「創り込まれた世界観」インセプション ハットコックさんの映画レビュー(感想・評価)
創り込まれた世界観
フィルムメーカーにとって、いちばん魅力的で、いちばん難しい題材である"夢"を扱った作品です。ずっと昔から本作の構想を練っていたというノーラン監督。非現実的な設定が多いのにも関わらず、違和感なく観ることができるのは何故でしょう。
「"夢"を見る時、ここからが"夢"だと分かる人はいない。目覚めて初めて変だと感じる。」これは劇中の台詞です。ノーラン監督は、自身の実体験に基づいて"夢の世界"を創り上げました。誰もが共感できるのは、この理由です。随所に"リアル"を散りばめることで、物語についていくことを可能にし、アリアドネという人物がそれをサポートします。彼女と一緒に、観客は用語などを理解するのです。同じことは、映像でも見受けられます。"現実"と"夢"を繋ぐ時、単純なダイレクトカットを用いています。これは、先ほどの台詞を視覚的に表現した結果です。
もちろん無重力シーンやスノーアクションは見応えがあります。しかし、そういう細かい演出まで注意してみると、また違った楽しみを味わうことができ、本作をより深く理解することができるはずです。
そして多くの人がいまだに議論するラストシーン。実は、「こ・れ・で・も・か」と言えるほど単純です。本来描くべき数秒を敢えて見せずに終わらせることで、複雑なように"思わせている"だけです。
ノーラン監督は、かなり幼稚な人で、いわゆる馬鹿げたことを超カッコ良く映像にするのを好みます。でもそれが、彼の偉大さです。実際、どの作品も超カッコ良い(笑)
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