「すべては4回目のインタビューに集中する」フロスト×ニクソン マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
すべては4回目のインタビューに集中する
序盤は、事件そのものが身近でないせいか飽きる。だが、インタビューが始まってからは面白い。インタビューは4回、1回あたりの時間も決められている。ニクソンは老獪な話術でフロストを圧倒していく。限られた時間で逆転が可能なのか緊張感がある設定だ。
フロストを見下したように、質問の核心をかわしていくニクソンも、実は精神的に消耗していた。受け答えの合間合間に吐くため息がスクリーンから吹き出てくるようだ。台詞もフランク・アンジェラの方が圧倒的に多く、この作品は彼のものだ。
アメリカで成功する野望を奮い立たせ逆転に望むフロストと、この一戦に勝ち復権を賭けるニクソンの本当の戦いは4回目のインタビューに集中する。
ニクソンの正体を暴いたというよりは、ニクソンの人間らしさが現れていて、むしろ彼に愛着を覚える。単純に善悪をハッキリさせるインタビューだったはずが、ふたりの人間の心の交流に変化していくところが興味深い。
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