「癒されたい人はどうぞ」プール kerakutenさんの映画レビュー(感想・評価)
癒されたい人はどうぞ
「かもめ食堂」「めがね」の路線を踏襲した作品、というのはまちがいないです。観に行く人たちも、ある程度それを期待していくしね。
私自身は、「かもめ食堂」を観た時は、「なーんにも起こらない」という
ありそうで絶対になかったストーリーの斬新さに驚き、
「めがね」では、正直ちょっと退屈したのですが・・・
今回もまた、タイ・チェンマイのゲストハウスで働く主人公と
そこを訪れる客(といっても、実の娘)のほんの数日のお話です。
今回もまたまた、客がぜんぜんいなくて、
「ここ、経営大丈夫なの?」と思わず心配してしまいますが、
かもめ→ めがね と観てきた人たちは
「それは突っ込まないお約束」というのを理解しているはずなので
このブブンは放置、ということで・・・・・
見かけはかもめ路線でも、今回は「親子の距離感」というような
普遍的なテーマを扱っているのだけれど、
それがどうしたって共感を得られない設定なので
残念ながらアウト!です。
一人娘をほったらかしにしてまで
母がタイにやってきて「やりたいこと」がなんだったか
全く見えないし、
娘はさびしくて母を恨んだというのだけど、
初めての海外旅行に母の居る場所を選んで、日本を発ってきた
という時点で、
もうすでに娘は大きな一つのハードルを越えているようにも思います。
巨大な涅槃仏、風の音と鳥のさえずり、野良牛の鳴き声、
日本語をちょこっとしゃべれる礼儀正しいタイ人の男の子、
市場に山盛りの新鮮な食材、
テーブルにならぶ美味しそうなタイ料理、日本料理、
携帯のつながらない解放感、
願いを乗せて高く高く舞い上がるコムファイ・・・
癒しアイテムは満載で、
前作以上に癒されることは間違いないので、
好きな人は観に行くのがよろしい・・・
レディスデイに女三人くらいで観に行って、
誰かに
「いい映画だったわねぇ~」とか先にいわれちゃうと、
なかなか否定するのが難しいタイプの映画ですよね。
つまんない人には、苦しいほどつまんない映画だと思います。
だから、オススメもしなければ、否定もしません。
(してるかな?)
話変わって・・・
「菊子さん年代になってのこういう暮らし」というか、
一連のドラマにでてくる「もたいまさこ」の立ち位置は、
60代くらいの女性にとっては理想じゃないかな?
と思いました。
私にはまだちょっと早いですが、
生まれ育った場所にこだわらず、自分の気に入った土地で、
ゆったりした可愛い服を着て、拾った猫たちの世話をしながら、
現地の人たちとは日本語しか喋らない、でもちゃんと通じてしまう
そんなんだから、余命半年といわれても、うっかり長生きしてしまいそう・・・
ビジュアルはもたいまさこである必要はないですが、
彼女のキャラは、10年後の私の「なりたいキャラ」ではないかと思います。
ふたりの親子関係には最後までリアリティ感じられませんでしたが、
三人でうたう「君のすきな花~♪」の歌とギターはよかったな。
ちょっとベタだけど、幼いころ母が歌って覚えた曲で、
異国の地でめぐりあった男の子とも心を通わすことができたのですから。
エンドロールをみたら、小林聡美作詞作曲、とありました。
この映画、結局、小林聡美に救われましたね。