ちゃんと伝えるのレビュー・感想・評価
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変な話
何故これが見たくなったのかと言えば、
やはり豊川、豊橋の風景が見たかったから。
でもあまり覚えがなかった、豊川稲荷周辺。
で、話の筋としては、
少々飛んでるというか、漫画のような話だと思ってしまった。
父と息子の仲がこんなに良いのはちょっと無い。
クライマックスの息子の行動もありえない。
ラスト前、死んだ鳩を拾うシーンも…フツー拾わないだろ。
それもこれも最後の
「父に捧ぐ」で何となく腑に落ちた。
これはプライベート映画なんだ、と。
だから面白くなくてもイイと。
何で豊川なのかというのも、監督の出身地だったのね。
黒歴史。
いやぁ、演技下手くそだなぁ、と久々に強く感じた一本。EXILEの人だけじゃなくて、奥田さんも関根さんもなんで??ってくらい不自然。それが演出の狙いなのか?
表題が何度となく繰り返されるのだけど、全然効果的でない。
話もベタベタで、園さんにしてはキレイ過ぎ。
"ちゃんと伝える"
知り合いに起きた“ある出来事”を題材にして、極めてエンターテイメントに徹して走りきった前作の『愛のむきだし』から一転。今度は“ある人物”に捧げられた、園子温監督のプライベートフィルムに近い作品と言えるでしょうか。
その作りは、『愛のむきだし』とは真逆なシンプルな作り。
普通に撮影すると40〜50分程度で終わってしまうかも知れない話を、主人公の感情の揺れ動きを中心としてじっくりと描く事で、観客の1人1人が「もし自分が同じ立場になったら…」と考えさせられて目が離せなくなって来る。
だからあの“むちゃくちゃな”行動さえ、その気持ちが分かる。但し冷静に考えて見れば、映画だから許される事なのだか…それでも、観ている間は目頭が熱くなって来る。
主人公役のAKIRAは『山形スクリーム』の時は演技があれ…だったが、この作品では一転して悩める青年役を好演している。
そして、恋人役の伊藤歩がとても美しい。大袈裟に例えると、神々が宿った様な雰囲気すら感じられ、映画に於ける奇跡的な表情を浮かべるショットが時折見られる。
釣り好きで故人にボソボソと語りかけるでんでんや、如何にもこんな葬儀屋さんいるよな〜と思わせる佐藤二朗も面白かった。
父親はその思いを心に残したまま○の脱け殻に“死の無常”を感じていたのだろうか。
そんな主人公の目の前にもあるものが飛び込んで来る。
“ちゃんと伝える”
愛する人の為にも、今伝えなければならない事があるのだ!
全編で流れるシンプルなギターの調べがまたとても良かった。
(2009年8月30日シネカノン有楽町1丁目)
具現化する父への思い
父親の葬儀の日、霊柩車のハンドルを葬祭業者の男から奪った主人公は、一緒に釣りに行くと約束していた湖へと向かう。湖のほとりに着くと、棺を車から降ろし、父親の亡骸を取り出すのだ。
この遺体を棺桶から引き摺り出すというシーンは、父親の死からここに至るまでの登場人物たちの情感をバッサリと切り落とすくらいの強い印象を放っている。棺の蓋をこじ開けて、葬儀の参列者が手向けた花を掻き出す主人公の姿は、おおよそ人の死を悼む者には見えず、むしろ滑稽ですらある。
しかしながら、大胆で非常識なこの行為によって、観客は再び主人公の気持ちに寄り添い始める。それまでその言葉や涙で哀悼を示していた参列者たちが遠景に遠ざかり、かわって誰も知る由もない息子の父への思いに焦点が結ばれる。この映画はまさにこの一点のために存在しているかのようだ。
園子温監督が自らの父親に捧げるとサインしていることからも分かるように、この作品は亡き父への強い思いがほぼ唯一のテーマとなっている。監督自身の経験として、他の会葬者たちの哀悼の海から死者を引き揚げて、二人だけの意味世界で最期のときを過ごしたいということがあったのではなかろうか。
母子関係とは先天的なもので、そこに改めて意味や価値を求める必要がないほど自明のものである。しかし、父と子の関係には、当事者同士の意味付け、価値の付与が不可欠なのだ。この主人公の行為はこうした意味付けの作業であり、それがなされないことには、自分と父親との関係がどのようなものであったのかを自覚することは出来ないということであろう。
ちょっと驚き。
監督がヘビーな題材を淡々と表現し、
役者のAKIRAが演じる。
しかも過剰か演出や派手なシーンも
一切なし。
だからこそ、テーマの重さが染み渡る。
正直、AKIRAである必要あるのかという
疑問は沸き起こるがまあ、普通の若者を
等身大で演じているので違和感は無い。
親子の確執、トラウマ、告知、告白と
重いよなあ。
一番の驚きは園監督らしからぬ作風かな。
いづれにせよ、見る価値あり。
「温めておきました・・どうぞ」「おじゃまします」
映画「ちゃんと伝える」(園子温監督)から。
主人公と父親が、同じ時期にガンを宣告され、
タイトルのように「ちゃんと伝える」ことの大切さは伝わった。
物語としては、主人公の想定外の行動や、
キーワードとなっている「セミの抜け殻」が意味するもの、
なかなか理解が難しい作品だった気がする。
しかしながら、私が選んだフレーズは、
父親役の「奥田瑛二」さんと、母親役の「高橋恵子」さんが
死ぬ直前に、病室で交わした夫婦ならではの会話。
いつもいつも、ベッドの横で夫を見守る妻に、
なぜか、ガンで横たわっている夫が、突然
「たまには隣にいろよ。一緒に寝ようよ」と切り出し
「温めておきました・・どうぞ」と布団をめくり、妻を誘った。
そんな夫の気持ちを察してか、病院にも関わらず、
狭い病院のベッドに添い寝し、2人で幸せそうな顔をする。
「おじゃまします。・・久しぶりだわね」と呟いた妻。
きっと、布団の下では、手を握り合っていたに違いない。
夫婦って関係、2人以外にはわからないことも多いはず。
主役の若い2人には申し訳ないが、
「好きだよ」「愛してる」より、気持ちが通じていることを
このシーン、この会話は教えてくれた気がする。
えっ!このロンブー淳似の役者、EXILEなの?
