「【”私は一時でも長く貴方の傍に居たいのです・・”「銀河鉄道の夜」のストーリーを巧みに織り込んだ病を患う男女の時空を超えた恋物語。】」半分の月がのぼる空 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”私は一時でも長く貴方の傍に居たいのです・・”「銀河鉄道の夜」のストーリーを巧みに織り込んだ病を患う男女の時空を超えた恋物語。】
ー高校生のユウイチ(池松壮亮)は肝炎を患い、入院中。だが、夜な夜な病院の外に遊びに出て、ナースのアキコ(濱田マリ:良い・・。)に叱られ、罰として”ある転院してきた患者の友達になるように!”と告げられる。その、美しき患者は生来、心臓に穴が開いている難病を抱えたリカ(忽那汐里)だった・・。
リカはユウイチに無理難題をイロイロと命令するが、二人の仲は徐々に深まっていく。-
■印象的なシーンとやられたシーン
・本好きのリカがユウイチに命令で、イロイロと本を持ってこさせるが、彼女の一番のお気に入りは、「銀河鉄道の夜」だった・・。ユウイチはリカから貸してもらった「銀河鉄道の夜」を読み込み・・”心配ないよ、ジョバンニ・・”
・病院を抜け出し、夜にホウダイヤマにユウイチに連れて行った貰ったリカ。そこはリカと同じ病で亡くなった父との思い出の場所だった・・。
・リカが入院した病院には、ナツメ先生(大泉洋)と言う外科医がいるが、ある理由で難病の執刀から逃げている。
ーこのナツメ先生の時空を超えた描き方を是とするかどうかで、評価が分かれると思う。私は、是とした。-
・ユウイチがリカを自分の高校の学園祭に招くシーン。そして、劇の主役の女性が”事情があって”現れない中、リカが主役をやりたいと申し出る。
そして、リカはユウイチが扮する王子に言葉を掛ける ”私は一時でも長く貴方の傍に居たいのです・・”
ー彼女の夢は女優だったのだ・・。
あの劇中でのセリフは、その夢を一瞬でも叶えてくれたユウイチに述べた感謝の言葉だったのだ・・。
そして、二人はユウイチが退院する前、病院のベッドの布団の中で、月を見ている・・。”あの月、きっと上弦の月だよね・・”ー
■時は流れ・・
・ユウイチはリカを救うために、懸命に勉強し、医師になる。そして、二人は結婚し、娘ミクを授かる。が、リカはある日、亡くなってしまう・・。
それ以降、ユウイチは妻を助けられなかった事を悔い、自らの妻に行ってきたオペを断るようになる。
ーこの辺り、ナツメ先生が且つてのユウイチであり、何故、現在の患者の女の子のオペを避けるのかが、徐々に分かってくる。ー
・ナツメ先生(大泉洋)が、且つてリカと二人で病院を抜け出して登ったホウダイヤマで独り、語り掛ける ”俺、良くやってるやろ・・” その姿を優しく見つめるリカの眼差し。
そして、いつの間にか夏目先生の足元に”あの本が置いてあり・・”
その本の裏表紙に書いてあったリカの言葉。
それを読み、泣き崩れるナツメ先生。
-このシーンは、グッと来てしまう・・。亡くなっても、ユウイチを優しく見守り、勇気づけるリカの姿のである・・。-
・ナツメ先生は久しぶりに伊勢県立病院に戻り、ナースのアキコと再会する。そして、今まで避けてきたオペと向き合うことをアキコに告げる・・。
<今作以降、オリジナル脚本で勝負する数少ない邦画監督になった、西田征史の”ちょっとズルイ感じもする”脚本にヤラレタ作品。
濱田マリさんのすぐに頬っぺたをつねるナースさんも印象的だし、若き池松壮亮さんの姿も嬉しい。
それにしても、今作でヒロインを演じた忽那汐里さんは、顔に傷を負った少女を演じた「許されざる者」「海難1980」「女が眠るとき」」「オー・ルーシー!」という作品を鑑賞した際、独特の雰囲気を漂わせている素敵な女優さんだなあ・・と思っていたのだが、最近、拝見していない・・。
お元気にされているのであろうか・・>