劇場公開日 2009年9月12日

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「微妙に納得できない部分もあったので、癒され度は程々」プール スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0微妙に納得できない部分もあったので、癒され度は程々

2016年9月28日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

難しい

寝られる

「かもめ食堂」「めがね」と同じようなスローライフムービーでも、監督が荻上直子監督から大森美香監督に変わったからなのか、雰囲気的には似ているようでも趣は異なるところがあって、個人的には微妙に前二作ほどは嵌らなかったですかね。
食べ物もバナナフライ以外はそれほどそそられなかったですし、タイ感もそれほど前面には出ていなかったですから、のんびりとはしていましたが癒され度としては程々と言ったところでした。
ただでさえ何も起こらないシリーズなのに、今回はユーモアにも欠けていたので、より掴みどころが無かったなと・・・。

小林聡美が演じた母・京子の生き方にも、いまいち共感できず。
自分のやりたいように、好き勝手に生きている京子は、ある意味まさに理想的な生き方で、うらやましいとも思いましたが、一人の親としてはこの生き方はどうなんだろうか、もし自分が京子の子供だったらと考えると、納得は出来ないかなぁ。
終盤、ようやく親娘が本音で語り合うシーンが出てきてどうなるのかと思ったら、やはり全然納得できなくて、ちょっと拍子抜けでしたよ・・・。

子供への信頼感?でも、もう少し子供の気持ちも考えるべきでしょう。
大人になってからなら、このぐらいの距離感の方が親子関係はうまくいったりしそうですけどね。
ただ親ではなく、一人の人間としてならば、一度しかない人生、自分の好きなように生きるのは本当にうらやましい限りです。
また演じているのが小林聡美だと、全然納得できないのに、まあそれもいいかもと思わされそうになるから何か凄いですよね。
娘役の伽奈は逆に演技が終始硬かったですが、しっくりいってない親娘関係を思えば(娘目線でですが)、この硬さは雰囲気的にむしろ良かったのかも。

題名となったゲストハウスの「プール」の存在も、何か象徴的で印象深かったですね。
水が綺麗でゴミ一つ無い静かな佇まい、まるでもたいまさこの菊子や加瀬亮の市尾やビーや京子の関係性を示しているようでした。
誰も心の奥底には踏み込まず、波風立てない関係性、でもそれが心地良い、まるでオアシスのような場所、こんな場所でおいしい食事をしながら楽しく生活し、人生の終幕を迎えられたら、それはそれで素晴らしいことなのかも。
どうやって生活が成り立っているのか微妙なのは、突っ込んじゃいけないんでしょうね・・・。

スペランカー