「シリアスな犯罪映画として観たら大間違い」ゴールデンスランバー(2010) マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
シリアスな犯罪映画として観たら大間違い
根幹はマジな話なのだが、そこにいろんな枝葉がつく。それもかなりいい加減で、粗雑で、乱暴で、・・・と思って観ているうち、この作品が60年代から70年代にかけて作られたニュー・シネマのような匂いを感じてきた。
そうして思えば、ビートルズのアルバム「アビー・ロード」に収録された同名の歌を口ずさむシーンにも納得がいく。時代も歌詞の『かつては帰る道があった』も、この作品が放つ人が人との繋がりを大事にして生きていた時代の懐かしさに符合する。そして、日本国民が自家用車を持つ時代になった象徴的なクルマ、カローラと当時のCMソングも生きようというものだ。
気づくのが遅かった。まどろんでいたわけではないが、携帯やiPodといったデジタル機器を絡めた展開で思いが及ばなかったのだ。中村義洋という監督、センスがいいと思うよ。
私のように原作を知らずに観ると、シリアスな犯罪映画を期待して裏切られる。無実の罪を被るが、なんでもありのサポートを受けながら逃亡する、不器用な男の物語として観れば、これはかなり面白い。いたるところに隠し味や仕掛けが施されている。
逃亡の過程で少しずつ逞しくなっていく姿を演じた堺雅人はさすが。
この作品でも竹内結子がノッている。演技も容姿も見ていて気持ちがいい。ますます可愛く美しくなってきたが、それってまさか仙台の病院で○○したんじゃないよね? もちろん冗談です。
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