「ペンギンも樺太犬もマグマも物体Xも出てこない」南極料理人 jfs2019さんの映画レビュー(感想・評価)
ペンギンも樺太犬もマグマも物体Xも出てこない
もう何度となく見た映画。この映画で沖田修一監督の名前を知った。それ以来、監督の映画のファンである。
南極を舞台にした映画は数あるが、特に大きな事件が起こるわけでもなく、怪獣が登場するようなクライマックスがあるわけでもなく、南極越冬隊の日常が淡々とつづられる映画はそうないのではないか。隊員たちはそれぞれ個性的で、おじさんなんだけどどことなくかわいげがあり、みんな心根が優しい。そこがいい。そしてここでもフードスタイリストの飯島奈美の仕事っぷりが素晴らしい。遠近感の狂うエビフライ、食べてみたい。
ベチャベチャの唐揚げに堺雅人が泣くところとか、氷床コアのウンチクによってのちの追っかけっこのシーンに妙な緊迫感が加わるところとか、何気ないシーンが伏線となって後から効いてきてくる脚本もいい。2回、3回見ると最初見たときには気づかなかった伏線があったりとか、噛めば噛むほど味が出る。
16年前の映画で、現在は南極にももっと高速の通信環境が整っていて、娯楽もいろいろあるんだろう。貧乏くさい丸見えのトイレも改善されているだろう。そういう意味では今となっては時代劇的な面白さも感じられる。
コメントする
