劇場公開日 2010年1月30日

「中村監督の力量に脱帽!」ゴールデンスランバー(2010) つかさすすむさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0中村監督の力量に脱帽!

2010年1月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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この映画の原作「ゴールデンスランバー」は、とても面白い小説だった。
その、エンターテイメントに徹した内容は、映画好きとしては是非、スクリーンで見たい!と思う反面、これを映画の尺にまとめるのは、かなり困難だろうなぁ……と、かなり映像化は難しい、という印象を受けた作品でもあった。

去年、この小説の映画化のニュースを知った。
手掛けるのは、中村義洋監督。
「アヒルと鴨のコインロッカー」「フィッシュストーリー」と、伊坂幸太郎原作の映画化はお手のものの監督が作るという事で、かなり不安が払拭された。
そして、豪華なキャスト陣。
その殆どが、原作のイメージ通り。
こうして、この映画の期待度は更に高まっていき、1月30日の公開日は、初日の初回に劇場に足を運び、この映画に臨んだ。

結論から言うと、中村監督の力量に脱帽するしかない作品だった。

原作の再現度はかなりのもの。
自分が原作の中で、印象に残ったシーンがキチンと再現出来てたらいいか……ぐらいに思っていたが、蓋を開けてみると、原作のほぼ9割は再現していたのではないだろうか?
それでいて、2時間半の長さに、キチンと納まっている。
この構成力は、半端ない。

元々面白い小説を、忠実に再現したのだから、面白い映画にならない訳がない。少々長尺の作品だったが、終わってみればあっと言う間だった。
「ありえない話」「都合が良すぎる展開」と言う人もいるだろうが、元々、エンターテイメントに特化した作品なんだから、それは当たり前。ここは素直に、自分も青柳になったつもりで、仙台の町を逃げ続けるのが、最良の観賞方法だと思う。

残念なのが、この映画の宣伝。
あまり、サスペンス調な部分を強調しない方が良かったかと。
どちらかと言うとこの映画、“人を信用する事”の大切さを訴える、ハートフル・ストーリー、とも言えるものだから。

岡本喜八監督の「大誘拐」。
あの映画を見た後と、同じ感動を得ながら、劇場を後に出来る映画だった。

つかさすすむ