「彼らにしかわからない合言葉」ゴールデンスランバー(2010) ソロモンさんの映画レビュー(感想・評価)
彼らにしかわからない合言葉
決して褒めれるものではない映画、しかし憎めない映画でもあるといった感じでした。
まず前半の逃走劇の緊張感のなさは見ていて眠くなってしまうほど。途中永嶋敏行さんの変な演技(?)や濱田岳さん演じる妙に人思いの殺人鬼などそれなりに楽しいものの、脱力感のある展開は見ていてきついです。
しかし後半辺りからの主人公と彼をよく知る人物の思い出話がどんどん絡みだしてから面白くなってきました。
にしても他人を信用するかどうかはその人と実際に面と向かって話さないといけないものなんですね。主人公を知らないマスコミなんかは大口叩いてさんざんけなすが、主人公をよく知る人物達は彼を人柄を誰よりも理解していて何の疑いもなしに彼を信用する場面は、自分も主人公同様にちょっとうれしさがこみ上げます。特に主人公の父親がマスコミに向けて一喝するシーンにはどことなく爽快感がありました(実はこの映画、反マスコミ映画?)
そう思えるのもやっぱり父親役、伊藤四朗さんの演技あってのものでしょうね。
主人公に手を貸すキャスト陣もどこか心優しそうな役者さんばかりなのでそれも功を奏しているのかもしれません。
後主人公たちにしかわからない思い出のピースを終盤付近で存分に利用している物語も割かしよかった気がします。特にラストのシーンの数々は彼らにしかわからない合言葉のようで、見ていて何とも言えない充実感と幸福感をを覚えてよかったと思います。
・・・とはいえやっぱり序盤あたりの退屈感はいただけないと思う。せめて首相暗殺シーンだけでももっとうまく見せられなかったのでしょうか。後半がよかっただけにちょっと残念です。
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