劇場公開日 2009年12月12日

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「ブレのない単作少年漫画映画」ONE PIECE FILM STRONG WORLD Chuck Finleyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ブレのない単作少年漫画映画

2022年8月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

楽しい

単純

興奮

私は“ワンピース大好き人”でもないので、「劇場映画」としての完成度や、物語の良さ(個人的好き嫌い含む)にケチはいくらでも付けられますが、
実は最近お遍路を往くようにVODでまとめ見しているTVシリーズ(現在500話前後)と劇場版(2006年分くらいまで)の合間にTVで観て、相対比較的にかなり良い作品だと感じました。まあ元の漫画は計10話分くらいしか読んでませんが。

ネタバレと好き嫌い開陳しすぎを避け内容詳細については措きますが、映像の見やすさ、そして特に物語のテンポ、ストーリー進行の一貫性・取捨選択ぶりには出色のものがあります。
よく言われる過度のお涙✖️回想演出や、TV版で個人的にちょっとウンザリしていた“煮え切らない感情の交差シーン”&“急に停滞・急進するご都合展開”が本作には感じられませんでした。その分ファンの方々には物足りない、又は映画独自解釈で思いがズレる部分があるかも知れませんが、私のような者には寧ろ爽快スピーディに感じられ良かったです。

竹中直人がアニメの声演技としてどう優劣なのかは分かりませんが、やはり素晴らしい存在感が感じられましたしあの特有の台詞回しは俳優演技でも一緒なので、好き。
他のアニメ版では奇妙なほど曖昧化し、本作ではあまりしていない「人・生き物の生死」や「性的な好みによる拘束」の表現も、そもそも漫画のターゲット層の少年なら普通に分かることで、自然です。

今まで上述のワンピース・アニメへの“文句”を、漫画の超・長命化を果たしている原作者の特徴(=問題)であると思っていましたが、ご本人が制作に深く関わった本作がこんなにキレと纏まりのある「少年冒険漫画映画」を作れるんならお見それしていました、スミマセン。なんで原作漫画を基本踏襲してるTVアニメ版や、アニメ映画のプロが制作してる他の劇場版がこんな風に作れないのでしょうか?寧ろ不思議。

いま賛否話題のREDは未見で分かりませんが、こういう映画なら千円ナンボ払って劇場に行って良いかも。

追記
有用・有能かつ可愛いビリーは「麦わらの仲間」にして欲しかったなー。
あと映画でのサウザンドサニー号って、船の前部がデカすぎて前方が全く見えませんよね。どうやって操舵するんだろう?蛇足失礼。

keebirdz