劇場公開日 2009年12月12日

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「時代を超えたふたりのストーリーの関連性が余りに平板すぎてつまらなかったです。」ジュリー&ジュリア 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5時代を超えたふたりのストーリーの関連性が余りに平板すぎてつまらなかったです。

2009年12月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 「ジュリア・チャイルド」というアメリカの料理研究家をご存知でしょうか?
 日本ではあまり知られていませんが、「アメリカの料理の母」と呼ばれ、アメリカの食卓に一大革命をもたらした、アメリカ人であれば、誰でも知っている料理研究家です。

 そのジュリアと現代でジュリアを慕うジュリーの二人の女性の物語。ジュリーは、ジュリアの524のレシピを365日で作ることに挑戦。その過程を綴っていく料理ブログを立ち上げた
 とにかく脚本がダメダメで、二人の物語を同時にシンクロさせて描くことの意味がよく見えませんでした。
 確かに料理をテーマにした出版とブログという点や、互いに料理好きなひとと手紙とメールで交流したこと。そして二人共に夫に愛されていたことなど共通点はありました。だからといって、ジュリーがあるレシピに取り組むとき、それを追うように同じレシピに取り組むジュリアのシーンが追いかける構成は、ふたりの人生を理解するのにかえって煩雑にしています。要するに余り関係がないのです。

 ただジュリーにとってブログでジュリアを取り上げたことが作家デビューのきっかけにはなりました。けれども本作は余りに平板で、シーンをスイッチするだけなので、だから何が言いたいのか、ジュリー&ジュリアを繋ぐ意図が見えてこなかったのです。

 但し料理で人生を変えたジュリアは興味深いです。料理好きなひとには、ワタシもひょっしたらジュリアのように転機が訪れるかもと希望を描いてみたくなることでしょう。

 ジュリアは185cmの大柄な女性。演じているメリル・ストリープの役作りから、彼女のユーモラスで屈託がなく、物怖じしない性格がよく分かりました。
 トリック撮影を使用して小柄なメリル・ストリープが大柄に見えてしまうところは、うまく見せているといえます。今まででにないメリル・ストリープの役作りなので、ファンの方なら一見の価値はありそうですね。

 ジュリーを演じているエイミー・アダムスもアラサーの鏡とも言えるくらい好感度の高い主婦役を演じています。演技面ではふたりとも素晴らしい個性を発揮していただけに、もう少し脚本をどうにかして欲しかったですね。2時間30分は長かったです。

 ところで、ジュリアは第二次大戦中にOSS(CIAの前身)に勤めていました。だからスパイ説もかなりあったようです。ただ本作ではそんなきな臭い政治のことは捨象されて、夫は単なる外交官として描かれています。
 二人はセイロン島で知り合ったのですが、そのころジュリアもかなり重要な職についていたようです。後に夫となるポール・チャイルドもOSS職員で、二人は戦後まもなく結婚。ポールがフランスに赴任したことから(ホントは諜報の匂いがしますが)、ジュリアとフランス料理の出会いが始まったという運びです。

 そんな事はさておき、グルメなひとには、ふたりが各々作る料理が続々登場して、目を楽しまさせてくれました。でも、心臓が悪い小地蔵の分身にとって、バターをたっぷり使うソースや肉料理のオンパレードには、健康上の疑問を感じた次第であります(^^ゞ

流山の小地蔵