、やはりラストにあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛する素晴らしい俳優笑。ゲス役多いのでアレだけどこの人は普通に好きだな。 唯一良介だけ微妙に違ったイメージ。原作はもっと幼かった気がする決して小出恵介は悪くないけど意外とサトル役の林遣都の方が良介似合うような気もした。 この映画の怖いところは中盤でサトルが平気で他人の家に上がってくつろいでいたシーンに隠されている気がする。 つまりサトルには他人の秘密は探る好奇心がある。ということはあのマンションの中も漁っているのかもしれない。さらにいうとその好奇心はサトル以外の住人にもあるかもしれない。 だから最後に直輝を匿ったサトルがボソッとみんな知ってるんじゃないの?と言ったときに直輝はあんな驚いた顔をしていたのだ。もしかしたらモンキーレンチを誰かに見られていたかも。未来が直輝に通り魔の張り紙を見せた時点で直輝が犯人だと彼女は気づいていたかもしれない。 若干妄想入り気味だけどこういう推察をするとこの作品はすごく面白くそして怖く感じられる。 それでいて何故か5人にとってはこの空間が心地よい。だから壊したくない。壊されたくない。それがラストシーンの4人の表情に繋がる。 もうここ超怖かったこんな表情できるんだって役者ってすごいと思った笑。 邦画らしさのよく出た陰鬱な雰囲気の作品。だがこの5人はどこか魅力的で確かに居心地が良さそうで混ざりたいとも思ってしまう不思議な作品。サトルがここ何人住んでんの?っていうシーンが好き。
これは、都会でルームシェアしたことある自分には、とても共感できる部...
これは、都会でルームシェアしたことある自分には、とても共感できる部分が多かった。この映画の中で起こっていること。それは、全然悪いことではない。犯罪は悪だけれども。 ただ、理解できない、そんな人間関係さみしい!と思う方もいるかもしれないが、この映画の5人は居心地がいい、という感覚が、私はわかってしまう。
日常と狂気
日常のなかに垣間見える不信、狂気さに衝撃をうけました。すごく、ドキドキさせられました。 だれもが心のなかにある相反する気持ちやうすっぺらい関係のなかにある共通の考え、それがなんだかいまの社会を表しているようにも思えました。 すきな話ではありますが、映画は原作をひねってほしかったなあと思いました。
パレードは止まらない。
ああ、なるほど… 序盤の淡々としたシーンの数々が点と点で結ばれたときに胸が苦しくなるようなストーリーだった。 このキャスト、納得。 少し軽い雰囲気の彼らがちょうど良かった。 みんな、それなり。 ああ、こんなもんだよね。
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