「まっすぐで途方もないけど頑張れ」ボーイズ・オン・ザ・ラン きのこの日さんの映画レビュー(感想・評価)
まっすぐで途方もないけど頑張れ
なんだかこう、まっすぐな愛情とでもどうにもならない性欲と、欲望と嫉妬と。そんなものがごちゃごちゃ~っとなってしまったときに人はどうなるのかってことが描かれている作品でした。
全然きれいじゃなくてむしろ醜態。
大好きなちはるちゃんの前で醜態ばかりをさらしてしまうタニシ君。
嫌われてさげすまれて罵倒されてもそれでもちはるちゃんを大好きなタニシ君。
くぅ~。
今回この映画ですっげー良かったのはとにかく銀杏BOYZの峯田さん!
歌わせて◎(歌手だし当り前かも知らんけど)、情けない役花丸、笑顔さいこー、モヒカン姿も最高。
もうタニシ君がぴったり。
エリート青山に対して力なく遠慮がちに笑うその笑顔も素晴らしい。こ
この峯田さんのおかげで、映画と歌のマッチングがすごいです。
あとは、やっぱ松田龍平かっこいかた。
青山がめっちゃ遊んでそうなとにかくやなやつなんだけど、ハマってました。
松田龍平もさすがなんでもできちゃいますね。もうほんとに公園でタニシ君をぼろぼろにするシーンとか青山が悪魔のようにみえました。
青山=強者
タニシ=弱者
という構図が二人の役者さんによって立ち振る舞いだけで見事に表現されていました。
というわけで印象的なシーンはタニシ君の歌うシーンから2こ
1.エンディングのボーイズオンザラン!!
エンディングシーンで峯田さんがモヒカンで爆走している映像をバックに銀杏BOYZの「ボーイズ・オン・ザ・ラン」という曲が流れてまさにその中で峯田さんが「ボーイズオンザラン」と叫んでいる。
女の人でも胸が熱くなって走り出したくなっちゃいますね!
結局ね、最後、タニシ君はぜんっぜん青山にかなわなくて。一発も殴れずに、ちびったおしっこかけただけでボロカスにやられて終わっちゃうんです。
途中までは、ロッキー的な感じで、「ボクシング練習してうまくなって青山倒しちゃうんじゃないの?」とかわくわくするんだけど一発も殴れない。
ほんで、田舎に帰っちゃうちはるちゃんをホームまで追いかけても、嫌いと言われののしられ終わる始末。
そのあとに彼が爆走するから、なんかもう胸が痛くて熱い。そこに歌声が乗ってぎゅわわわわ~ってなります。
2.決戦前夜、あなたの夢をあきらめないでを熱唱するタニシ君
勝負の前はかならずこの曲を歌うタニシ君。
カラオケで熱唱する峯田さん、最高でした。
あんなにソウルフルなバージョンのあなたの夢をあきらめないでは聞いたことがない!
自分に言い聞かせているような、自分を励ましているような素晴らしい歌声でした。
てな感じでストーリーも好きだけど、映像と曲がいい映画です。
基本的に映画はせっかくみるもんだし作りもんだからハッピーエンドが好きなのですが、この映画はこれでいいんだって思えました。
こんなにとことん主人公が最後まで報われない映画はダンサーインザダーク以降見たこと無かったけど、情けなくても彼がまっすぐだったり、最後やっぱ全力で走ってるからなんか救われたのかも。わたしが。
まっすぐで途方もないけどとりあえず晴れだ!いくぞがんばれ!みたいな感じ。
ぜひ、見ていただきたい映画!胸があつくなりますよ~!!!