劇場公開日 2009年3月21日

「現実世界に忍び込んだ“オカルト”」オカルト samurai_kung_fuさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0現実世界に忍び込んだ“オカルト”

2009年4月3日
鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

興奮

「オカルト」というタイトルから「ほんとうにあった〜〜」に代表される一連のVシネマや「リング」や「呪怨」シリーズを念頭に置いた鑑賞をするとド胆を抜かれる。
この「オカルト」はそういった心霊だとか終末思想のある宗教などが実際に人の心に根付いてしまう事を正面から見据えている。
人を妬んだり恨んだりする心の極端な偏狭さ。しかし、その偏狭さを見つめる視線はあくまでもやさしい。だから深く踏み込んでしまう。踏み込めば踏み込むほどに、その深淵は恐ろしい。しかし恐ろしければ恐ろしいほど笑える。
白石監督はいわゆる“Jホラー”ブームの中では後発の監督であるが、エピゴーネン量産に加担する事を避け、先人たちがブームのただ中にいるがゆえに描けなかった領域に踏み込んでいる。
この「オカルト」は「裏ホラー」「グロテスク」「テケテケ」「テケテケ2」と、外れの無い作品を連発している、脂の乗った時期だからこそ出来上がった傑作である。

samurai_kung_fu