「酒に飲まれるオッサン(笑)」おとうと　うにたん♪(DCPにも抜け穴あるんだ)さんの映画レビュー（感想・評価）

蒼井優のナレーションでおとうとを紹介してくれるのだが、「全く成長しない」に笑わされてしまった。
結婚式のシーンも良くできてる(笑)
ど演歌を台詞付きで歌い上げ、席をひっくり返して、皆が「あ～～」と顔を押さえるシーンはこちらも恥ずかしくなるほど(笑)

2025年になり公開から15年近くになったが、その15年前よりも世の中は窮屈になった。
色々便利な道具(ネットワーク)だけは広まったが、道具だけで人間性は育たない世の中になった気がする。
映画もTVやスマホ、パソコンで観る時代が来たものの、サブスクに買ってもらうには単純に売れるセンセーショナルな作品や話題作が中心になり、所謂純粋な家族ドラマは数が少なくなっていくだろう。
世の中に余裕が無くなり、イヤなニュースが毎日流れる。ネット記事や動画を見回すと、異様にベクトルが掛かったものが平然と流れている。
そんな世の中になって改めて本作品を見直すと鉄郎みたいに競争に負けて負けて負けて…と生きてる人々には胸を張る自信も育たず、沼の底に沈む。それを努力不足と切り捨てるより、この人なりに輝ける所へ導けるチャンスに無き夫が愛娘の名付け親にして、自信を持たせようとしているエピソードは作中最も優しい。

他人に優しくするのは本当に難しい。
ラストのV字も、お祖母さんの「あの人来るのかい？大阪のあの…おとうと、来ないの？近頃可哀想になってきちゃってね。みんなにのけ者にされてね。今からでも呼んで…」って切ないね。

公開から15年も経つと亡くなった方も多い。加藤治子さん、佐藤蛾次郎さん、横山あきおさん、知らぬ間に鬼籍に入ってた。