「これには揺さぶられた」母なる証明 TATOOTATさんの映画レビュー(感想・評価)
これには揺さぶられた
『殺人の追憶』『パラサイト半地下の家族』も観て
めっちゃ面白くて、特にパラサイトは、もう何回も観てる程、好きで韓国映画どころか歴代の映画の中でも
ベストテンに入るぐらいは面白い映画であるだけに今作も期待は膨らんでいたのだが期待通りでホッとした。
韓国には"ポン・ジュノ"というとんでもない傑物が
いるもんですね。
非常に面白かった!何というか見事に思い込まされた。
てっきりウォンビン演じる息子は絶対に犯人じゃない!と
思っていたから、警察の杜撰さ
民衆の煽動のされやすさ、冤罪でありながら、そんな息子の為ならば何だってする母親の気持ちを描いていくのかと思いきや、まさかの本当に犯人だったんだと分かったとき
驚愕した。
母親の台詞でもある「あの子は虫すら殺せない」だったり
事件現場を息子が独り歩くシーンでは、核心となるシーンをカットするという技術だったり、そういった要素も
相まって、まんまと思い込まされてしまった。
そして中盤辺りでは5歳の頃に母が息子と心中を計ろうとしたということと、それを息子が覚えていたということ。
正確には思い出した。これがまた
息子が刑務所に入れられているのを
助け出そうとしている事と真逆の事だから面白かったし
殺そうとした事の贖いでもあるように思えてグッときた。
それが分かった息子との面会のシーンにて
「悪い記憶やしこりをなくすツボがあるの」
と母親が言うシーンがあるのだが、その時に出す"鍼"が
母親のある意味"願い"とも取れるペテンが全くの逆効果になっているのも皮肉が効いている。
終盤ホームレスのお爺ちゃんに息子が殺したという真実を
話され、絶対に違う!と逆上した母親が、そのホームレスを殺してしまい空き家ごと放火してしまうのも意外過ぎた
その後、真犯人が捕まったとの事で(ここでもしょっぴいた理由が杜撰)息子が釈放される。
息子は悪友に車で迎えに来てもらい、帰りの道すがら
何の因果か、全焼した空き家を通ることになる。
そこで拾ったのが、母親がうっかり、よりによって
落としていたのが、"鍼"。この"鍼"が、ここへきてまた
忘れたくて忘れさせる為のアイテムであった筈のものが
余計に思い出させてしまうアイテムになるという
パラドックス。
息子の動機も母親の動機も共に絶対に認めたくない!
という強い思いから激情した結果であった。
その為ならば平然と罪を犯す。然し、それを忘れようと
無かったことにしようと思っても消える事はない。
人が人である限り人に心がある限り、そんな苦しみを
形を帯びて見せつけられたような、そんな映画でした
やっぱり韓国は強いね。
ディズニープラスで配信されている韓国ドラマも
悉く面白い。負けるな、日本。いや負けてないか