「フロスト、一発逆転ホームラン!」フロスト×ニクソン 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
フロスト、一発逆転ホームラン!
アメリカ史上(いまのところ)唯一、任期中に辞任した大統領ニクソン。汚名を何とか返上し政界復帰を目論む、そのニクソンと、アメリカ進出の為の足掛かりを得ようとする、イギリス人TVショーの司会者フロスト。その両者のトークバトルとも言うべき4日間のインタビュー模様を、その準備段階からドキュメンタリー風に纏めた映画。その後、ニクソンが復活する事は無いままであったという歴史の事実は、この冒頭に記しても許されるのではないでしょうか。
フロストが死に物狂いになってニクソンを追い詰めようとするきっかけとなった、ニクソンからフロストへの電話のシーンが、物語のクライマックス近くにあります。それをニクソンが覚えていなかったというのは、本当はどうか知りませんが、かなり衝撃的。全4回のインタビューのうち、既に3回を終了し、残されたのは1回のみ。しかも、それまでの3回のインタビューはニクソン圧勝であったわけですから、ニクソンは、不必要な電話で、自分で自分の首を絞めてしまったことになります。酒を飲んで電話をしてはいけません(笑)。
ニクソンを演じるフランク・ランジェラですが、惜しくもアカデミー賞受賞は逃したものの、大物政治家の役を貫禄たっぷりに演じています。特に、最後の、フロストの攻撃に陥落してしまった表情は、何とも良い表情をしていました。
他方、デビッド・フロストを演じたマイケル・シーン。フロストとしては、ニクソンにかなり追い詰められていたはずなのですが、あまりそう言う表情は見せなかったのは、演出か?
軽薄な、面白おかしい物語ではありませんが、重厚な政治ドラマという訳でも有りません。もう少し、フロストとニクソンの心理バトルを楽しみたかった気がします。
2008年度アカデミー賞主要5部門(作品賞、監督賞(ロン・ハワード)、主演男優賞(フランク・ランジェラ)、脚色賞、編集賞)ノミネート。ゴールデングローブ賞最多5部門(ドラマ部門:作品賞、主演男優賞(フランク・ランジェラ)、共通部門:監督賞(ロン・ハワード)、脚本賞、作曲賞)ノミネート。