えっ!このロンブー淳似の役者、EXILEなの?
これがこの映画の感想の8割です
元浦和レッズのMF10福永泰のほうがより似ているかも
あとの2割は
サッカーやるとき、普通メガネはかけないよ
と
棺桶から死体を出しちゃいけないよ
です
EXILEは普通の役者に見えます
かなり地味ですが大胆な行動もとります
重いお話なのですが、
子供役が元気すぎるのと親があまりにも早く急死していまうので
クライマックスを期待するタイミングが合わず、あれっ?って感じで
終わりをむかえてしまいます。その辺で、うまく泣けないと思いますよ
エンディングもいまひとつだし
伝えるって、難しいね。
EXILEのAKIRA映画初主演作。最初タイトルを聞いたとき、『何の映画なのかな?どんな映画なのかな?』と思ってしまいましたが、映画を観るとその意味が“ちゃんと”伝わってきましたよ。
ストーリーだけ読みますと末期ガンもので、しかも親子でW(ダブル)末期ガン患者になってしまうという、この上なく重い設定なのですが、この映画はそういった重さを必要以上に感じさせず、むしろ淡々とストーリーが進んで行きます。予期された“お涙頂戴映画”“さあ、泣け!映画”にはなっておらず、むしろ観終わって清々しい気分にさえ、させてくれます。もちろん泣けるシーンはありますが、それが強調されていない演出に好感が持てました。園子温(←コレで“ソノシオン”と読むのだそうです。しかも本名!)監督の映画としても、これまでになく抑えた演出が為されているそうです(すみません。他の作品、吾輩未見です)。で、今回『AKIRAをEXILEから離れた普通の青年として描いてみたい』と思われたそうです。ですから、“EXILEの人=AKIRA初主演作”としては、驚くほど地味な映画でございます。「山形スクリーム」の時にも書きましたが、吾輩EXILEは知ってますが、メンバー個人個人については、まったく存じませんので、今回も『誰?この若手俳優さん』って、真剣に思ってました(だってEXILEのイメージとは違うし、「山形スクリーム」の時とも、また全然違うんやから!)。で、そのイメージとは相当に掛け離れた役柄を、AKIRAさんは無難に演じています。ただ少々台詞が棒読みかと…。あと、さすがEXILEのメンバーですね。非常に健康的!そうとても“末期ガン患者”には見えないの!!コレってどうなの?キャスティング的に。だから“W末期ガン”という設定は、この映画には必要だったのかなあ?と思っちゃいました。スタッフが医療現場にリサーチして、現実的にある話としてストーリーに盛り込まれたらしいのですが、単純に『息子が父を送る』というストーリーで、良かったんじゃないか?と感じてしまいました。この設定なら、もうチョット不健康でないとね~、AKIRA君!
