「夢という誰もが持っている自分だけの世界。」インセプション アルさんの映画レビュー(感想・評価)
夢という誰もが持っている自分だけの世界。
その唯一の世界を映画として限りなく膨らませた、その発想とストーリーがとにかく凄い。
前半部分はインセプションの独特なルール、その説明だけでもかなり難解。とっつきにくい。だが、トーテムやキックなどを含めた、細かな設定がとにかく素晴らしく秀逸。
何となく理解し始めた頃にストーリーは動き出し、どんどんその世界観に引き込まれていく。
幾重の夢の世界を、上手く時間描写で表現しつつ、登場人物たちがしっかりと自身の役割を認識。細かなカットを挟み、時間経過を意識させつつ、その時間の危機感を高めていくのはさすが。
主人公コブの妻モルに対する揺るぎない愛、そして後悔、最後まで渇望し続ける子供達との再会。どの夢の中でも現れてしまうモルが、コブの愛と後悔の深さを物語っているのが悲しい。
観客すらインセプションされる計算されたラスト。"最後の30分をじっくり味わう"為の興奮の2時間。観た人の記憶に残り、あれこれ考察したくなる。名作。
コメントする