「スリルよりも、怒りの感情が勝つ――」チェイサー(2008) abuさんの映画レビュー(感想・評価)
スリルよりも、怒りの感情が勝つ――
評判通り、ハラハラドキドキのスリルはしっかりある。
だが見終わったとき、一番心に残るのは“イライラ”だ。
とにかく韓国警察が無能。
韓国映画ではよくある描写だが、本作の警察の無能さは飛び抜けている。
「何のために存在しているのか?」と思ってしまうほどで、犯人を追う主人公の足を引っ張るばかり。そのイライラが、スリルにさらに拍車をかけてくる。
物語は犯人と主人公の緊迫した追跡劇を中心に展開。
警察の無能さに対する怒りが加わることで、映画全体がより感情的に盛り上がっていく。
また、殴る音などのアクションは効果音を使わず、生々しくリアル。
そのリアリティも、作品の重さと説得力を強めていたように思う。
ラストはまるで「オーメン」へのオマージュ。
私刑で裁くのか、法に委ねるのか――その問いを突きつけてくる。
終わったあと、どこに救いを見出せるかは観る人次第だろう
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