キャスティング的には、伊藤歩さんがイイですね。彼女の“透明感を感じさせる存在感”は、映画の中で一服の清涼剤のように効いています。この伊藤さん演じる陽子と史郎の間で交わされる“大切な人に大事なこと、本当の思いをちゃんと伝えられているか?”というエピソードが、この映画のタイトルにもある“ちゃんと伝える”ことが如何に難しく、そして生きているうえで如何に大事かということを、観ている者に投げ掛けてきます。そりゃね、わかっていてもなかなか出来ないですよ。自分の思いをちゃんと伝えるってこと。つい『言わんでもわかるやろ?』みたいな風に、勝手に思い込んでしまいがちですが、やはりそれは、口に出してちゃんと伝えないといけないんですよね。吾輩、この映画を観てつくづく反省いたしました…。
AKIRAの自然体な演技が良かったです。まるで監督が父親から受けたトラウマの痛さを、観客に対して告発しているかのような作品でした。
本作は、まず末期ガンに判定され入院した父親徹二と主人公の息子史郎が、父親との関係を見つめ直すことと父親と交わした約束を何とか叶えようと意外な行動に出ることが軸になっています。
そんなわけで父と子の葛藤を描いた作品であると思って見ていました。この親子の関係は変わっていて、高校時代は担任教師と生徒という関係だったのです。
そして部活も、半ば強制的に徹二がコーチをしているサッカー部に入れられて、他の部員より厳しいしごきにあっていたのです。
学校では、父さんと呼ぶだけで100円罰金という厳しさ。一切父親という関係を断ち切って、何度も史郎を鉄拳制裁する厳しい父親像が何度も出てきました。
本作は、園監督が、実父との関係をもとに執筆したオリジナル・ストーリーだけに、画面からは園監督の父親は相当厳しい方であったことが伺えます。きっと生きているうちはそのことを恨みに思って、感謝の気持ちをちゃんと伝えられなかったのでしょう。
監督が父親に「ちゃんと伝える」べきだったこと。それを映画に託そうとして、書き下ろされた脚本ではなかったかと思います。だから本作はプライベートフィルム(私小説)の要素が強くて、厳しい父親のシーンが何度もしつこく繰り返されます。
それはまるで自分が父親から受けたトラウマの痛さを、観客に対して告発しているかのようでした。
前半の30分は、このエピソードが長く、物語が余り展開しないので、眠くなりました。それが大きく変わっていくのは、見舞いに来ていた史郎が担当医に呼び止められたとき。入院した徹二のついでに家族で受けた健康診断の結果を知られて、史郎は愕然とします。史郎の方が、若年性のガンにかかっていて、場合によっては徹二よりも早く死ぬかも知れないというものでした。
豊橋稲荷の参道から豊橋駅前にある会社まで、毎日マラソンで通勤している史郎がまさかガンだったなんて、見ている方も意外でした。
史郎の病状が判明して、物語はもう一つの「ちゃんと伝える」べきことに移っていきます。でもやっとガンを克服しそうな徹二に、ショックを与えたくないと史郎は家族にも、恋人の歩にも、自分の病気のことを伏せていたのです。
自分の病気のことを、ちゃんと伝えられないため、史郎は病ですっかり弱気になった徹二が歩との結婚を催促されても答えに窮してしまいます。
歩もまた、高校時代から、10年間も交際して、未だにプロポーズがない史郎にしびれを切らしていたのです。徹二の言葉を受けて、歩は史郎に自分の気持ちをちゃんと伝えようと、結婚の話を切り出したとたん、史郎から病気の話を聞いて驚くものの、ある決意をするのでした。ほんのわずかな未来でもと。
史郎の病気になるエピソードは、きっと創作なのでしょう。「オヤジ、先に逝ってくれ」と語る割には、史郎の葛藤が描けていません。歩との関係もすんなりときれいにまとまりすぎて、そんなに物わかりのいい恋人がいるものかと思えました。
父親のトラウマを描いた長いエピローグ部分を短縮して、もっと史郎本人の「ちゃんと伝える」べきことだけど、うまく言えないという葛藤にフォーカスすべきでしたね。
人は誰でもこういうシチュエーションを抱えているものです。ちゃんと伝えざるを得なくなる過程を、丁寧に描ければ、もっと感情移入できるドラマになり得たでしょう。
本来は史郎の病気の告白をメインにすべきだったのに、思わず父親のことをラストまでリフレインさせた監督は、自分のトラウマの再現を優先させてしまったのでした。
そしてラストに、病死したしまった徹二と釣りに行く約束を果たせなかった史郎は、徹二の葬儀の折に、ある意外な行動を起こして、強引に約束を果たしてしまいます。その徹二と史郎が釣りをするシーンでは、泣いている人もいました。でも、このシーンへ至る、病気を抱え合った二人の父子の葛藤が描けていないため、せっかくのいいシーンの印象が弱くなってしまったのが残念です。
それと本編劇中に「ちゃんと伝える」と登場人物に語らせるセリフが多すぎます。そんなに言わせなくても、演技だけで充分にちゃんと伝わっていますよ、監督(^^ゞ
脚本に問題ありつつも、人物描写には定評のある監督だけに、出演者から芝居臭くない自然な感情を引き出していました。
特に本作のAKIRAの演技が良かったです。EXILEのパフォーマーとしてのオーラーを完全封印して、ごく普通のサラリーマンになりきっています。史郎が放つふぁっとした優しい人間味というのも、AKIRAファンには必見でしょう。
本作のAKIRAの演技に比べれば、玉木宏すら芝居臭く見えてしまうほどの自然体でした。また奥田瑛二の熱血先生&頑固オヤジぶりも味わいがありまして、弱気になったときとのメリハリをきっちり演じ分けていました。
長年付き合っているカップル、同棲していて、結婚のタイミングを失ってしまった連れ合いの方にお勧めしたいですね。だらだらと交際していては、いつか史郎と同じことが起こり、後悔するかも知れませんよ。
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