「よみがえったハチ公」HACHI 約束の犬 kerakutenさんの映画レビュー(感想・評価)
よみがえったハチ公
日本人ならだれもが知っている「忠犬ハチ公」のストーリー。
これを日本人もうならせるような映画になんかなるのかな?
と心配半分で見に行ったのですが・・・
犬の目線の白黒画面が何度も挿入されるのですが、
檻に入れられて運ばれたり、
嵐のよるひとりぼっちのときの
HACHIの不安な気持が伝わり、
より愛おしい気持ちが高まります。
これはとても新鮮でした。
(犬ってたしか色盲でしたね)
可愛い仕草や表情ももちろん良かったけれど。
駅で出会った迷い犬を家に連れてきたパーカー。
犬嫌いの妻に拒否されるものの、やがて理解してもらえ・・・
という、「お決まりの筋書き」ではありますが、
リチャード・ギアのHACHIの可愛がりぶりに
思わず誰もがニコニコしてしまいます。
日本に住んでいると日本人のことってよくわからないのですが・・・
HACHIがシェパードでもラブラドールでもなく、
秋田犬(あきたいぬ)であること。
人を喜ばせることに興味ない、
ものにつられない、そういう日本の心をもった犬だ。
ケンの語る言葉に、そうそう、とうなずきつつ、
ちょっと「ワサオ」みたいなブサイクっぽいお顔も
とってもキュート!
世界中の人たちが、日本の犬っていいよね。
日本っていいよね。
と思ってくれそうで、
日本人としてはありがたい作品です。
忠犬ハチ公が、主人の死後も渋谷駅に通ったのは
駅前でもらう焼き鳥が目当てだった、
というのは、けっこう有名な話なのですが、
この映画の中でも、ホットドッグやハム(?)とか
もらっていましたね。
10年もけっして来ることのないパーカーのために
ほんとうに待っていたのかどうかはともかく、
雨の日も雪の日も同じ場所に座り続けるHACHIの姿には
とても心をうたれます。
ふと思ったのですが、
もしかしてHACHIは「鉄オタ犬」だったのかもね?
食べ物だけじゃなくて、人の行きかう駅のにおいとか、
列車の走る音とか、駅員のふく笛の音とか・・・
線路の上も好きみたいだったし、
日本のハチ公も、実はそうだったりして・・・
これは新しい発見でした。
ラストでHACHIが天に召されて、大好きなパーカーと再会・・・
のあたりも、さりげなくカメラを空にむけるだけ。
あざとく泣かせようとしないのが、私は好きでした。
ラストに挿入される「日本のハチ公」の写真。
今までに何度もみた写真ではありますが、
このタイミングで出されると、
「プロジェクトX」のエンディングのような高揚感があります。
本物というのは、やっぱり意味がありますね。
上野の科学博物館のハチ公にまた、会いにいきたくなりました