さまよう刃(2009)のレビュー・感想・評価
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何か言え長峰
基本的には韓国版と同じ話。
これが先に作られているので、
韓国版はかなりの改良がされています。
日本版を見て、気になった点は以下。
・寺尾聡と娘の交流場面がほとんど無く、仲良いのか悪いのか不明。
・クリーニング屋の息子の扱いの雑さ。それに対する親の無反応。
・寺尾の1人目の殺人の手軽さ。あれで死ぬか?
・寺尾の手紙の必要性。(何故名古屋に居た?)
・新聞に載っているのに、連泊する寺尾。
・伊東四朗と竹野内豊のバディ感ゼロ。
・そもそも伊東四朗で刑事って年取り過ぎ。
・そもそも寺尾聡が中学生の親って年取り過ぎ。
キリがないので、次に良かった点。
・密告手段が留守番電話。
・酒井美紀による新たな問題提起。
・寺尾か少年か、どちらを捕まえるか悩む竹野内豊。
…あんまり無いなぁ。
比較しても仕方ないので、絶対的に違う点は、
韓国版では殺人がもう一回あります。
あと寺尾聡の犯人追走道中が悠々し過ぎ。
連泊はダメですよ、指名手配されてるし。
しかも携帯電話電源入れっぱなしって、探知されるだろ!
折角良かった酒井美紀の問題提起、
「暴力に暴力で刃向かって何の意味があるんですか?」
ここさぁ、寺尾さん無言なんだよ。そら警察呼ばれるよ。
説得力ある一言あれば、酒井も納得したって。
それこそ伊東四朗が言った、「長峰(寺尾)には未来は無い」
これを皆共有していれば、酒井も3連泊OKだって。
ラストもなあ、寺尾聡の電話は要らないよ。(内容も要らん)
それより銃に弾入ってない事を、
台詞では無く現場で見せて欲しかったなぁ。
もう一つのそもそもで、
菅平で追っかけっこしてるのに、踏切で逃してしまうって、
あんなところにあんな時間に電車が走ってる事が疑問。
少年法
切ない
未成年者の犯罪をどう考えるか?
親一人子一人の家庭が未成年者によって破壊される。
娘を凌辱し殺害した犯人(VTRまで撮っている)を復讐の為に父親が追いかける。
「この国の警察は市民を守っているのではなく法律を守っているのですか?」と言うメッセージがかなり重い。
仇の一人を殺害し、もう一人を狙う父親は全国指名手配になるが、ペンションの主人が奪われた振りをして猟銃を貸してくれる。
ペンションの娘は「そんな事をのぞんでないはず」と言うがペンションの主人は「娘を持った父親なら同じ気持ちが分かる」と敵討ちを擁護する。
私なら後者だ。絶対に許せない。
ラストは賛否あると思うが、仕方ない……と思う。
うーん…
残酷な不条理への思いを上手く演じている
総合:80点
ストーリー: 65
キャスト: 85
演出: 85
ビジュアル: 70
音楽: 70
寺尾聰演じる長峰の自宅の留守番電話が警察に監視もされずに野放しになっている、携帯電話を持っていても電波の発信源の探知もない、長峰と犯人の少年の二人とも長野の山奥からあっさりと警察の包囲を破り関東方面に移動できる、そんな部分には物語の弱さがある。
最後の場面で長峰が言う「彼らに課す罰は死にも値する恐怖」、そういう割には既に最初の犯人は刺殺してしまっているわけで、その意味では矛盾が生じている。そして残る一人の犯人に一度恐怖を与えたとしても、長峰が死んでしまえば犯人はその後の生涯は、いつ殺されるかもしれないという恐怖に怯えながら生きることもなく余生を過ごすこともできる。娘を殺されあれだけ苦悩しながら犯人を追跡した後で彼が言う「死にも値する恐怖」とは、長峰が生き続けることによってその後もいつ復讐のために殺されるかもしれないというものを長い期間にわたって犯人に与えるのではなく、逮捕される前のほんの一瞬銃を突きつけることだけで良かったのだろうか。
銃をつきつけあっていて自分たちが銃撃戦に巻き込まれるかもしれないのに、野次馬が逃げもせずに輪になって見学しているのもおかしい。そのような疑問もいくつか物語にはあった。
それでも、最初から結論ありきで方向性を示すのではなく司法制度の不条理に関する問題提起をしたこと、たった一人の最愛の家族を極めて残忍な形で失った父親の悲しみと、それを見事に演じた寺尾聰の演技に共感出来た。だからその重い喪失感、悲しみ、怒りが理屈以上に伝わってきて、十分に堪能出来た。
原作の問題提起を台無しにしたエンディング
やはり
理解させるためには。
原作は読んでないが、何ともやるせない内容である。
鑑賞後、気持ちの持っていき場が見あたらない…。
妻を亡くし、最愛の一人娘をも失ってしまう主人公。
しかも相手は少年法に守られたケダモノ(という描き方)
犯人のアパートで娘の犯行ビデオを観てしまった父は、
あまりの残虐さにその場で吐いて腰を抜かしてしまう。
(このリアルな映像、こちらも生きた心地がしなかった)
彼らは更生する気などない。ならば自身で復讐するしか
方法はない、と半ば強制的に復讐劇が開始されていく。
私も一応、親なので…彼の置かれた状況に同調できる。
あんなモノを観れば、それこそ逆上するのは当然だ。
犯人を殺してやりたい!自分の子供と同じ思いを…と
法が罰さないのなら、自分の手で!と思うかもしれない。
そこまでの問題提起はいいと思った。
昨今では、こういった極悪少年犯罪が多すぎる。
私の子供の頃は殺人事件というのに必ず理由があった。
理由なき殺人って、なに!?誰でもよかった、だと??
他人を殺さなければならない理由が全く分からない。
しかし、こういう人種なのだから、極刑に処せばいい。
という考え方では、なんの解決にもなっていない。
今作でも少し描かれるが、命の重さを測れない人間に
「死にたくない」「死んだら悲しい」「どうか死なないで」
という恐怖や不安を理解させることこそが重要なのだ。
本来なら子供の頃~何らかの形で教わってきただろう
そのことについて、最近ではゲーム感覚で捉えている
冷めた若者たちが増えてしまった。どうしてなんだろう。
最愛のものを失ってからでないと、気付かないことか?
考えても考えても、胸にはやるせなさが残る。
今作の内容が云々より、有効な回答が提示されずに、
さまよえる作品になっていることが、いちばんの恐怖だ。
(生まれたその時から極悪人。なんて存在しないはず。)
寺尾聰の、
手紙が読まれるシーンがあるのですが、その声のトーンと間が何とも言えず、この映画はこの手紙の告白(簡単な説明ですみません・・・)のところを見るだけでいいぐらいです。
その部分がほんとに事件による様々な状況や思いの変化が伝わります。
映画のCMでも、少し流れたりしてましたが、その少しのとこを聞いただけで、もう泣きそうになります・・・
そして、原作を読んでないので知らなかったのですが、原作は詳細に残虐な部分が描かれているとのこと。そういう部分は観る側に任せる演出になっていたので、原作の衝撃を受けて見に行く人には、多少?かなと思いました。
私は、映画が先でしたので、これを機会に原作を読んでみたいと思います。
気分が重たくなる話だけど…
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