「自分ならどうするか」さまよう刃(2009) マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
自分ならどうするか
父は、一日も早い犯人の逮捕と、その極刑を望むが、犯人は少年法に守られるに違いない。そのやるせなさに、自分だったらどう行動するか? この作品は問い掛ける。
法を遵守することが警察の努めか、弱者の味方が警察のあるべき姿か、伊東四朗と竹野内豊が、建前と情のあいだで揺れ動く刑事を好演。ありがちな「お嬢さんは、復習を望んではいないはずです」などという、きれいごとで片付けずに、いろいろな角度から娘を亡くした父に迫り、サスペンスの形をとりながら重厚な人間ドラマに仕上げている。一般の何の力も持たないひとりの父親が、犯人を追い求めて雪山をさまよう姿は、まるで手負いの親熊のようだ。踏切のシーンでの、寺尾聰の表情と息づかいが目に残る。
同じような設定でも、ハリウッドだと先日の「96時間」のようなアクション映画になってしまう。お国柄だな。
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