劇場公開日 2009年10月10日

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「持論を導き出す上で都合の良すぎる展開が気に入らない。」さまよう刃(2009) 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0持論を導き出す上で都合の良すぎる展開が気に入らない。

2009年10月23日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

単純

静謐な映像と抑制の利いた演技。これらを取っ払った時、この映画には何が残るのか。

この映画に登場する若者は同情の余地も無い人間の屑か、救い難い阿呆だけ。伊東四朗と竹野内豊を除く刑事は皆、法律をプログラミングされたロボットだ。その行動には何の深みも意外性も無い。
全ては我々が新聞の三面記事を読んで10秒で想像するような薄っぺらく現実味の無いキャラクターの切り抜きだ。

本作で描かれる親の怒りや法律の理不尽さが虚構だとは言わない。
世の中にはもはや救いようの無い悪党が存在するという意見も否定はしない。
だがこの映画の中では、全ての要素が原作者または監督の訴えたい意見を都合良く導き出すための手駒にしか見えないのだ。

後半に登場する山荘の管理人親子の設定や、終盤になるに連れてブレまくる主役刑事の行動など、あまりの御都合主義に冷笑すら浮かんだ。

反論の余地を与えない、一方的な論理展開。
あざとい映画だ、と思う。
正直言って僕は好きになれない。

寺尾聡と伊東四朗の演技に1ランクプラス。

浮遊きびなご