劇場公開日 2010年1月22日

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「以外と愛の物語なんです。××は生がイイっ~!(^^ゞアクションが小粒なのが不満です。」サロゲート 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5以外と愛の物語なんです。××は生がイイっ~!(^^ゞアクションが小粒なのが不満です。

2010年1月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 『マトリックス』から始まった、人類のバーチャル体験をテーマにしたジャンルの作品は、ついにサロゲートというアバターとも言うべき身代わりロボットに行き着きました。 本作は、サロゲートの一般化した社会で、サロゲートを失った主人公が生身のままで活躍することで、人間性回帰を訴えかけた作品。
 サロゲートに依存している時間が長くなって、夫婦関係が崩壊しつつあった主人公夫妻が関係修復していくところは、過度な機械文明依存への皮肉とともに、愛というものはバーチャルではダメなんだということがメッセージとして加味されていました。

 本作の注目ポイントは、サロゲートによって妙に若返っているブルース・ウィリスの変わり様でしょう。何しろ髪の毛ふさふさで、お肌がツヤツヤなんです。持ち主のグリアーは、ブルースのまんまなので、その落差に思わず笑ってしまいました。
 グリアーだけでなく、サロゲートの所有者は、実年齢よりも若く美しい設定をするのが一般的だったようです。

 そんなグリアーの身近なところで、サロゲートが破壊されると所有者も死亡する事件が発生。グリアーは、サロゲートを開発したキャンター博士のサポートを受けて、開発元のVSI社に原因究明のため乗り込みます。
 そこでサロゲートの軍事利用が進んでいる事実をグリアーが掴むことが、ラストに繋がる重要なキーワードとなります。
 それは、あくまで体が不自由な人を補助するためにサロゲートを開発したキャンター博士の意図と、国防省やVSI社の方針が大きく違っていたことを示しました。

 その後サロゲートを即死させる武器を持った犯人の消息をFBIは掴みます。追い詰めるものの、反撃されグリアーの部下が5人も犠牲になってしまいます。
 ここから武器を追うグリアーと逃げる犯人との間で、ぐっとアクションシーンが多くなります。だけど、ブルース出演作品としては、全体に小振りな感じなんですね。

 見せ場は、グリアーのサロゲートが乗ったヘリコプターが撃墜されるところとカーチェイスのシーン。ただ一目見るとCGだということがバレバレなのがいただけません。
 面白いのは、撃墜した場所なんです。サロゲート反対運動の活動家の解放区で、ロボット厳禁という場所。あと一歩で犯人逮捕という寸前で、活動家達に発見されて、グリアーのサロゲートは破壊されてしまうのです。

 それで止むを得ず、生身のグリアーが、直接捜査に関わります。この決断の中に、本作の何でも機械任せでいいものかというメッセージが潜んでいました。
 生身で活動するようになって、グリアーはサロゲートに依存した日常に懐疑的になっていきます。それは身近な妻さえもサロゲートを通してでしかコミュニケーションができないという孤独感として、描かれていきます。

 もう一つ興味深い点は、グリアーが追っていた犯人を殺害してしまうサロゲート反対運動のリーダーは、何とサロゲートだったのです。
 なにやらこの運動自体に訳ありで、裏で糸を引く黒幕がいるみたいです。

 黒幕は明らかにサロゲートとサロゲートに依存している人々の抹殺にありました。黒幕に操られたサロゲートが、管理システムに侵入してウィルスを混入。その結果何億ものサロゲートとその所有者の生命がピンチになります。
 グリアーは、何億もの人類の命は守りきるものの、サロゲートの存続には懐疑的でした。グリアーがどんな決断をするのかも見物です。

 映画『アバター』と違うところは、開発の目的が障害者の機能回復用立ったことです。当初は肢体の一部位が開発されたことから発展していきました。
 けれども脳細胞とロボットが完全にシンクロされる技術が確立されてからは、同じように一時は軍事用になったものの、量産化によって民生用の商品に転換。開発7年目にして、人類の98%がサロゲートを使う世の中になっていたところが大きく異なる点ですね。

流山の小地蔵