「さすがノーラ・エフロン! 心にも“栄養”をたっぷりくれる作品」ジュリー&ジュリア めぐ吉さんの映画レビュー(感想・評価)
さすがノーラ・エフロン! 心にも“栄養”をたっぷりくれる作品
さすがノーラ・エフロン!という楽しい作品!
主人公はアメリカの食卓にフランス料理を持ち込んだジュリア・チャイルドと、
その50年後に、彼女の本に出ている524のレシピを1年で作ってブログにのせるという無謀なチャレンジに挑むジュリー。
とにかく、メリル・ストリープ演じるジュリアが超魅力的!!
とても大柄でケラケラとよく笑い、よく食べる…まるで太陽みたいにパワーのある女性です。
おそらく、そんなおおっぴらさが災い(?)してか、当時としてはかなり晩婚の40近くになって外交官と結婚します。
しかもそれまでの男性経験はなかったらしい…。
そんな彼女を見初めるのは、かなりモテ男らしき外交官。
(演じているのは『プラダを着た悪魔』でゲイのスタイリストをやっていた“セクシーハゲ”のスタンリー・トゥッチ)
ジュリアのように、パワーの強い女性の良さをわかるのはやっぱり“通”の良さがわかる遊び人なのねー…と妙に納得。
もちろん彼はただの遊び人ではなく、政治的な立場も含めて真のリベラリストなのですが。
で、そのジュリア、夫がフランス駐在になり「美味しいもの食べられてサイコー!天国だわー」と大喜びしますが、
なにぶんそれまでバリバリに働いていたので、他の奥様方のような生ぬるい習い事ではいまいち満足できない…
食べることが大好きだしーと思い、学校サイドの反対を押し切って、ル・コルドン・ブルーのプロ養成コースに入ってしまいます。
最初はタマネギの千切りもまともにできないながら、生来の負けず嫌いによる特訓と、持ち前の明るさで
誰よりも優秀な生徒になっていきます(それでも学校の理事から嫌がらせをされますが…)
そして一方の現代では、作家を目指しながらも9・11後の市民相談係という仕事で鬱々としているジュリーが
一念発起して大好きなジュリアの本のレシピ制覇に挑みます。
そのジュリーが士気を上げるため(?)に見ていたテレビ番組に「!!!!!」と振れ幅MAXで反応してしまいました。
ジュリーと夫が見ていたのは、なんと昔の「サタデー・ナイト・ライブ」で、
ダン・エイクロイドが女装して、テレビの料理番組をやっているというスケッチ。
甲高い声でケラケラ笑いながら、ニワトリ一羽を取り出してさばこうとすると
手をグッサリぶっ刺し、血がぶわ~~~っと噴き出してきても
「こんなの大丈夫よ~……」と言いつづけながらも最後には倒れてしまう、というオチです。
そう、この元ネタがジュリア・チャイルドだったのですよーーー!!
このスケッチを見たときは「個性的(?)な料理番組のオバさん」と思い、
それでも十分面白かったのですが、
こうやって元ネタがわかると、もう感慨ひとしおです。
これだけでも、この映画見た価値は十分すぎるほどある!!と思ったほどでした。
もちろんそれだけではなく(←当たり前ですが)、ジュリアの明るさと強さ、ジュリーの等身大の苦悩、そしてお料理の素晴らしさ…
色々な味わいを楽しめます。
でもラスト近くに、ジュリーのブログをジュリアが快く思っていない、と記者が伝えているくだりがありましたが、あれは本当なんでしょうか…
ジュリアの性格を考えると、ジュリーのチャレンジを本当に見ていたら大喜びで応援しそうだなーと思うのですが。
ネットをやらないジュリアに、誰かが曲解してジュリーのチャレンジを伝えたんじゃないかな…と、ジュリーのために思いたくなりました。